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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第十八回】 ISO9001適合性の第三者審査-前編


熊さん 「また邪魔するよー、大家さん。」

大家さん 「熊さんかぇ、遠慮は要らないから上がんな。」

熊さん 「こン前の話じゃ、顧客と適用される法令・規制の要求を満たした製品やサービスをいつも提供する能力をもっているってことを買い手、つまりお客に信用してもらうことがISO9001の目的なンだけど、」

大家さん 「ああ、そういったな。特に外国との取引の時はその役割が大きいようだな。」

熊さん 「だけどそのためには、能力がありますナンテことを自分で言ってみても眉つばもので誰も信じちゃくれないから、モデル的にでも誰かにデモしてそれを評価してくれる第三者による評価制度ができてるって話でヤンしたね?」

大家さん 「そうなんだ。」

熊さん 「それはこのISO9001のどこかに書いてあるんでヤンスか?」

大家さん 「いや、それは売り手の品質マネジメントシステムを要求するISO9001とは別の事だからTC176という技術委員会は扱っていないんだ。適合性評価委員会、略称CASCOキャスコというISOでは戦略委員会に位置づけられてる委員会があってな、そこで討議していてISO/IEC17021-1という番号の標準を発行しているんだ。」

熊さん 「フーン。なんでIECも入っているンで?」

大家さん 「IECの関係でも使うから、共同で発行してるンだ。」

熊さん 「適合性評価ってぇことでは共通ってわけですな。」

大家さん 「その序文で、第三者適合性認証は組織の関連活動のマネジメントシステムを組織の方針に従って実施していることを買い手などに保証するための手段の一つだと説明しているンだ。品質の関係ではISO9001の原則に従うという方針だよね。」

熊さん 「これ、見ることできるの?」

大家さん 「JISにもJIS Q17021-1として翻訳がされているンだ。前に話したJISCのJIS検索でインターネットを検索するとこれも無料で見ることができるよ。」

熊さん 「あーらよ、っと。なるほど、適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項、って書いてありヤスね。これは品質マネジメントシステムに限った評価の事ではないンでヤンスか?」
大家さん 「うん、品質、環境などマネジメントシステムの評価全般を扱っているんだ。」

熊さん 「審査は分かるけど、認証って聞き慣れない言葉が使われておりヤスが、どういう意味でヤンス?」

大家さん 「実は認証ってのは憲法で国務大臣、最高裁判所判事、高等裁判所長官など天皇陛下が任免する際の国事行為を意味する言葉で、下々にはなじみが薄い言葉なんだ。だけどISOの標準ではサーティフィケーションと普通は証明と翻訳される言葉を使っているからわざわざ難しい言葉を使って御簾の奥で何か大変な事を行うみたいに思わせる必要はなかったと思うよ。」。

熊さん 「なーんだ。その評価機関がウンこの企業はよくやってるよと思えばもらえると言うことでヤンスね?」

大家さん 「ウーン、ちょっと違うんだな。認証機関って呼ぶんだけど、そこの主観で判断するンじゃ保証にならないンだ。あくまで企業の品質マネジメントシステムがISO9001の要求している原則に照らして作られていて原則に合ってるかどうかを判断するから、人によっての差や機関によっての差はないようになっているんだ。」

熊さん 「そうか、評価する人や機関によって判断が違うようだとよぅ、買い手は信用するもんか!だけどよぅ、人や機関による判断なんてそう簡単に信用出来るもんか。」

大家さん 「そりゃそうだ。そういや、会計監査をやる事務所で本当は投資家のための監査が実際には企業と結託した活動になっていた事例があって、金融庁から会計監査事務所が解散させられたことを思い出させられるなぁ。」

熊さん 「大家さん、会計監査の話なんて今関係ありゃせんぜ。」

大家さん 「いや、カネと品質との違いはあるけど、実は基本は似ているんだよな。あンとき金融庁が言ってたのは、監査員の力量の確認責任とそれと監査員のやった監査結果を確認して監査報告を公表する会計監査事務所としての責任の必要性だったンだ。ISO/IEC17021-1でも同じようなことが必要だとしているンだ。」

熊さん 「そうなんですかぃ。会計監査員やマネジメントシステム審査員が報告するのは会計監査事務所や品質マネジメントシステム標準機関で、そこが確認しなくっては結果を公表できねえって事なんですな。」

大家さん 「そうやって公平な間違いのない、信用してもらえる評価を確かにしようとしているンだ。」

 (次回に続く) 

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