Music news jp 動画 インタビュー 011 真木ことみ、32年目を迎えて「感謝の気持ちを忘れずに、低空飛行でもいいから長く歌い続けたい」 手応え感じることみ演歌の本領を発揮する新曲「終着の宿」とシャンソンテイストな「愛の記憶」
◆「Music news jp」の曽崎です。きょうは2024年9月4日に「終着の宿」をリリースした真木ことみさん(日本クラウン)に作品の内容や歌への想いをお聞きしました。聞き手はフリーアナウンサーの牛尾先生(旧名・牛尾淳)です。
ーー 真木さん、よろしくお願いします。去年から名前を牛尾淳から牛尾先生に変えています。
「牛尾先生、お手柔らかにお願いします」
ーー 新曲の「終着の宿」9月に発売されました。5行詩が非常に心地よいのですが、まずは歌の内容から教えて頂けますか。
「想い人を忘れるために旅に出た女性が主人公で、離れれば離れるほど彼への想いが強くなっていって、忘れられない女性の心情を歌った作品です」
ーー 作詞は池田充男さんですが、池田さんはもう90歳を超えていらっしゃっていますが、現役なんですね。
「そうなんです。ご高齢なんですが、レコーディングにも立ち会って頂くんですか、毎回、今回が最後のレコーディングだ、最後の曲だって言われているんです(笑)でもお元気で、いい作品を頂きました」
ーー 真木さんにとって、池田さんの作品は5作目になりますね。聞くところによると、かなり前に作られていた曲だそうですね。
「はい、作曲の夏川寿里亜先生が詞をお持ちになっていたんです。池田先生と夏川先生は親しくされていて、今回お2人にお会いする機会がありまして、『ことみちゃんにこの曲がいいね』となりまして、素晴らしい詞と曲を頂くことが出来ました」
ーー どれくらい前に書かれたものなのでしょうか。
「話によると何10年も前とお聞きしています」
ーー 相当に前なんですね。
「ですから詞の中にも汽車とかのちょっと懐かしいフレーズが出てきます」
ーー 手紙という言葉も出てきます。今は手紙を書く人も少ないですね。
「♬ あれは始発の 上りの汽笛 〜 といったフレーズもあります。確かに今は汽笛って何って、思うでしょうね」
ーー 私はこの詞が気に入っていましてね。♬ あなた忘れる 旅に来て 〜 とか、♬ あなた恋しと 書く手紙 〜 などはいいですね。未練を引きずりながら旅をしている気持ちが分かるような気がします。
「この詞からはすごく主人公の気持ちが伝わってきます。忘れなくてはいけないけれど、また元に戻りたいーといった心の揺れが感じられますね」
「柳葉魚(ししゃも)かじってーと書かれたところがあります。最初は弱々しい主人公を想像していたんですが、この詞に出くわしたことで強い女性ではないかと、イメージが変わってしまいました」
シャンソンに挑戦
ーー 舞台は北ですね。流氷酒と書いてこおりざけ、と読ませるのは北のオホーツクの方を想像してしまいますね。ところでカップリング曲は毎回、違ったジャンルにチャレンジされていますが、今回はシャンソンテイストなんですね。
「ここ数年はメインは演歌でカップリング曲はちょっとチャレンジさせてもらっています。今作ではシャンソンテイストです。演歌はテンポをしっかりと刻むインテンポですが、シャンソンは少しテンポを後ろにずらして歌っても様になるというか、逆に格好良くなりますし、少しずらした方がたたみ込んだ表現が出来ます」
ーー 今、デビューして32年目ですか、感じるところは。
「色んな歌を勉強させてもらって、それを歌うことで皆さんに新鮮に感じてもらうことは喜びです。今回のカップリングはとてもオシャレな歌なんです。キャンペーンに伺ってもカップリング曲をすごく褒めて下さる方もいる訳で、手応えを感じています」
ーー 最近の真木さんのCDは2つおいしいと言われています。淡々と歌って、天性の声質が評価されていますが、声の低さにはコンプレックスはありませんでしたか。
「デビュー当時はその声が嫌でした。高音の歌い手さんは声やメロディーが耳に残るんですが、それが羨ましくて仕方なかったです。声を聴いて20歳くらいなのに、50歳ほど見られたりしたこともあります」
「レッスンしても中々出る声じゃないんだよ、と言われたことがあったんです。沢山の歌い手さんが続けて歌っても、これが真木ことみの歌だよって分かるとも。今はこの声で良かったと思っています」
ーー ところで来月にはアルバムが出るんですよね。
「11月6日に全曲集が出ます。真木ことみの歌が沢山入っていますので、楽しんで頂けるアルバムです。もちろん『終着の宿』『愛の記憶』も収録されています」
ホームランよりヒットを
ーー ホームページにも紹介されています〈ことみ演歌〉とは一言でいうとどんなものですか。
「声の響きもそのひとつでしょうし、節回しの細かな部分にもそれはあるように思います。歌っていて、ここはこぶしを1つ減らしてみようかとか、ここは入れずに飛ばして歌おうとか、そんなところにもことみ演歌(節)が滲み出でいるのではないでしょうか。ファルセットもそうなんですが、入れようと思って入れているものでもなく、感情がプラスされてくると自然にコントロールするようになります」
ーー 31年間歌ってきて、何か大きな変化はありますか。
「もうちょっと欲を持った方がいいよ、と言われることがあるんですが、今まで歌い続けてこられたことが幸せだと思っています。デビュー当時はあれこれと長い時間をかけて指導されたことが、今はなくなっています。少しは成長した証かなと思う一方で、不安でもあります」
ーー この先はどのように考えておられますか。
「大スターになるよりも低空飛行でもいいから、沢山の皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに、長く歌っていられたらいいなぁ、と思っています」
ーー ホームランはいらない、ヒットでいいということですね。
「そうです。たまには当たっておっ〜というのも大歓迎ですが、細くても長く歌っていけると幸せを感じるこが出来るんじゃないかな。それもありかなって」
ーー 有難うございました。
(Music news jp 曽崎重之)
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