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ドラゴン封じ
東京アラートが発動されて各対局には直ちに待ったがかけられた。また、新しい宇宙ドラゴンが大都市の中心地に出現したのだ。旧ドラゴンを撃退した日はまだ記憶に新しい。人類の英知が結集された先に世界が平和を勝ち取った瞬間だった。新ドラゴンにはまだ弱点が発見されていない。徹底した時間稼ぎ。今はそれだけが人類の生存率を上げる方法だった。
「それでは封じてください」
飲食店の店員が臨時で立会人を務めていた。(人手不足のため記録係は広くから募っており、有段者の資格を持つ芸能人の姿も多く見られた)
七段は窓の外を見た。まだ日の光がまぶしい。しかし、ドラゴンの足音がすぐそこまで迫っているのかもしれない。今度の開封はいつになるだろうか……。局面は中盤の難所。あちらこちらで歩がぶつかっていた。七段は小さく頷いた。信じるものに丸をつけ、みえない未来へ向けて矢印を伸ばした。