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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第三十五回】  運用とは全体の作戦計画-後編


熊さん 「e)には7.5で取り扱い方法を説明していた文書化した情報ってヤツを実際に要求してるようでガスが、1)に書いてることが指示するための維持が必要な文書化した情報って言うヤツで、2)に書いてあるヤツが保持が必要な文書化した情報ってヤツでガスな?」

大家さん 「そうそう。」

熊さん 「この計画のアウトプットは組織の運用に適したものでなければならない、なんて当たり前のことじゃないでヤンス。」

大家さん 「うん、それでもISO9001のコピーのような抽象的な書き方をする人たちがいるようだね。2)に書いてある実証ってのは前にも言ったから分かっているだろうけど、もとはデモンストレーションで買い手に見せて安心をしてもらうってことだ。」

熊さん 「へぇ、そうでしたな。つぎのところに行って変更について言ってヤスが・・・、」

大家さん 「うん、変更ってのはリスクを呼ぶ事なんだな。だから変更をするときは変更しないところとの食い違いがあったり一部の人しか知らなかったりするリスクがあるから、予め計画できるときはちゃんと計画を立て、チェックと承認をし、関係者に知らせ、監視をして変更をさせなけりゃならんのだ。」

熊さん 「そうさなぁ、アッシらの仕事でも変更を聞いてねえよって文句を言うことがありヤスねぇ。」

大家さん 「なにか突発的な出来事の対応で計画を立てる間がなく変更の指示をださなきゃならんこともあるだろうけど、そんな時は大きなリスクを背負っているって事を自覚して、変更の結果で以後のプロセスに何かリスクを生じていないかちゃんと確認し、リスクがあったら当然のことだが大きな問題にならないように処置を指示しなけりゃならないのが上に立つ者の仕事ってモンだ。そんなことが書いてあるようだな。」

熊さん 「なるほどねぇ、現場の人間にしわを寄せるんじゃねぇ、上の人間が責任をもて、ってことでヤンスね。良いこといってヤス。」

大家さん 「それと、その下にある外部委託って事、確実にしなければならない、って書いてあるがな、確実になっているようにしなければならないと読んだ方が確実になる仕組みの方に考えが向くんで、良いとおもうよ。」

熊さん 「管理されているって書いてありヤスけど、これは当然外部の委託先のことでガスな?」

大家さん 「いやいや、そうじゃないんだ。外部に委託する仕事は委託した仕事の管理も委託しなくちゃならないので、自分で自分を管理出来ない所を外部の委託先に選んじゃならないけど、ここで言ってることはそうじゃなくてな、委託する方が委託している事が委託先でキチンと実行されているように確実に管理していることを求めているんだよ。」

熊さん 「委託したんで、どうなっているかアッシらには分かりませんわ、って言いたくなるンと違いまっか?」

大家さん 「買い手に責任を持たなきゃならない仕事を、この部分は委託しているので説明出来ません、では買い手は済ましてくれないだろう?」

熊さん 「じゃぁ、どうすりゃ良いンでぃ?」

大家さん 「そりゃ、委託する以上契約を結ばなきゃならんだろうけど、委託に当たって何をどうして作って欲しいのか中身を入れた契約にして、契約通りに実行しているかを定期的に報告させるとともに、リスクの大きさに応じて時々委託先監査をして確認をすることが必要だろうと思うよ。」

熊さん 「検査をさせている事ではダメでヤンスか?」

大家さん 「検査結果をみるだけで良いと思っていたら、検査結果では捉まらないプロセスの無断変更があったり、指示していた作り方の不十分さがあったりする例があって十分とは言えないと思うな。検査自体も検査結果の委託元へのトレーサビリティってヤツを確認していない事例は少なくないので、注意して欲しいな。詳しいことは8.4で出てくるようだが、外部委託までは充分に配慮されていない品質マネジメントシステムが時々あるようだな。」

熊さん 「実例はあるのでヤンスか?」

大家さん 「ウーンと、そう、ある総合電機メーカーでエスカレーターの製造販売をやっててな、エスカレーターのゴム製のガイドレールをゴム加工は専門でないからだと思うけど外注で作らせていたんだ。ある時、その電機メーカーから外注先が契約と異なる検査基準を用いた検査をやっていたという公表があり、外注先が言い訳みたいな報告書を公表していたことがあった。ただし、実害が起こってはいないようだけど。」

熊さん 「外注先が、悪うございました、って頭をさげたってことですな。」

大家さん 「でも考えてみな、外注先が謝らなきゃならないのはその委託元の電機メーカーで、エスカレーターの利用者の公衆に向かっては電機メーカー自身が外注先の管理をおろそかにしていましたと頭を下げて電機メーカーでの再発防止対策を理解してもらわなけりゃならんと思わないかい?」

熊さん 「そう言えばそうでヤス!」

大家さん 「そこんとこの説明責任が欠けてたことの反省が見られなかったんだよなぁ。折角の学習の機会だったんだけどな。」

熊さん 「よーく分かりヤシた。でー、8.1の話しはこの辺で切り上げて、次は8.2の製品及びサービスに関する要求事項、ってぇ話しに移りやしょう。」

大家さん 「ああ、そうしよう。」

 (次回に続く) 

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