落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?
【第三十七回】 顧客要求事項の間違いない確認-後編
熊さん 「b)に移らせてもらいヤスが、『組織が,提供する製品及びサービスに関して主張していることを満たすことができる』ってのは、検査で合格するって事でヤンスか?」
大家さん 「いや、そうじゃなくってな、買い手と契約で取り交わした事と法令・規制要求事項以外でも、こんな製品を提供すると言ったことは実現してくれって言うことだとワシは思うよ。」
熊さん 「製品及びサービスに関係する要求事項のコミュニケーションってぇと、営業とか販売なんて呼ばれる部署の仕事みたいに思っていやしたが、違うんでヤンスねぇ。」
大家さん 「そうなんだねえ、8.2は要求事項を確認する契約時の事だけでなく、契約をしてからの生産の時も関係して、実際には開発や製造、検査などの技術部門とキチンと連携を取る仕組みがないと契約した事がこなせないと思うよ。」
熊さん 「8.2.3の要求事項のレビューってぇ事でヤンスが、レビューといやぁフレンチカンカンみたいなダンスを連想しヤスが・・・、イヤ、チョット違うようでヤンス。」
大家さん 「まえは見直しって訳していたんだがな、自分で見直せば良いと誤解する人が多かったんだ。だがな、自分で見直すだけでは自分の間違いに気づかないことが多く、本来の意味が理解されなかった事があったので、カタカナを使って翻訳をする事になったんだ。」
熊さん 「って事は、別の人のチェックを入れるという意味でガスな。」
大家さん 「ウン、ISO9001は別の人のチェックを制度化しろとは言っていないけどな、だけど、思い込みや取り違えがないとは言えないって買い手も心配することを考えれば、計画や指示をするための要求事項を正しく理解しているって事を確認するのは企業としての責任だから、可能なら上の人のチェックを受けるのが当たり前だし、上の人の責任だろう?」
熊さん 「大家さんの言いてぇことが分かった!前に話してくれた企業の不祥事の例に、そんな責任を果たしてない無責任な企業の事例がありヤシたね。」
大家さん 「まあ、よほど小さな会社で手分けして別の目線でレビューする事ができないような場合には、もともと複雑な要求を受けることは考えにくいので、要求を受けた者がせめて時間をおいて確認するしかないだろうけどな。売り手の説明を買い手が納得できるか、適合性審査の時には確認をされることになるだろうな。」
熊さん 「なるほどな、原則からどう実際に適用して買い手に対する説明責任を果たしているか、実態に即して判断しなくっちゃなんねいってことでガスな。」
大家さん 「いずれにしろ、ここでは製品に関係する要求事項を引き受けて実現できる事を確認するためのレビューをしなければならないという話しをかなり具体的に要求していて、何をしなけりゃならないかは読めば大体分かると思うけど、・・・」
熊さん 「なになに、アー、そうみたいでヤスなぁ。全体的には文書化の要求はないけど、レビューの結果とレビューした結果新たに加わった要求事項だけ文書化を要求しているのはどうしてでガスか?」
大家さん 「それまでは、買い手とのコミュニケーションで行うから買い手も承知できるけど、レビューは売り手の中で行われるので、結果を記録しておかないと買い手に対する説明責任を果たせないからだと思うよ。」
熊さん 「ア、なるほど、納得。」
大家さん 「ついでに言っとくと、記録については保存が必要な文書化情報って言ってるんだが、記録は記録する事に意味があるんじゃなくて、記録をレビューしてプロセスの適切性を確認して初めて記録する価値が出てくるんだ。だのに、記録が抜け落ちても何も処置していない事例があったりして、買い手から見れば緊張感がないと映る不祥事例があったよな。」
熊さん 「そうでヤンしたなぁ。第三者調査委員会報告書を観ても経営トップの緊張感も欠けていたように感じヤシたな。
次の8.2.4に出てくる要求事項が変更されたときの話しは、前にも同じ様な要求があったんで分かると思いヤス。」
大家さん 「アー、そうだな。じゃあ、次は8.3の設計・開発の話しだな。」
(次回に続く)