物欲
運命の赤い糸で繋がる相手というのは偶然出会うものであって、前もって知れるようなものでもありません。
一生モノのギターにだって、そうそう頻繁に出会えるものでもなく、一期一会の世界です。
素敵なカバンとの出会いも同じです。
設計が同じだったり、かなり近いデザインのものはたくさんあっても、全く同じものは世に二つと存在しません。
そのカバンに惚れたらもう、そのカバン、なのです。
カンガルー堂に行けば買えるとかAmazonで頼めばいいとかいう問題ではないんです。
恋愛だって、その人だから好きなのであって、異性だからとか元恋人に似ているからとか好きなタレントに似ているからというのは、「好き」の理由にはなりません。それと似ています。
そんなわけで僕はカバンに割とこだわるタイプで、同じものを長く使う傾向にあります。今使ってるカバンも、公私兼用で5〜6年使ってるかな?スタジオに、旅先に、ライブハウスに、どこに行くにも必ず携えてきた大切なカバンです。
が。
昨日、久々に出会ってしまいました。
新しいカバンに。
機能的かつ洗練されたデザインで、しかも革製なので育て甲斐もある。買わない理由がないんですけど、と手に取るも、その瞬間に頭をよぎるのは、今メインで使っているカバンのこと。
壊れたわけでもない、むしろ育てるという意味ではこれからという時期なのに、今のカバンを差し置いて新たなカバンに移行するのはどうなんだと。それって浮気なんじゃないかと。そんなだからギタリストはチャラいとか言われんじゃないのと。
ピュアな心の持ち主である僕は逡巡しました。
・・・と、すかさず心の物欲担当大臣が横槍を入れます。
いやいや、よく考えてみなよと。このカバン、今のカバンよりも薄いでしょ?と。何に使うかわかります?移動時のPCケースとして使えるじゃないですか。今まで純正のケースを使っていたけどそれってデカくてかさばっていたでしょ?今このカバンを手に入れることで今後の利便性が増し、ひいては生産性もアップできるはずなんです。いかがでしょう。
僕の心のプレーンな部分はまた迷います。なるほど一理あるね、それも。
ちょっと待ったと心の大蔵省。だったら今のカバンにPC入れて持ち運べばそれで終わりじゃないですか。だいたいカバンなんてそもそもそれ自体がかさばるんだから、ただでさえモノの多い作業部屋がまた狭くなるでしょうが。モノが増えると部屋が散らかって集中力が低下し、作業効率はむしろ落ちるんです!
物欲担当大臣も引き下がらない。
あのねぇ、カバンはモノをしまうための道具なんですよ。カバンが増えたらモノが増えて部屋が散らかるという論理は飛躍してますよ。それに、このカバン、ただのカバンじゃないじゃないですか。単なるPCケースだったら僕だってここまで食い下がりません。PCおよび周辺機器が綺麗に収納できる機能性にスタイリッシュなデザイン、これらを両立している時点でかなり希少なのに、育て甲斐のある革製ときたもんだ。こんなカバン、めったにお目にかかれません。このチャンスを逃したらもう二度と出会えないかもしれない。今回はそういうロマンをも含めてのご提案なんです!
もう、なんか営業マンです。
ま、結果は、
気に入ってます。