Led Zeppelin #2:Zep, Jimmy Page
Led Zeppelin - The Song Remains The Same (1976)
夏頃に噂話のひとつとして「冬にツェッペリンの狂熱のライブがリマスタリングされて曲が増えて完全版になってリリースされるらしい」と聞いた。「How the West Was Won」の発掘ライブもあったし、ジミー・ペイジがZep時代に創り上げたこの映画のサントラを作り直すということはままあり得るだろうとは思ったが、実際にそうやって再度創り上げられた作品を聴くとなかなか感慨深いものがある。何を今更新しいもんでもなかろう、という想いもあるけどやっぱ好きだし。
そんなことで遂にリリースされた映画のサントラ、である「永遠の詩(狂熱のライヴ)」の最強盤だ。レコードを聴いて、この映画のビデオを見ていた時代からこの二つの音を組み合わせていけばもうちょっと長々とライブ全編を聴けると言う編集欲に駆られていたが、当時は「Misty Mountain Hop」がなかったのでここから「貴方を愛し続けて」への強引なギターソロへの繋ぎが実現できないので編集を諦めてビデオはビデオ、レコードはレコードで聴いてた。聴いていると面白いことにそれぞれ被る曲でも編集が違ったり演奏が違ったりして不思議な気分になったが、映画は映画、音は音、と割り切ってるんだろう。しかしこのビデオはよく見た。今回DVD「レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ スペシャル・エディション」でもリマスタリングされてリリースされたのでまたじっくり見るけど、ライブシーンはホントに食い入るように画面を見たし、ギターのフレーズひとつひとつポジションを確認して、あの辺で弾いているんだ?とよく見てた。おかげで先ほどの「貴方を愛し続けて」は割と色々なパートがコピーできて楽しかった。
今回のCDでやはり曲が増えて当時のライブセットに近い状況になるのは良い。ディスク1最後の「Ocean」をディスク2を聞き終えた後の最後に聞けばほぼライブ完全で聴ける。細かく言えば足りないけど十分です。音は迫力満点に仕上がっているし、全ての音がシャキっと前に出ているのでレコード時代のように迫力に欠けなくて荒々しさが前に出てきてライブ感がある。そして改めて聴いてみると演奏だってかなり凄いし。こんなに良いライブの部類だっけ、これ?って思った。1973年7月27日から29日の三日間のライブを元にしてつぎはぎに編集しているけど、これだけ音が良くなるとあちこちでつぎはぎにしているのが余計に分かってしまうのでそれもまた哀しい。良かれと思ってやっている事だから素直に認めよう。こういった部分に納得出来ない人は別の世界が待っているから。
ボンゾの荒々しいドラミング、ジミー・ペイジのクールでハデに弾きまくるギタープレイ、ジョンジーのツボを得たベース、プラントの新たな歌い方を習得した雄叫び、どれもこれもがレッド・ツェッペリンという融合体を表していて、やっぱり今に至るまでどのバンドもこれを超えられないのがよく分かった。
やっぱ凄い。
「ロックンロール」から「貴方を愛し続けて」までの前半はギタープレイの調子を上げながらプレイしていき、プラントも自身の歌声を調整している。そして「No Quater」になるとその調子を思い切り発散する世界に突入。この幻想的な空間はどんなバンドにも出来ない。ライブ盤の魅力はこの曲の長さにもあるけど、後半でペイジがテルミンに向かって手を向けるシーンとディレイのかかったその音の幻想に浸れるシーンが最高。ギターソロにしたって普通のスケールで弾いてないし、それがまた深みを出している。素晴らしい。長いからという理由で聴かない人も多いだろうけど、この曲の美しさは最後まで聴き終えてみないと分からないだろう。そしてダブルネックを持ち込んでの二曲「永遠の詩」「レイン・ソング」。この二つのハードさと幻想感も魅力的で、果たしてどうやって弾いているのか「永遠の詩」のギターオブリプレイなどは感動のみ。「レイン・ソング」の美しさもペイジならではの巧さ、同じギターでここまで違う音が出るのかと思うような素晴らしい美しさ。
そしてディスク2に進むとアナログ時代には片面全てを埋めていた「幻惑されて」だが、これこそ聴きもの。ありあらゆる箇所に於いてツェッペリンというバンドの集大成を集約している素晴らしい曲だ。ライブならではのアドリブプレイは炸裂しまくるし、もちろん弓弾きによる不思議な音を楽しむこともあるし、何よりもプラントとの掛け合いは魅力的だ。そしてペイジの激しくアグレッシブなギタープレイ。聞き終えた後はどっと疲れる、それくらいのエネルギーをぶつけてくる魂の音。最高だね。
そして永遠の名曲「天国への階段」。もはや語ることは何もない、これはホントに涙あるのみ。ライブの終盤になって今度はボンゾの出番か。しかし実はボンゾのドラムソロのための曲とは云え、リフにしても素晴らしいものを採用しているし、結構ギタープレイも難しかったりする曲で、安直に捨ててはいけない曲だ。映像ではかなり短縮されているがCDでは長目の編集なのでトクと楽しめる。これ聴くとドラムと言う楽器を見直すだろう。そして「Heartbreaker」から「胸いっぱいの愛を」。リフのかっこ良さはもちろん、ハードなロックとバンドの一体感、生のライブ感、どれもが素晴らしく集約されている名曲群。最高としか云えない。
そしてこの後にディスク1の「The Ocean」を聴くのだ。アンコール後のボーナス曲として。オープニングのボンゾのかけ声やコーラスが余興っぽくて良いね。ちなみに7月29日のアメリカツアー最終日公演では最後の最後に「Thank You」を演奏していたので、その「Thank You」を収録してほしかったと思ったがしょうがないか。
CD入手して早速iTunesに入れて、上記に曲順を並べ直して聴くがやっぱりでかいシステムでスピーカーで聴きたい音だ。ライブ盤だから余計にその方が良いし、ボンゾの重さはやはり耳で聴くのでなくカラダで体感するモンだし。まだまだこういうロックを楽しめるのは幸せだ。DVDもしっかりと見直さないと。ボーナストラックに収録されていた映像は見たけどどうせなら曲順に編集し直してくれれば良かったと思うばかり。映画だからそりゃ無理だけど、ライブ映像という位置付けではありだし。近年色々とリリースされているけど、やっぱり往年のカタログがこうやって甦る方が嬉しい。もっともっと発掘して色々と届けてほしい気持ちと両方あるけど、しばらくはこのCDとDVDでたっぷりと楽しめる。
好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