第229回KOBE流行歌ライブ 歌って飛んだ東京力車、売られ行く女を歌う朝花美穂、バラードの男石宜隆が出演
◆ 3組の歌手による第229回KOBE流行歌ライブが2024年12月12日、神戸市兵庫区のアートひろば新開地で開かれた。現役車夫ユニット、東京力車(テイチクエンタテインメント)は飛んで跳ねて歌う衝撃的なパフォーマンスで同ライブ初出演。彼らに新曲の詞を提供した純烈の酒井一圭も「昔の純烈を見ているようだ」と言ったというほど。一転して演歌の朝花美穂(徳間ジャパンコミュニケーションズ)は遊女3部作の最終作を歌って、動と静の違いで楽しませた。男石宜隆(テイチクエンタテインメント)は切ない歌謡バラードの新曲を聴かせた。
メンバーの3人は東京・浅草の現役車夫でもある東京力車。エンタテインメントを通して日本文化を世界へ発信し続ける。20年にテイチクからデビューして今年、5年目になる。3人のらうち2人は関西出身だという。
今年8月に出した新曲「涙ひとしずく」は純烈のリーダー、酒井一圭が詞を提供したもので、日本作詩大賞2024にノミネートもされている。
何もないけれど、熱いハートと夢だけはあるーといった若者の想いを歌う。
「皆さんの背中を押せるように」と歌った新曲をはじめ7曲を歌った3人は、「パワーを届けに来ましたが、逆に皆さんからパワーをもらいました」と笑っていた。来年2月12日には山本譲二作詞の新曲「俺らしく・・・」の発売を予定している。
東京力車のパワフルなステージに替わって、前々作にして遊女シリーズ第1弾という「しゃくなげ峠」を朝花美穂が歌った。今年12月4日にリリースしたばかりの新曲「銀のかんざし」まで3作続くこのシリーズは作詞がもず唱平、作曲は宮下健治のコンビである。
デビュー7年目の26歳。大衆演劇を観て育ったという朝花らしく、歌唱にはそんな匂いが感じられる歌いっぷりである。
歌の主人公は本人よりもずっと若い。そんな女性の哀しさと愛しい人への想いといった心のうちを歌い続ける。
今も変わらぬ大衆演劇好きは長編歌謡浪曲への挑戦でも見られる。ライブでも19年に発売したアルバム「美穂の演歌名曲集」にカバー収録した中から中村美律子の「瞼の母」を聴かせた。
近々テレビで歌うという三波春夫の「元禄名槍譜 俵星玄蕃」も、そのさわりをアカペラで披露してくれた。
男石宜隆は8月にリリースした「秋霖」これのカップリング曲「紅花の恋」「恋の川 アコースティックバージョン」の3曲のほか、「那智の恋滝」「大阪泣かせ雨」の5曲と、昭和歌謡を歌うのコーナーで谷村新司をカバーした「群青」の計6曲歌った。
自身のコーナーのオープニングでは、普段は同ライブの照明などを担当している小百合の日舞の添え舞をバックに、「那智の恋滝」を歌った。「KOBE流行歌ライブへの出演が決まって、顔を合わせたほかのイベントで踊りをお願いした」
新曲「秋霖」のタイトルは、初秋のなが雨をいうが、その季節に相応しいしっとりとした切ない楽曲。「会いたい人を頭に浮かべて聴いてください」と呼びかけていた。
終演後には年末恒例の抽選会も行われた。
(Music news jp 曽崎重之)
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