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ものづくり系コンサルが薦める本_Vol.1   「カイゼン4.0  柿内幸夫著」


✔ カイゼンコンサルタントの垣内幸夫氏がこれまでのカイゼン活動の中で  
  試行錯誤しながら編み出した垣内流カイゼンメソッドを事例も交えて
  紹介
✔ お金も時間もかけずに従業員のカイゼン魂に火をつけることで自走する
  組織に変革するメソッドが学ぶことができる

✅カイゼンメソッド その1 KZ法

正式名称は「現場・現物と全社的カイゼンを結びつける経営者参加型改善技法」

(手順1)工場内のすぐに使わないものに赤札を社員全員で貼る

  • 社長、管理職、従業員が全員参加すること

  • 貼る対象は工場内の「1か月以内に使わない」ものすべて。工具、仕掛 品、資料などなど(人に貼るのは禁止 笑)

  • 1人当たり30枚の赤札を配布し、すべての赤札を張ること

(手順2)カードを貼られたものを工場外に運び出して分類する

  • 「不要」「不急」「必要だが問題あり」の3つに分類する

  • 「不急」は1か月以内につかわないもの

  • 「不急」か「不要」か迷う場合は「不要」に分類する

(手順3)「不要品」を前にして全員で問題を議論する

  • 「不要品」=「工場の問題」 仕掛品が滞留、使わない工具が散乱 etc

  • 不要品が工場内に滞留しないようにするにはどうすればいいか、社長も交えて再発防止策を協議する(根本的な原因は何か? 実行可能な対策は?)

  • 再発防止策をルール化する(社長、管理職も参加しているのでその場で決定できるはず)

  • 「不要品」を捨てる

✅KZ法の効果

  • 工場内には必要なものだけが残る、つまり「工場の本来あるべき姿」が可視化される

  • 「不要品」=「現物化した問題」を認知できる

  • 問題解決に向け社長、管理職、社員が全員で議論をすることができる、つまり、全員が普段思っていたことの吐き出しやその場での即断もできる

  • KZ法という共同作業を通じて部門の壁や上下のヒエラルキーが取り除かれ「仲間意識」が生まれる

✅カイゼンメソッド その2 チョコ案

会社の全員に身の回りのチョコっとした不便や問題をカイゼンしてもらい、その内容と成果を用紙に書いて報告してもらい評価する制度

(手順1)「全社員が毎月1件以上、かならず身の回りのカイゼン
を実行しその結果を報告する」ことを指示し徹底する

  • 報告のハードルが高くならないようにする
    ・カイゼン効果の明示は不要 ・他人のマネもOK 
    ・報告書も短時間で書けるものにする 
    ・とにかくカイゼンすることが習慣付くように工夫する

(手順2)カイゼン報告書を社員が見える場所に張り出す


 ・社員の隠れたカイゼンスキルが見つかるかもしれません
 ・貼りだすことで会社がカイゼンを歓迎しているというメッセージにもな
  ります

(手順3)カイゼン発表会の定期開催


 ・カイゼンした本人に発表してみらいましょう
 ・発表時間は1分程度でOK(カイゼン前後の写真と簡単な解説)
 ・できる限り多くの社員に参加してもらいましょう。
 ・いいカイゼンを発表した社員を社長や上司が皆の前でほめましょう

✅チョコ案の効果

  • 社員の自発的なカイゼン本能を刺激する

  • 社長や上司からほめられることで更にカイゼン意欲が高まる

  • カイゼンの報告をするために問題を見つけようとする癖がつく

✅この本で学んだこと

  • 現場カイゼン手法で有名な5S(「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「躾(しつけ)」)がありますが、現場(部門)ごとの現場作業者だけの活動にとどまっているケースが多いと感じます。しかしKZ法とチョコ案をしっかりと実践すれば、部門や階層の壁を取り払い、全社一丸となったカイゼン活動に発展するのではと思います。

  • 本書では、全社一丸となったカイゼン活動が生産現場から出発して事務所や営業活動にまで波及し、さらには新規事業を生み出した事例が紹介されています。ものづくり系コンサルとしては、このような支援をしていきたいですね。