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相棒


小4くらいにギターを始めた。

始めたと言っても、レッスンに通うでもなけりゃ独学というにも程遠く、もはや我流。

たまたま実家にピアノがあるので、その鍵盤の音と対応させて一つずつ覚えていった。

ちなみにそのピアノ、長いこと調律していないせいで半音くらいずれている。フラットチューニングが僕の耳にしっくりくるのはそのせいかもしれない。それでブルース好きになったのかと思うとなんか笑える。

 

ともあれ僕は小学校時代からギターキッズでした。

 

中学に入ってそれはさらに加速し、困ったのが高校受験。

中2の冬くらいまでは「高校なんてどこでもいいよギター弾ければ」とか思ってたけど、中3になって某公立高校に交換留学制度があると知り興味を持った。何としても合格したいと思った。

それで葛藤した末、勉強に集中するため泣きながらギターケースに鍵をかけた。その鍵は親に預けて、自分で勝手にこそこそ弾いたりできないように自らを律した。

 

で高校は受かって真っ先に向かったのはギターケース。半年ぶりくらいに手にするモーリスのアコギはいつになく優しくて涙が出た。

ああ、やっぱり俺はギターが好きだと思った。

 

高校の入学祝で今は亡き祖父に買ってもらったのがエピフォンのレスポールスタンダード。

いつかはエレキギターを弾いてみたいというのが夢だった中坊の俺にとってはまさしく夢のようだった。だってそれまで、ギターの形に切り抜いた段ボールにたこ糸を張ってギターにしたり(当然まともに演奏なんてできない)、ギター詩の通販のページを読みすぎて背表紙がぶっ壊れてバラバラになったり、どうにかしてアコギを気合で歪ませられないかと本気で悩んだりしていたのだから。

部屋に飾ったレスポールは夢への片道切符のように思えた。

 

 

自分の仕事部屋には、今もまだそのレスポールを置いている。

遊びだけでなく仕事用にも問題なく使えるようにきちんとセットアップされていて、昔と比べるとなんだか随分こざっぱりした印象だけど

ところどころにこれまでを共に歩んできた歴史が刻まれている。

 

4弦のペグがあさっての方向を向いているのは、ライブでテンションが上がり思いっきりギターを振り上げた拍子に天井にぶつけたときの名残(自戒を込めて直さずにそのままにしてる)。

弦高が異様に高い(12フレット地点で2.0mm)のは、自分がギターを始めた入り口がアコギだったからそのセットアップになれてしまっているため。

ボディのあちこちに残る打痕は、ひとつひとつ、いつどこでどのようについたものなのか説明できる。

フロントピックアップが極端に低く設定されているのは、リアでパワーを稼ぐことが正義だと思っていた若き日の名残り。

 

これを仕事用にフルカスタムすることもできなくはないが、個人的には思い出を大切にしたいタイプなので、できるだけ当時のセッティングを活かす形でメンテをしていて。

現在はフラットチューニング専用機として活躍しています。

 

まぁ、何が言いたかったかというと

ギターも人間と同じように年をとるし、年を取るごとに渋くなっていく存在だということです。

 
※ブログより転載、一部改変。

 


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