岡田しのぶ、人気高まるひとり歌謡芝居「瞼の母」 １０月には新曲「紅の意地」もリリース
◆ デビュー２６年目の歌手岡田しのぶ（テイチクエンタテインメント）。祖母の影響なのだろうか、３歳の頃には一節太郎の「浪曲子守唄」を歌っていたという。７歳から本格的な歌のレッスンを始めて数々の賞を受賞する。１９９９年にプロデビュー。２年前からは独学で歌謡芝居に挑戦している。１３分にも及ぶ１人３役の「瞼の母」には多くのファンがいる。今年１０月にはテイチク６枚目のシングル「紅の意地」（作詞・前田たかひろ、作曲・宮下健治）をリリース。ワルツ調で歌いやすい、と評判は上々である。
岡田しのぶ
関西ではあまり馴染みがなかった岡田しのぶも、「去年あたりから頻繁にカラオケ喫茶店でキャンペーンが出来るようになりました」と話す。
今年は神戸と大阪で流行歌ライブにも出演した。いずれも持ち時間３０分のメインコーナーであったが、そこで見せたのが約１３分間の歌芝居「瞼の母」であった。
「瞼の母」は長谷川伸原作の戯曲で、三波春夫や中村美律子など数多くの歌手が歌っている。岡田の歌謡芝居では番場の忠太郎とお浜、お登勢の３人を彼女が１人で演じ分けている。
「この歌は１０年ほど前から歌っていたんですが、ファンの方から長編の歌謡芝居にしたらいいと思うよーーと勧められたのが始めるきっかけでした。京山幸枝若さんの浪曲を参考に歌とセリフだけにアレンジして練習を繰り返しました」
長編だけに何処でもできる演し物ではない、という。それでもリクエストがあれば、できるだけ応えるようにしている。１人で登場人物を声と所作で演じ分けるのが難しいところである。
「テーブレコーダーに録音して何度も繰り返して歌ったり、鏡の前で所作を研究しています。カラオケボックスで練習している時、倒れる演技の稽古をしていたんですが、音に驚いて店員さんから大丈夫ですか、と声をかけられたこともありました」
このほかにも「九段の母」もレパートリーに入れている。こちらは登場人物は１人である。「歌を語るーそんな歌手を目指したいと思っています。訴えかけるように歌う美空ひばりさん、都はるみさん、石川さゆりさんなどは大好きですね」と、歌謡芝居に磨きをかける。
奇跡の演歌歌手
１８年にテイチクデビューする以前はインディーズレーベルで歌っていた。「新田義貞」「剣聖 上泉伊勢守」などといった歴史上の人物を歌った作品が多かった。「歴史が好きな歴女なんです」というように、仕事で訪ねた先では城や寺社を巡ることもある。
前作の「雪の南部坂」（テイチク）も忠臣蔵を題材にした作品である。この時に赤穂城や京都・山科の寺などにも出かけている。
「忠臣蔵が好きなので作ってもらった作品ですが、歌には大石内蔵助、吉田忠左衛門、原惣右衛門、片岡源五右衛門などと赤穂浪士の名前が１３人出てくるんです。名前を連ねて歌うところは難しいです」
彼女の声が好かれるようである。これは国内に留まらない。もう約８年前になるが、YouTubeで岡田が歌うカバー曲を聴いたという韓国人から「あなたの歌を聴いていると癌が消えました」といった内容のメッセージが届いて、ファンになってくれたという。
話はそれだけで終わらなかった。韓国の公営放送ＫＢＳテレビでこの話題が取り上げられて、〈奇跡の演歌歌手〉として岡田しのぶの名前が韓国に知れ渡ることになった。
病院に来て握手をして欲しい、といったリクエストも沢山寄せられた。
ドキュメント番組に出演することになったり、韓国の国際広報大使にも任命されたりもした。大使としてカンボジアやミャンマーなどへも慰問を行なっている。
こんなきっかけを作った本人は癌が再発して７年後の２０２２年に亡くなってしまったが、また韓国へ来て欲しいといった声もあるという。
この岡田のファンになったこの韓国人の癌患者を励ますために、彼女は７年前に生きる励みにしてもらいたいと、「命の絆」という楽曲を作詞・作曲してプレゼントしている。
そんな彼女も２年前に脳腫瘍を患った。今も少し腫瘍は残っているが、幸い良性であったことから経過観察の状態だという。
自身の病気と重ね合わせてこの楽曲をＣＤ化して、２年前に発売している。
２４年１０月には「紅の意地」をリリースした。別れた男性に未練は残るが、じっと我慢する女の意地、それが美しいから・・・。「岩下志麻さんをイメージして歌っています。ワルツ調で歌いやすい」（岡田）のが人気を高めている。
男女問わずにカラオケで歌っている人が増えているという。
動画では「紅の意地」のＰＲメッセージと２０２５年へ向けての抱負を岡田自身が語っています。
※写真の無断使用はお断りします。
（Music news jp 曽崎重之
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