上司にも聞かせたいこの話
以前もnoteに記載した「合理化」「効率化」「能率化」の三つの違い。
そういう話に及ぶことが多い。
三つの違いをクルマで喩える
この三つの違いを、クルマの運転で喩えるとこんな感じだろうか。
「合理化」とは、自分達はどういう景色を見たいからクルマを動かしているのか、またその景色は自分達がどれだけ納得できる美しいものであるのか、そこに辿り着くまでの方向性の確認や、ハンドルを切るタイミングはコレで良いのかを問い続けることだ。
「効率化」とは、エンジンを酷使させないためにも、そこに辿り着くための段取りは今のままで良いのか、さらには不測の事態による馬力負担を極力避けるためにも自分達の準備を怠っていないかどうか問う環境を創ることだ。どちらかというと、エンジンオイルに近い存在だろうか。
「能率化」とは、限られた条件の中で、無駄にエネルギーを浪費することなくどれだけ燃費良く走ることができるのかを工夫し続けることだ。
ここで重要なのが、自分自身の仕事の進捗でも、上司に指示されている職場環境でも、「効率化」と「能率化」の部分だけに意識が行っているだけで「合理化」についてじっくり考えたり、職場仲間や上司との間で対話をする機会が全くと言って良いほど無いという人が大半であるということだ。
合理化について対話がない職場
ある大手保険会社の本社で長年営業事務をしていた女性がいる。
彼女の歴代の上司からは、この会社が目指す顧客の幸せづくりについての「合理化」の話は一切なく、ノルマ達成に向けた「効率化」「能率化」だけを現場で求められ、自分なりに創意工夫を続けてきた。
毎年なんとかノルマをクリアしても、彼女への業務量は増える一方であることから、自分らしさを見失う前にと、もっと先の定年を前に退職をした。
「主人の仕事を少し手伝いしながら、残りの人生は、自分のしたい事・やりたい事をみつけて、それが価値のあることになれば良いな~♪」と次の道を歩み始めている。
その後、彼女がこなしてきた膨大な業務量は、現職3名に振り分けられたとのことだが、全く機能していないらしい。
最近では「私にはできません。」と、ハッキリと業務引き受けを断る人も多くなっているとのこと。
ここで推察できるのは、相変わらずその職場では「効率化」と「能率化」だけが求められており、上司および組織全体で、自社の事業活動の合理的存在理由については、何も開示されていない可能性が高い。
合理的な存在理由…つまり、その仕事はなぜ我々である必要があるのか。
我々は、誰の幸せを築くために嘘のない自分達にとって、どのように道理に合う仕事をしているのか。
そもそも仕事とは誰かの未来の幸せを築く「価値」を産み出すことである。
その「誰か」とは、必ず最終的にエンドユーザーの暮らしにつながるものでなくてはならない。
そうした中で…自分達にできること。
自分達だからできること。
自分達にしかできないこと。
その積み重ねで、顧客からの信用と信頼につながり、そのプロセスにおいて、働き手の心意気や価値づくりの誇りも生まれてくる。
つまり、「合理化」についての対話機会も無く「効率化」「能率化」ばかりが求められるならば、自分達が乗っているクルマは、やたらとエンジンの回転数は高く、燃費効率も向上させられ続けている中で、一体どこに向かっているクルマなのかワカラナイ状態ということになる。
「合理化」「効率化」「能率化」の違いを、クルマの運転での喩えではなく、定義づけとしては過去にここに記してある。
手法だけに酔う傾向
自分は一体、どこにいる誰にどういう幸せを築きたいのか…個々にその主体性がない人が集まる組織運営は、必ず価格競争に巻き込まれる事業体質・働き手も疲弊する事業体質となっていくんだ。
嘘のない自分が納得できる仕事。
頭だけではなく自分の心が活きる仕事。
社会に自分を合わせるのではなく自分に合う社会をコンパクトに築く仕事。
今の仕事が自分達が感じる「道理に合う」ものであるかどうか…それを常に問い続けることが「合理化」の本質であり、その合理性が美しければ、戦略や戦術なんていうのも不要になるんだよ。
「合理化」の本質を問い続けない人ほど、戦略や戦術に関する本から影響を受けるんだけど…まず実践では機能しないよ。
幼少の頃、将棋をしていて「王手!」と詰まれても、「ボクは王のためには働いていないから、そんな王なんてくれてやる」とそのまま将棋を続けようとする主体性の持ち主だったボクもどこかおかしいが…「合理的な主体性」を持ち合わせていない大人の集まりのほうが、余程滑稽に見えるんだよね。
良かった、そんなことまでは執筆本まで書かなくて。
絶対そんな表現って、誰かにケンカ売っていると勘違いされるよね。
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(なんだよ、最後宣伝か!…でも、もう在庫薄になってきたんだよね…。)
有限会社バックステージ
文化形成デザイナー
河合義徳
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