落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?
【第四十回】 購買と業務委託-前編
熊さん 「大家さーん、お暇ですかい?」
大家さん 「ああ、いいよ、寄っといで。」
熊さん 「じゃぁ上がせてもらって、っと。エーと、この前、ISO9001の8.4の話しを聞かせてもらうって約束でしたな。」
大家さん 「そうだったな。」
熊さん 「この前、8.4の標題をチョコッと見たら、外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理、って書いてありヤシたけど、提供ってぇどういうことでヤンス?まさか、買い手が買いたいと思ってる製品やなんかを外部から提供を受けるなんて事じゃありゃせんでしょね?皆目見当がつきやせん。どういうことでガス?」
大家さん 「いや、提供っていうと外部の機関や人が自分の意思で何かを差し出すって言う意味を言ってるみたいに感じるけど、」
熊さん 「違うんでガスか?」
大家さん 「そうでなくってな、これは供給っていう訳の方が元の英語の意味を表していると思うな。それで、買い手が買おうとしてる製品、サービスの事を言ってるんじゃなくてな、それを実現するに当たって売り手が外部から供給を受けなきゃならないプロセス,製品、サービスの事を言っていて、早い話、購入や外注の管理のことを要求してるんだ。」
熊さん 「ああ、なんだ、そうでヤンスか!」
大家さん 「だから、ワシのこの後の話しでは外部供給者って読み替えて話しをすることにさせてもらう事にするよ。いやな、ISO9001は初めて発行されたときには、契約で発注して購入する製品を対象にしていたって事は前に言ったよな。」
熊さん 「そうでヤンした。」
大家さん 「その時は、使用する部品や材料も契約で指定されて組み込む事になることが多くて、売り手から見れば外注型の管理が要求されていたんだ。」
熊さん 「買い手が主導の契約型の製品じゃぁそれが当然でヤンしょうなぁ。」
大家さん 「その後のISO9001の改正で、買い手主導の契約型の事業に加えて、売り手主導の量産型の事業に拡大されて、使用する部品や材料なども売り手が選定する一般的な購入型の管理が使われる事が多くなったんだけ。だけど、契約型の事業も含めてた表現にする表現にするために、ややこしい表現となっているんだよ。」
熊さん 「聞いてみなけりゃ分かんないモンでヤンスね。それで、8.4.1の一般って事の中でそんな事を言ってるんでガンスか?」
大家さん 「いや、事業の契約型、量産型の違いの事は取り上げていない。その代わりに、外部から提供されるプロセス,製品とサービスには、売り手がそれらに組み込むモノ、提供者から買い手に直接提供されるモノと、それに実現プロセスの少なくとも一部を委託するプロセスの、三つのケースがあって、それぞれに適切な管理の方法を決めなきゃいけないってことを言ってるんだ。」
熊さん 「具体的な事は避けているようでガスが、チョット腰が引けすぎじゃぁござせんか?」
大家さん 「いやいや、具体的な管理の事は千差万別なんでな、標準として示せるのはそれらのためのマネジメントシステムに止めざるを得ないんだよ。」
熊さん 「へー、そうでヤンスか。ウーンと、c)の後に書いてある文はちょっと分かりにくいでヤンスが、JIS翻訳は大丈夫ですカイ?」
大家さん 「ウン?どれどれ。ウーン、そういや、確かに分かりにくいな。言葉の並びをチョット入れ替えて、『組織は、要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部供給者の能力の程度に基づいて、外部供給者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行うための基準を決定し,適用しなければならない。』ってした方が原文の理解には良いみたいだな。」
熊さん 「確かに分かりやすくなりヤシた。」
大家さん 「能力の程度ってのは、元の英文がアビリティって書いているんで、意味が通りやすいように『程度』って言葉をワシが補ったがな。それにしても、よく気がついた、エラいな、熊さん。」
熊さん 「イヤー、文がモタモタして分かりにくかったモンで、ハイ。おかげで言ってる事が分かるようになりヤシタ。それで、パフォーマンスの監視って、実際の提供が評価した通りになってるかチャンと追跡しろ、って事でヤンスね?」
大家さん 「そうだな。」
熊さん 「再評価ってのは供給させることが続く事を前提にしてるんでヤンしょうけど、どの程度の頻度でと言う事は書いてないでガスね、これも提供されるモノで千差万別だ、って事でヤンスね?」
大家さん 「オ、お分かりだね、熊さん。」
熊さん 「で、その後の文書化の要求も、前に聞きヤシた文書の証拠価値と、買い手に対する説明責任、ってぇことですな?」
大家さん 「おう、そうだな。」
(次回に続く)