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会社&学校&家庭の改革

「自分と他者の幸せを同時につくること」

私たちは、この「価値づくりの本質」を職場で毎日実装化していくことが、どんな職業でも誰であっても「働きの目的」であると確信しています。

この目的達成のために必要であれば以下のことも悪い事ではありません。

  • 誰もが知る国家資格を取得する

  • 誰もが知る有名企業に就職する

しかし…

資格を取得することや大企業に就職すること自体が目的にすり替わってしまうと、働く本人にも顧客にも本質的かつ持続的な幸せにはつながりません。

それは、クレジットカードや住宅ローンの審査が通りやすくなる程度の好材料となる以外には大したメリットではないのです。

働くということに歓びとやりがいを感じるためには…

  • 顧客の幸せを築くために資格を活かす

  • 共感できる姿勢の会社で自分を活かす

ということなので、資格取得も就職もそのための手段に過ぎません

ところが、とても多くの人が「そんな事はあたりまえ」と軽くいなす程度に終わるか「そんなキレイゴトでは勤まらない」と反発する社会です。

なぜなら、現代社会では「会社の利益を産み出すこと」が最優先となって、顧客・従業員・仕入先の幸せなどは度外視された経済活動になりがちだからです。

そうなると、先の「あたりまえ」のことはどんどん形骸化されていきます。

あたりまえのことが崩れている実態を疑うならば、不正会計・不正検査・不正表示をしてきた数々の企業をネット検索してみてください。
誰もが知る企業の名前がたくさん出てくるだけでなく、そうした不祥事は、何十年も後を絶つことがありません。

ただし、このコラムの論点としては、大企業批判が目的ではないのです。
不祥事が起きる原因は、はたして経営者や企業体質の問題だけなのかという点にフォーカスを当てた話は以前にコラム化しています。

このコラムでは、冒頭記載の価値づくりの本質の「あたりまえ」のことが崩れている実態を、この国はいつまで続けて行くのかというのが着眼点で論述します。



子ども達が将来なりたいもの

小学生から高校生までが憧れる仕事についての最近のデータには少々驚かされました。
数年前に話題になった最も憧れる職業は「ユーチューバー」でしたが、それを抜いての一位は「会社員」となっていたからです。

これは、第一生命保険株式会社が2024年3月に開示した第35回「大人になったらなりたいもの」調査によるものです。

ただし、その調査によると「会社員」を選んだ子でも、就きたい仕事の業種は多岐にわたっていることには、ホッとさせられます。
単に「会社員」ではなく様々な業種に関心があることを表していました。

さらに、そうした選択の理由が

「好きだから」
「人の役に立つから」
「カッコいいから」

良いんです…それで、イイんです。

なりたいものが「会社員」であっても、そこでの業態で憧れることで邁進できればそれでイイんです。
 



冷静に考えるとこのデータ以外のことも勘案してみると「あれあれ??」ということになっています。


残念なほど高い退職率

厚生労働省の基幹統計である「雇用動向調査」では「常用労働者数に対する離職者の割合」と定義しているので、いわゆる離職率≒退社率と捉えて良いでしょう。

◆令和2年3月卒業の3年以内離職率
 高校 37.0% (+1.1P)
 短大等 42.6% (+0.7P)
 大学 32.3% (+0.8P)

3割~4割の人が長続きしません。
また、高校生や大学生の3年以内の離職率の推移は、この35年くらい3割~4割と、ほぼ変わりがありません。

また上記は平均値である中で、飲食業界や生活関連サービス業においては50%を超える数値の業界もあるようです。

また参考までに次のようなデータもあります。
大学教授グループの調査データによると、小中学生の教職員に至っては、ベテラン先生までも含めた離職や転職を検討しているかというアンケート結果が以下のとおりです。

1年以内に実施したい…13%
3年以内に実施したい…62%

(2024年4月10日東京新聞)

話を元に戻しましょう。
新卒から三年以内の退職率の高さを目の当たりにして、これから社会に出る子ども達に「会社員になって好きな事をすると良いんだよ。」と言い切れるでしょうか。

