空想? 妄想? 昭和紅白歌合戦 ⑤ 最終組
その⑤は、最後の21組〜25組の出場者を発表します。最終組です。
21組目 『最強 対決』
白 : 前川清 『東京砂漠』
紅 : 五輪真弓 『さよならだけは言わないで』
ムード歌謡の男性コーラスグループは、いっぱいあります。ロス・プリモス、ロス・インディオス、マヒナスターズとかロマンチカ等々。その中でもクール・ファイブの前川清ってちょっと別格。上記のようなグループは夜の酒場を舞台にした歌が多く、ちょっと演歌臭があるんですけど、前川清は違うんですよ。世界に通用する上手さです。
で、前川清に匹敵する女性歌手を考えてたんですけど、石川さゆりはもう出場したし、八代亜紀っていうのもありきたりだし。ということで私自身もう20年ぐらい忘れていた五輪さんに出てもらうことにしました。
この「東京砂漠」まずはアップロードして頂いた方に感謝です。このような企画をした方は誰? 素晴らしい。ギター渡辺香津美ですよ! この動画のコメントに”サンタナみたい”ってあるんですけど、そのとおりですな。
♫ビルの谷間の 川は流れない 人の波だけが 黒く流れてゆく♫ 朝の通勤ラッシュは本当にこのままです、黒系のスーツが多いですね、もっと自由な服装でもいいのに。作詞は吉田旺、ちあきなおみの作詞が多い方ですね。
この曲の対抗馬として、いしだあゆみの「砂漠のような東京で」が歌としてはピッタリで懐かしいですが、ちょっと弱いかな。いしだあゆみだとやっぱり『ブルーライト・ヨコハマ』ですね。
実家に兄の買ってきた五輪真弓の初期ベストアルバムがありました。「少女」とか「海」が入ってました。『恋人よ』がヒットする前のベスト盤だった記憶があります。それ以来テレビの歌番組等で聴くだけでした。改めて五輪真弓の素晴らしさに感動してます。いやー昭和には良い曲いっぱいありますね。
22組目 『京都の哀愁 対決』
白 : デューク・エイセス 『女ひとり』
紅 : 渚ゆう子 『京都慕情』
京都は学生時代に住んでいた場所です。だから思い入れも人一倍です。最初はかぐや姫の「加茂の流れに」をと考えたのです。♫やさしい雨の祇園町 加茂の流れにうつる あなたの姿 あれは初めての恋 見つめあう 見つめあう瞳 あなたと二人♫ 七五調でいいです。「神田川」のように散文でないのが雰囲気でてよろしい。青春時代を思い出します。でも南こうせつはもう「夢一夜」出場済みなので、『女ひとり』に決定。作詞:永六輔。
対抗馬候補としてチェリッシュ「なのにあなたは京都へゆくの」、藤圭子「京都から博多まで」は両方とも京都が舞台じゃないし没。(藤圭子は天国だしね)おお、ベンチャーズ作曲の「京都慕情」があるじゃないか。
一番は♫結城に塩瀬の 素描の帯が♫、二番は♫大島つむぎに つづれの帯が♫、三番は♫塩沢がすりに 名古屋帯♫ どんな着物と帯かわかりません。恋に疲れたわりには着物にこだわりがあり、あちこちに出かけているようです。大人の恋の雰囲気出てます。しっとり純和風。
渚ゆう子がミニスカートだぞ。着物版もあるな。♫遠い日の愛の残り火が 燃えてる嵐山♫ ♫遠い日は二度と帰らない 夕やみの東山♫かあ、絵になるなあ。しかし奈良では歌にならないのか? ♫燃えてる若草山♫とか♫夕やみの法隆寺♫とかなぜないのか。奈良は着物より、ハイキングの格好の方がピッタリ。吉永小百合の『奈良の春日野』ぐらいしか思い浮かばん。あれは鹿の糞の歌だから情緒はない。
もとはベンチャーズの 「REFLECTIONS IN A PALACE LAKE」(湖宮殿の反射?) インストだけど、これもいいなあ。
23組目 『サンバ対ワルツ 対決』
白 : 長谷川きよし 『別れのサンバ』
紅 : 伊藤咲子 『乙女のワルツ』
サンバで思い出すのは、「マツケンサンバ」、「お嫁サンバ」、「白い蝶のサンバ」、「てんとう虫のサンバ」ですけどどれも元気あり過ぎなので、「別れのサンバ」に決定。
対抗馬は森山加代子の白い蝶のサンバ」と思ったのですが、最近ご逝去されました。ご冥福をお祈りします。「あなたに抱かれて わたしは蝶になる・・」当時としては早口で良くマネにました。じゃあワルツということで、「ゲイシャワルツ」、「星影のワルツ」、「テネシー・ワルツ」ってあまりに古いな。そういえば「乙女のワルツ」って名曲があった。
