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Family: Roger Chapman & Charlie Whitney

Family - Music In A Doll's House (1968)

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 黒い声とはちょっと違うけどかなりエグい渋みのある歌声がロジャー・チャップマン。ファミリーのボーカリストで1968年にアルバムデビュー。一般的にはプログレの範疇として語られるケースが多いけど、個人的には絶対にブルース系のボーカリストと思っていて、やってる音楽と彼の声質にギャップがありすぎて勿体ないと思う。そういう類の声質で、ソウルフルよりももっと泥臭くって粘っこい声だが、不思議な事にしつこくはない。難しい表現だけど。

 デビューアルバム「Music In A Doll's House」は凄く幻想的なジャケットに包まれたアルバムで世に出現しているが、プロデュースがデイブ・メイソンでエンジニアがエディ・クレイマー。更に3枚目のアルバムからはあのピーター・グラントのお薦めでベースに元スペンサー・デイヴィス・グループのジョン・ヴェイダーを迎えており、以降ジョン・ウェットンもメンバーに入る英国斬っての強者バンドで有名だが日本では全然人気がない。しかしロジャー・チャップマンの声は結構ハマる。多分このバンドも良い曲がなくスリリングな音に挑戦するけど、なかなか飛翔しないままに終わっている。ただ、ジャケットがどのアルバムを取ってみても英国的で、変形ジャケットも多い。ファーストアルバムの中味は初っ端からチャップマンの特徴的な声で歌われているけど、曲によって歌い方や声色を変えているのもプロ。楽器の方も煌びやかに登場するので演出面でも結構楽しめる。個人的には最初と最後が好きだ。

 この人の声に目覚めたのは実はマイク・オールドフィールドの「Crisis」と言う1980年の作品の最後に収録されていた「Shadows On The Wall」です。このアルバム、イエスのジョン・アンダーソンが歌ったり、クリスタルボイスの持ち主、マギー・ライリーが歌う「Moonlight Shadow」がダントツに光り輝いている作品だけど、最後の最後でチャップマンの声で「Shadows On The Wall」が歌われて、曲が良ければこの人の歌声は更に価値あるモノになるとつくづく実感した一曲で素晴らしいです。絶対もっとブルース系で思い切りシャウトできる曲に出会って世に出るべきだった人だよ。

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