落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?
【第五十回】 品質マネジメントシステムの改善-前編
熊さん 「チワ-、熊でヤンス。いよいよ第10条の話しを聞かせてもらいにきやした。」
大家さん 「ああ、熊さん、上がんな。」
熊さん 「いつもパソコンを使わしてくれてありがとさんでヤンス。パソコンを見ると、第10条は『改善』て標題が付いてヤスが、この前聞いた話しじゃ、この『改善』は製品の改善じゃなくって、品質マネジメントシステムの改善のことだって事でヤンしたね?」
大家さん 「良く覚えていてくれたね。製品の不良が見つかって良くしなけりゃいけない事はISO9001は是正と言ってるんだ。だけど、製品を手直ししたとか、プロセスを変更して不良品を出なくした、なんてISO9001で言う『是正した』と言っても終わりってわけじゃないんだ。」
熊さん 「そうでヤンスかぁ?」
大家さん 「悪い製品を作らせてしまった原因、見逃してしまった原因が品質マネジメントシステムのどこかにあって、そこを明確にして処置をしない事には、似たようなことが別の処で、あるいは、別の機会に起こってしまう、時には現実に起こっているかもしれないだろう?こう言う品質マネジメントシステムの面の処置をISO9001では是正処置と言ってるんだ。もっとも、原語では『コレクティブ・アクション』と言ってるから、是正的処置と言った方が良いかも知れないがな。」
熊さん 「是正処置を行って『改善』をするってワケでヤンスか!なるほどなぁ。でも、『改善』って優しい言葉を使ってイヤスね。日本だったら、『品質マネジメントシステムに原因があるから是正しろ』なんて言われそうでヤンスけど・・・。」
大家さん 「多分、品質マネジメントシステムが全面的に悪いって事じゃなく、一部だからという事だろうね。それと、こんな事を聞いたこともあるんだ。外国で誘われて小学生の野球を見に行ったときに、空振りをしてバッターボックスから帰ってきた子供にどの親も子供の肩をたたいて『グッド・トライ(スゴイ頑張り!)』と言っていたそうだ。日本なら『ダメだなあ、球をよく見て振らなきゃぁダメじゃないか!』なんて叱ることが普通だけど、外国は伸ばすことを重視してんだなあ、って思ったそうだ。」
熊さん 「なるほど、そんな文化の違いがISO9001の標準に影響しているのかも知れやせんですな。」
大家さん 「そうかも知れんな。」
熊さん 「でー、10.1は一般でヤンスか。顧客要求事項を満たして顧客満足を向上させることを目的に、改善の機会を明確にして選択して、必要な取組みを実施しなければならないって、確かに一般的な言い方で、具体的には教えてくれちゃぁいませんなぁ。」
大家さん 「具体的な事を言おうとしても、事業によって千差万別だから書きようがないんだよ。」
熊さん 「まあ、一般的な言い方とすれば、10.1に書いてあることは分かりそうには思いヤスけど、でもねぇ、品質マネジメントシステムの改善ってかけ声は分かるような気がせんでもないでヤンスが、いざやろうと思うと何からやるか、みんな戸惑ってしまうンとチャイます?なんせ、品質マネジメントシステムってのは理屈みたいなモンでヤンしょう?」
大家さん 「うん、そんな不安もわからんじゃないがな。だけどな、品質マネジメントシステムの改善をやろうとすると、一つは、品質マネジメントシステムを作ってやろうとした業務の管理、コントロールがうまくいかなかった事例を見つけることだよ。そこから品質マネジメントシステムの弱点を見つけて改善ができるんだ。ほら、10.2に『不適合及び是正処置』って出てるだろう?」
熊さん 「一つは、って外にもあるんでスカイ?」
大家さん 「ああ、10.3が言ってる継続的改善の取り組みで、これをやるために9.1.3で言ってる分析、評価の結果と内部監査の結果とを含めた、9.3が言ってるマネジメントレビューからのアウトプットで出ている問題点の指摘の対策を検討しなければならないんだ。」
(次回に続く)