雨上がりの街を歩いて
ドアノブの欠けた
モスの中にたどり着いた
書くべきことは残っていたけど
書くに値することは何もなかった
硝子に向いていることが
ささやかな救いだ
反射する白いシャツの背中
ヘッドフォンを当てて何かを聴いている
飛沫を上げて走り去るワゴン
横断歩道に開いて見える傘
もう雨は上がったのに
ドラッグストアの明かりが消える
硝子についた今夜限りの水滴が
何よりも美しく輝いて見える
大きくても小さくても
それはきっとみんな丸い
伝え落ちるものは一つもない
ここはまだ
生まれたばかりの宇宙
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