もちろん、さまざまな職を経て、天職を見出す生き方もあるでしょう。
その話を持ち出すと論点がズレるので、ここでは省きます。

個人的なつながりの数とは言え、3年以内に退職をした若い世代に実態を聴くと、ほぼ全員が同じ答えを言います。

「仕事は好きだったし誇りも持てたが、勤務先の経営姿勢・企業体質が自社の利益優先ばかりで顧客の先の幸せなどは全く無関心な仕事だった。」

「先輩たちも最初はそうした職場体質に違和感もあったが、長年勤めているとその体質に染まっている先輩社員ばかりで、自分の感性が潰される前に転職すると決意した。」

この表現は何の誇張でもなく心の叫びのようにも感じたものです。

また、勤務経験が長く納得できない仕事を続けて、価値づくりの本質である「あたりまえ」からは逸脱していることを明らかに自覚していても、住宅ローンを抱えてしまっているがために辞めたくても辞められないという切ない実情も、しっかり耳に入ってきています。

皮肉な話ですよね…。
有名企業に勤めたからこそ審査が通りやすく35年の住宅ローンを組めたものの、結果としてそれがわが道の制限になっている事にもなりうるなんて…。

いつの間にか働く目的が住宅ローン返済のためになっている人ほど、三年以内に辞めて行く若手を「根性が足りない」と陰口をたたくなんて…さらに皮肉なものです。


企業側が選ばれる社会へ

こうした実態により、個人的に以前から感じていることをココで曝け出してみることにしました。

この社会から「就職活動」という言葉とその仕組みをヤメないかということです。
つまり、企業が学生を選ぶのではなく、学生が企業を選ぶアプローチが主体となることへ変えることを推進したいということです。

自営業を継ぐ・自ら起業する・公務員になるなどを除いては、もう何十年も学生達は内定をもらうために就職活動をします。

中には子どもの頃からいろんなプロセスを経て、憧れの業態にチャレンジする学生も多いでしょう。

しかし、企業に入ってみないと、自分に合う仕事であっても、自分に合う会社かどうかはワカラナイのです。

ハラスメント、意味のない業務や非合理的な業務、人間関係のトラブル…そうしたことが多いばかりが退職理由でもないのです。

結局は、会社自体がどこを目指して、誰のための仕事を求めているのかを、見せかけではなく実態を明確に示せているかどうかなんです。

そのためにも、これまでのように学生が多くの企業を出向くのではなく、経営陣が「明確なビジョン」「実体として示せる経営姿勢」を開示し続け、企業側による多くの学生向けの「入社検討プレゼンテーション」によって、学生側に採用されるくらいの構造改革をしないといけないのかもしれません。

会社のビジョンと経営姿勢に期待と共感を寄せてもらった上で「わが社の顧客の幸せを築くために皆さんの感性とスキルを発揮できる環境を整えているので、ぜひあなたのチカラを貸してもらいたい」というスタンスにすることです。

学生が企業に選ばれるのではなく、企業側が学生に選ばれる立場になる必要を強く感じる社会となっているのは間違いありません。

「人手不足」なのは、人口減が主な原因ではなく、企業側による「実態の情報開示不足」「経営姿勢への共感と期待値が足りない」ということが主な原因となる社会にしていかないといけません。


学校も改革が必要

教育現場でも、小手先の業務改善では改革にはなりません。

国語・算数・理科・社会・英語のこれまでの5教科を廃止し、衣・食・住・遊・働という5教科に置き換えることで、それぞれが自分らしく生き抜くための探究心を刺激する環境に変革するくらいのことも必要かと思われます。

その新科目には、必然的に旧5科目の学びも自然と備わっていきます。
したがって、教師も衣食住のいずれかの産業において「顧客の未来の幸せを築く価値づくり」の体験者である必要があります。

そうした中で、働くとは何か…休みの日は休むのではなく本気で遊ぶために活用して、そのためにも自分の働きが活きるということの体験者が教員になる必要性を強く感じます。

教育実習生という制度など早々と廃止し、社会活動経験を教員免許の必須にすべき時代ではないでしょうか。

なお、誤解を招かぬように述べておきますが、今の5教科そのものを否定しているのではありません。

例えば…話せるようになる実用英語にはならない今の義務教育の英語も、新たに衣食住等の科目探究をする上で「実用英語が必要」と感じれば、子ども達は自ずと探究心も芽生えるでしょう。