サンバというよりボサノバですね。カッコいいわ!このギターとパーカッション最高。ブラボオー! ごっつあんです。
名曲です、伊藤咲子の歌唱力に脱帽。心がこもってます。歌詞は阿久悠ですね。北原ミレイの「ざんげの値打ちもない」の作詞者とは思えない。こんな乙女チックな詞も書けるんだ。天才だからね。
24組目 『天国より中継』
白 : 尾崎紀世彦 『あなたのすべてを』
紅 : 朱里エイコ 『北国行きで』
前提条件を破って、天国より中継です。尾崎紀世彦はどうしても出場して欲しかったので。『また逢う日まで』等は誰でも知っているので、隠れた名曲および尾崎の実力が判る曲を考えました。
例えばエンゲルベルト・フンパーティングのカバー『太陽は燃えている』 歌詞は英語なんですが、発音完璧で当然歌はうまい。原曲よりいいじゃないかと思ってしまいますが、日本の紅白なので日本語の歌詞の曲にします。『五月のバラ』も候補でしたが、5組目で布施明が歌ってますので。尾崎は『あなたのすべてを』を2回録音してます。28才と49才のとき。思い入れのある曲なのでしょう。
せっかく天国から中継なので、紅組は朱里エイコにご登場頂きましょう。候補としては『白い小鳩』このパンチのあるソウルフルな歌唱もすばらしいし、ポール・アンカ作詞作曲の「ジョーのダイヤモンド」もカッコいいのですが、一番哀愁がある曲ということで「北国行きで」に決定。
28才盤もいいですけど、今の私には49才盤が胸に響きます。でも演奏は28才盤がいいな。この歌は名曲と言われており、ちあきなおみも歌ってます。
朱里エイコさんカッコよかったです。超ミニスカートで歌ってました。
25組目 『超大物対決』
白 : 沢田研二 『君をのせて』
紅 : ちあきなおみ 『あなたのすべてを』
紅白歌合戦もこの組で最後となりました。トリにふさわしい超大物対決です。白組はジュリーです。曲はソロ第一弾の『君をのせて』(作詞:岩谷時子、作曲:宮川泰) ソロ第一弾なので”恥をかかせる訳にはいかない”ということで気合いを入れて発売したらしい。
ジュリーと肩を並べる大御所は、引退したちあきなおみに決定。曲は色々ありすぎて困りますが、24組目の尾崎紀世彦と同じ『あなたのすべて』で決定。聴き比べてね。
大ヒット曲「勝手にしやがれ」・「危険なふたり」・「時の過ぎ行くままに」もいいけどこれは隠れた名曲です。(そんなに隠れてませが)
「TOKIO」とか「カセブランカ・ダンディ」のような企画ものは、その時は売れますが名曲は生まれにくい。「TOKIO」は”とうきょう”を”トキオ”と発音するというアイディアだけといっても過言ではない、中身スカスカ。「スーパー・シティが舞い上がる」とか超陳腐。
「カセブランカ・ダンディ」は「ききわけけのない女の頬を ひとつふたつはりとばして 背中をむけて タバコを吸えば それで何も言うことはない」って単なるDVですわ。単なる男の我が儘です。ボギーは女性には優しいのです。阿久悠さんですけど、これはダメじゃん。弘法も筆の誤り。
この曲は’76年のカバーアルバム「そっとおやすみ」の中の曲です。ちあき29才時のアルバムです。この頃演歌も歌ってます。船村徹の「さだめ川」や「矢切の渡し」とか。これはまったく演歌の臭ありません。普通どっちかだけですけど。どっちも本格派というのは、美空ひばり以外できません。あと坂本冬美もいたか。
この写真のアルバムは、紙ジャケットの再発CDです。「ベッドで煙草を吸わないで」、「知りたくないの」、「愛のフィナーレ」、「そっとおやすみ」等12曲。歌はもちろん文句なしの最高なのですが、編曲と演奏が完璧。控え目で決して出しゃばらない、でも歌の良さを十分に際立たせる編曲・演奏なんです。★伴奏/コロンビア・オール・スターズ、★編曲/川口真です。
ということで、曲の正味時間だけで3時間20、曲目紹介や応援合戦や南極越冬隊からの電報等いれて約4時間番組となりました。最後に藤山一郎さんの蛍の光、そして永平寺からの除夜の鐘でお楽しみください。
”ではみなさん、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ”