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「記事から曲」2曲目。カナヅチ猫さん


第3回「記事から曲」、2曲目はカナヅチ猫さん『それは僕じゃないよ』をもとにして書いた「君と僕」という曲です!

カナヅチ猫さんからは、今回の小説について事前に「変な作品」とのコメントを頂いていました。変かどうかはともかくも、難解な作品であったことには違いなく。わかるまで何度も読み直しました。


曲作りの背景を書くにあたっては、『それは僕じゃないよ』という作品を僕がどのように解釈したのかを踏まえる必要があるので、ぜひ皆さんも読んでみてください。

そのうえで、これはあくまでも僕の個人的な解釈とさせていただきますけれども。。。


『それは僕じゃないよ』という作品は、100編の小説を書き終えたカナヅチ猫さんの、101作目以降を書くにあたっての決意表明のようなもの?という風に感じました。

作品の中で「かかし」が象徴的な存在として登場しますが、その登場シーンに秘密があるように思います。

僕の言葉は僕のためにあって、僕は僕の言葉で僕を支えていて、かろうじて、かろうじて立っているんだけれども、(中略)かかしみたいに、ぬけがらみたいな何かが、立っているだけなのかもしれないけれど。


「文章を書くということ」が主題になっていると感じたのは、次の箇所。

 僕の身体は、使い古された手ぬぐいと、そこら辺の裏山から切り出してきた竹で出来ているからね。僕はね、もう一人、もう一人と、どんどん僕はね、作られることができるんだ。僕をね、もう一人、作られるんだよ。

どんどん作られるかかしのように、文章そのものはいくらでも生み出せる、と考えるとリンクするものがあるように感じました。


そして、今回作る曲の根幹にしようと思ったのが次の箇所。

 君みたいに柔らかい肌を、言葉を、柔らかい唇を。
 僕は自分の身体を使って柔らかくなれるかどうか、実験しているんだ。だからその実験のうちの99編。君についての99編は僕についての99編で、それは僕じゃないよ。


かかしは竹の先っちょで文章を書いていて、それは風に吹かれてやわらかくもなるけど、それでも君のやわらかい肌にはかなわない。

つまり、実際の存在、生、リアルなこと、などに限りなく近く表現することは文章でもできるけれど、それでも生そのものにはならない。だからこそ、少しでも生に近づけるようにこれからも文章を書いていこう。そんなメッセージが込められているように感じました。


これらを踏まえて、曲を作るにあたっては、ここでいう「君」にあたる生の存在と、それを音楽的に表現した「かかし」の両者が必要でした。

「君」は生の存在ですから、人の声や自然の音を素材として使いたく。本来であれば実際に音源を撮りに出かけたりしたかったのですが、1週間ではさすがに難しかったため、今回はサンプル素材を使いました。鳥の声と赤ちゃんの泣き声、心臓の音などを使っています。


音楽はその対極に置き、人工的であったりデジタルであったり、いずれにしても「つくられたもの」という位置づけにしたかったので、あえて大げさにアレンジしました。これでもかといわんばかりに電子ドラムからスタートし、エフェクトもかけまくっていますが、時間の経過とともにアナログに近づけていって最終的にアコギのブロックで完結します。デジタルからアナログへの回帰というよりも、アナログをデジタルで表現すること、みたいなテーマを念頭に置いた構成です。

※「君」と「僕」を対極としてとらえると『それは僕じゃないよ』の世界観とは離れていくようにも思いますが、ここではあくまでも「君」と「僕」(=つまり生と人工物)はべつものである、ということをポイントにした感じです。



ずいぶん前置きが長くなりましたが、完成した音源がこちら。


前置きがないと、きっと難解な曲だったと思うので。。



気軽に聴けるような曲調ではないかもしれませんが、何か感じてもらえるものがあったら、うれしいです。

カナヅチ猫さん、素晴らしい作品とコラボさせていただき、ありがとうございました!






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おまけ

作品を読んだ解釈をうまく言葉で要約できていないので、曲作りにあたって読み込んだ際の構想メモを残しておいてみます。

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走り書きで恐縮ですが、構想を考えた際の僕の頭の中はこんな感じでした。




==今回の制作配信==

今回の制作配信は、ほぼ無言です。いやすみません、今回も、です。

リアルタイムで視聴者がいないと黙ってしまう悪い癖。。それだけ集中してるということでもありますけれどね。

ときどき楽器の音が鳴ったりしているので気が向いたら飛ばしながら聴いてみてください。



==お知らせ==

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