逆算プロフェッショナル
「私なんかはプロですから、朝7時に起きよう思ったら前の晩から目覚まし時計セットしときまんねん」
「ほう。普通ですな」
「まあ鳴りよりへんかったけどな」
「電池切れかいな。逆算が足らんのんちゃうか」
「でもまあそこは体が緊張して起きよる。眠りが浅いねん」
「私もプロやからね、カップ麺作るぞーとなったらお湯を注ぐ3分前に逆算してお湯沸かしまんねん」
「何分前でもよろしいわ。3分待ったらしまいや。私なんか昼にカレーうどん食うとなったら、前の日から逆算して黒いシャツにアイロンしますねん」
「そんなんせんでよろしい。エプロンしたらしまいや。私もプロやから、次の日体力使うでーなったら前の晩にジョギングしまんねん」
「なんやそれ。逆算できてまへんでそんな泥縄は。私なんかそこはしっかりしてますから、そろそろ脚つりそうやな思ったら、逆算してちょっと前に廊下に出ますんや」
「無茶普通やね。逆算にもなってへん。私はちゃんとしたプロやから、そろそろ新しい仲間来るでーなったらちょっと他の駒を寄せて駒台にスペース空けんねん。読みちゅうもんは逆算と仮定の話やからね」
「そりゃ日常の動作ですわ。私はもうすべてが逆算ですから、そろそろ詰まされそうやな思ったらすかさずマスクつけますんや」
「いやあんた王様詰まされる前に投げるのがプロちゃうか。私はもう慣れてますから、その時に言うべき言葉をお風呂で練習してまんねん。今日は言う必要ないけどもな」
「ふんっ。逆算できてへんな」
「その内わかりますわ」
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「それでは時間になりましたので対局を始めてください」
「お願いします」
「お願いします」