ルート2(不要不急の道)
改札へ向かう道は2つ。ルート1とルート2だ。ルート1は人が多く、ルート2は極端に少ない。
ルート1は気の抜けない道だ。一定のペースで歩かなければ、踵を踏まれてしまうかもしれない。進む人も、向かってくる人も、同じように多い。コース取りを誤れば、肩がぶつかってしまうかもしれない。
ルート1は早い(近い)。わかりやすい。みんなが行く王道だ。リスクがないわけではないが、流れに乗ってしまえば問題ない。人の後をついて行けばいいのだ。ルート1を歩く人は、みんなそれを理解している。
ルート2など、そもそも候補にならないのだ。
いつものようにルート1に足を踏み入れたところで、私は思い直した。
(道が呼んでいる)
本当に、ルート2は選ぶに値しないのか……。
特に急ぐこともなかった朝、ルート2の中を歩いてみた。
ルート1に比べて広い。暗い。(幻想的)人がいない。(空き地みたい)(独りになれる)遠い。遠回り。(短い階段、またはエスカレーターあり)(アトラクション感!)
ルート2を選ぶ時、その理由はすべてルート1の裏返しだ!
そこは詩情、冒険、遊びの詰まった「不急の道」だった。
私は時々、ルート2を歩くようになっていった。
空き地の果て、前を行く男が突然ターンして戻ってくる。
ルート2は難しい。だから、迷える道でもある。