したがって、主体的な意思疎通のための英会話教室や塾は今後も求められるでしょう。

ただし、その時には受験対策や英検対策の塾とは違うものしか残らないでしょうが、それこそが「学び」の本質ではないでしょうか。

なぜなら、幸せに生きるための学びの探究になるのですから。

これについては過去にもコラム化しました。


家庭でもそろそろ変わろう

またこれらに伴い、家庭の親も意識改革が必要でしょう。

「あなたならできるはず」という学びの奨励は、信頼ではなく期待値の強要になりかねません。

そういうことよりも…小中学校で学ぶ衣食住の価値づくりにおいて、あなたは何をしたいのかということを対等に向き合うだけで良くなる気がします。

あなたがやることの先の未来を私たち親も見てみたい。
その見ている先の未来はどんなものか想像もつかないからこそ私たちもワクワクする。
ただし、本気で楽しいことの先は、何一つラクなことがないは私たちも知っている。
だから、探究心が高まり納得する歩みをする環境設定だけは手伝うよ。

親はそれでイイのではないでしょうか。
本人が本気で楽しんでやりたいのなら、ラクな道でなくても、自分に必要なスキルは自ら探求もするようになります。
それがたまたま学びにつながるだけのことなんです。

関心事や探究心もなく、ただ進学のためや偏差値を高めるための学びなど、苦痛以外の何ものでもありません。

「自分もよくわからなかったけど、楽しいことを見つけるより楽しくないことでも我慢して苦労を重ねてきたんだ。忍耐力だけは身に着いたからあなたも頑張れ。」と言われているのと同じなんですよね。

まだ自分が進んできた理不尽なこと…その同じ轍を踏ませるのでしょうか。

この無意識に起きてしまっている「学びの強要」…社会全体がそんな環境を作り出しているかもしれません。

まさか未だに「資格は何でもいいからたくさん取得しておきなさい。国家資格をたくさん取っておくと就職に有利だからね。」なんて、わが子を鼓舞している親御さんはおられませんか?

本質的に間違っているそんなアドバイスは即刻やめましょう。


まとめ

冒頭記載の価値づくりの本質の「あたりまえ」が崩壊している社会…これをこの国はいつまで続けて行くのかということを取り上げ「就職活動の廃止」「学校科目と教員免許資格の変更」を提言する結果となりました。

しかし、こうしたことは数々の先人達からも、今のような危機的状況を鑑みこれまでにも数々の提言はたくさんあったはずですし、今もどこかで誰かが似たような提言はしているでしょう。

個人的に感じているのは、そうした一部の人がとか、誰かがという人任せではなく、この国の一人ひとりの生活者が、草の根から変って行かないと「改革」などは起きないということです。

また「改革」とは違い「革命」を望むものではありません。

「革命」はまた新たなヒエラルキーを産むだけなので、どのような手法改善がなされても、人頼みの無責任な風潮は変わらず、選挙投票率すら上がることもないでしょう。

長いものには巻かれろ。
辛いことを我慢する仕事があるからストレス発散の余暇があるんだ。
それ、本気でわが子に諭しますか?

そろそろ草の根の一人ひとりが「あたりまえ」のことと向き合いませんか?

本業では「会社のために貢献します」という社員さんよりも「顧客の幸せにつながる価値づくりとして自分は主体的にこうしたい」という社員さんが多くなる企業文化をデザインしています。

しかし、現状は多くの大人が「自分は一体どうしたいのか」という主体性が無さすぎるのも実態なので、なかなか苦労もしています。

でも、そういう大人の姿を見るたびに「カッコいい社会人」とは程遠いものを子ども達は感じ取ります。
子ども達は、大人の嘘や虚栄を見抜く天才達なので…簡単に見透かします。

次世代につながる価値づくりをテーマにした10年以上続く会合で、そうしたことを確認し合える時間があったので、備忘録としてコラムにしたためておくことにした次第です。

Backstage,Inc.
事業文化デザイナー
河合 義徳

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