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毎年夏にかけて、新入社員さんと思われる「この地域の担当になったので、社長様にご挨拶を」という飛び込みが多いのです。

そういう決まり文句・一辺倒なアプローチしかできないなら、突然訪問されたこちらは「迷惑」でしかありません。

しかも、「一日にどれだけの名刺をもらってくるかが、新入社員として通るべき道」という育成していない上司がいる会社は、新人さんにも訪問した先にも「大迷惑」でしかありません。

訪問先が、既存の取引先であろうが新規開拓先であろうが…

訪問を受けた側にとっては、こちらが「どういうお客様に、どういう商品やサービスを用いて、どのような幸せをもたらそうとしているのか」…そこに深い関心もなく「エリア担当になりましたし、少しお時間頂けませんか?」と言われているのです。

こちらにとっては、自分達の顧客の未来に向けた価値づくりの準備をしている大切な時間を割かれるのです。

だから、その事業者の未来の可能性も含めて、「アポなし訪問営業のあなたの話を聞いてあげるためには、5分ごとに1万円を徴収致します」という張り紙を入口にしておきたいくらいなのです。もちろん、近隣地域からの印象を悪くするだけなので、実際にそんな張り紙はしません。

時間がないのでごめんなさいと伝えると、最後に必ず「お名刺だけでも頂戴できませんか?」と必死に頭を下げてくる営業マン。
そして、どうすればその満面の作り笑顔ができるのかと思える先輩社員が、新人さんの後ろに立っているその様相…。

ごめんなさい。
あなたのノルマに協力はできないものの、そういうことをやらせているあなたの会社に微かな抵抗として、名刺は渡せません。

迂闊に名刺を渡してた後に、「弊社の〇〇が過去に名刺交換させて頂いた方々に一斉配信しています」という長文メールが届くと、余計にこちらもガードを上げて、心は閉じていきます。

信頼を失うやり方に、根性や熱意を使うのは、明らかにがんばり方を間違えた「突撃」です。

もちろん、訪問の全てを否定しているわけではありません。
サラリーマン時代も、独立した後の新規開拓で、その苦労は身に沁みて解ります。

でも、訪問先がどういう価値創りに勤しんでいるのかも理解しないままのアポなし訪問は「押し売り」と変わらず、本当に迷惑なだけなんです。
住所と社名だけで検索すれば、今は小さな会社やお店でも、ホームページもある時代です。

もちろん、そこに記載されていること自体が、一体ナニを目指した事業なのかサッパリ理解できない場合もあります。
それでも、日々行っている業務に関心を持ったり、何かしらを感じながら訪問すると、対話が生まれる可能性はゼロではありません。

要は…「熱意」っていうのは、大きな声や、深々と頭を下げることばかりじゃないと思うのです。

自分の存在価値を認めてもらうための「熱意」とは…

まず相手のことに深い関心を寄せて、その相手の未来に、自分達をどのように役立てることができるのか、それがなぜ自分でなければならないのかを考え抜くことなのではないでしょか…。

そもそも、その「熱意」があれば、自分が勤めている会社自体が、「どこの誰にどういう幸せをもたらせようとしているのか」ということにも、深い関心と共感があるはずなんですが…

おそらく、それすら人に説明できず、自分も納得しているわけでもない中で、会社のノルマ達成の商品提案トークの場を求めているのなら、ボクらが大切にしている時間を差し出すわけにはいきません。

こちらの名刺の代わりに、この内容のプリントアウトを渡すというのも、いやらしいので、そんなことはしませんが…「訪問する」「相手の時間を頂戴する」というのは、事前の準備と整えで、クオリティの8割が決まります。

Backstage,Inc.
事業文化デザイナー
河合 義徳

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