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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第二十一回】 組織の品質マネジメントシステムの適用範囲って


熊さん 「大家さん、パソコンで見てるこの4.3はなんだぃ、売り手が品質マネジメントシステムを作るときには会社のどの範囲を対象にして作るのかハッキリさせてからにしろって言ってるようでゲスねぇ?」

大家さん 「ああ、よく分かったな、エラいね。」

熊さん 「で、適用範囲ってのは、4.3のココ、中程に書いている『対象になる製品及びサービスの種類』ってことでヤンスね?」

大家さん 「そうそう、だけどこれから作る品質マネジメントシステムの適用範囲の事だから『対象にする』といった方が適切だったように思うがな。」

熊さん 「あれ?種類を決めろって言ってヤスが、種類ってナンでヤス?」

大家さん 「どれどれ、あーこれは元の言葉ではタイプって言っててな、作ろうとしているその品質マネジメントシステムでカバーしようとする製品、サービスのタイプを決めろと言っているンだ。」

熊さん 「もし売り手に製品が色々あって、一つの品質マネジメントシステムではカバー出来ねえ時はタイプを分けて別の品質マネジメントシステムを作らなけりゃいけねえ、って事でガスね。」

大家さん 「そうだね、そン時は売り手はいくつかの事業部などに分けて事業を行っている、ってことが普通なんだ。」

熊さん 「ホー、そうですかい。」

大家さん 「そうそう、『境界及び適用可能性を決定する』って分かりにくいかも知れんがな、境界って言うのは、これから作る品質マネジメントシステムはこれこれまでの製品の実現に使います、ここからの製品には使いません、って境目の事だよ。」

熊さん 「ホー、そうなんでぇ。と言うことは、必ずしもその企業が扱っている製品全てでなくてよいと言うことでヤンスか。」

大家さん 「そらそうだよ、品質マネジメントシステムのデモをしているような説明を求めている標準だから、何が何でもISO9001を仕えと言っているのではないンだ、国際取引をしてるとか買い手がISO9001を使えと言っているとか、取引の状況を考えて決めりゃいいんだ。」

熊さん 「そりゃそうだ。」

大家さん 「そしてな、適用可能性ってのは、ISO9001が示している品質マネジメントシステムの要求してる項目が全部適用できるかどうかを言うんだけど、境界内でも顧客の要求事項の実現のための活動とは関係ない活動にはISO9001を適用する必要はないだろう?」

熊さん 「そんなことでa)、b)、c)を考えて決めるって事を言ってるンでヤンスね?」

大家さん 「そうなんだよ、製品、サービスそのものではなくそのタイプに注目してシステムを作るというところに、現場中心の管理ではなく、現場を有効に活動させるための品質マネジメントシステムの構築って特徴が現れているって言えるんだよ。」

熊さん 「なるほど、ガッテンだって言いたいけどよぅ、そのタイプってのはどこかで決まっているんですかい?」

大家さん 「いろんなタイプ、いろんな切り口があるから、ISO9001は売り手が宣言しな、って言ってるんだ。」 

熊さん 「そんなんじゃ、売り手の都合でのゴマカシが入ってきやしませんか?」

大家さん 「一部の部門がISO9001の要求を好まないとか対応したいけど当面は準備ができないなどと言うことで適用範囲から外してるなんて事があるかも知れない。だけど、それはISO9001が必要以上の余計なことを要求しているのだったら分かるけど、買い手に対して製品を実現できますという説明をするための標準だと理解すればできない事だよ。」

熊さん 「なるほど。」

大家さん 「それでも適用範囲をごまかそうとしたら買い手にデモできないだろうし、第三者認証審査を受けている場合には不適当だって指摘を受けてしまうから、ごまかされる心配ないと思うな。要はISO9001の性格についての正しい理解が必要なのさ。」

熊さん 「適用範囲について大体分かりやしたが、この規格の要求事項が適用可能ならばこれらを全て適用しなければならないって言ってヤスね。ってことは、この要求は必要だけどは思うけど、肝心の関係する部門がイヤだと言っているとか、取りあえずその要求は後回してとか言ってそれ以外に部分で適合を主張するなんて事は許さない、って事でヤンスね。」

大家さん 「そんなことは売り手の勝手な言いグサで、買い手には通じるはずないからな。」

熊さん 「でも、ISO9001の要求してることが一部が対象の製品のためのマネジメントシステムに関係がないときに限って売り手の品質マネジメントシステムに取り込まないことが認められるという事が書いてあるようでヤンスが、これってない袖は振れないみたいな話で、あったり前のことでねぇ?」

大家さん 「そうだねえ、だから実はある袖を隠しているみたいな事ではないから、この要求は除外しているってぇ正当性を品質マネジメントシステムに説明しておくことが必要だとなっているんだ。」

熊さん 「ISO9001が言ってることはあったり前の事だけど、担当者任せで品質マネジメントシステム作りをやるとあり得ることのように思いヤスね。大家さんの言うように経営者がしっかり先頭に立つことが必要だと思いヤス。」

大家さん 「ウン、そうだねぇ。そうすりゃぁ品質不祥事も出にくくなると思うよ。」

熊さん 「適用範囲って事について大体のことが分かったように思いヤスが、次の4.4は品質マネジメントシステムについて言ってるようでガンスので、この次はココの話を頼ンます。」

大家さん 「ああ、熊さんのためならいくらでもやるよ!」

 (次回に続く) 

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