「あなたの記事を曲にします」4曲目、yuca.さん
記事から曲、4曲目はyuca.さんとコラボさせていただきました!
花言葉にちなんだショートストーリーを配信されているというyuca.さん。その素敵な発想に感動しました。
応募してくださった作品はこちら。
パンジーの花言葉をもとに書かれたショートストーリーです。
初恋の甘酸っぱさが苺に喩えられるというならば、大人の恋はなんなのだろう。夏の終わりに実をつけ、控えめな甘さとほのかな酸味を兼ね備えた無花果あたりが適当だろうか。
まず冒頭から一気に、世界観に引き込まれました。
この主人公はどんなひとなのだろう、引き付けられながら読み進めていくと、少しずつ彼女の置かれた状況や悩みの種が明らかになっていきます。
結婚にはまだ程遠いところにいる私にも、恋する相手くらいはいる。思い切って食事に誘った私に、誘いに乗ってくれたとも、うまくかわされたとも読み取れるメッセージを送ってきた彼。私はそれに、未だ返事をすることが出来ないでいた。
歳を重ねると、傷付くのがどんどん怖くなる。
苺の甘さなんかじゃ物足りない。私は凍りつきそうな心を溶かすように、チョコレートケーキを追加した。
曲を作るにあたっては、この、「味の変化」をキーワードにしてイメージを膨らませました。
ここまで読んだ時点では、苺がチョコレートに、つまり「甘酸っぱさ」が「ほろ苦い甘み」に変わっていく様子を表現しようと思ったんです。どちらも甘みという点では共通していることを考えると、変化としては、酸っぱさが苦みに変わるということですから、せつない恋心のようなものが大人になってもう少し渋くなるような、そんな雰囲気をイメージしていました。
ところが!
この作品がどのように締めくくられえるかというと
現実の恋なんて、もう少し後でもいいだろう。
という一文で終わっているんです。
また世界観が変わりました。つまりチョコレートケーキの苦みにフォーカスしているのではなくて、あくまでもその甘みに浸り、(それが現実かどうか別として)新しい恋に進もうとしている。
ということは、主人公の気持ち自体は少なくとも100%の後ろ向きではないと思われるので、前に向かう要素がないとあべこべな曲になるなーと思い、方向転換しました。
そして結論としては、苺からチョコに向かうんじゃなくて、チョコの中で、苦みから甘みへ焦点が移り変わっていく、そんな雰囲気の曲に仕上げました。
苦みとか大人な要素はサックスのジャジィな雰囲気に一任して、曲の展開とともに苦みから甘みへ、落ち着いた雰囲気から華やかなムードに映っていく様子を表しています。
一度読んだだけでは、大人な曲というイメージが強く浮かんできました。ところが何度も読むうちに、大人の中にある初々しさとか、苦みの中にある甘さとか、一見矛盾するように思えても実際に共存している気持ちや感覚がたくさんあることを感じました。
素晴らしい作品とコラボさせていただき、本当にありがとうございました!
ショートストーリー以外に、読書に関する文章や、写真の投稿もされているそうですので、ぜひチェックしてみてください!
yuca.さんのプロフィールはこちら!
ジュンペイ
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