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スイス連邦工科大学チューリッヒ校、ロボット用人工筋肉「HALVE」を開発

2024年1月30日、スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究者らは、ロボット用の軽量で安全性が高く堅牢な人工筋肉「HALVE(hydraulically amplified low voltage electrostatic)」を開発したと発表した。この研究成果は『Science Advances』誌に発表された。

HALVEは、比較的大きな電気エネルギーを蓄えることができる高誘電率強誘電体材料と電極を組み合わせたユニークなシェルを特徴としており、約6,000~10,000ボルトという非常に高い電圧でしか作動しない従来の静電アクチュエーターとは異なり低電圧で動作し、汎用性と安全性に優れる。研究チームは、HALVEをグリッパーと魚型スイマーの2つのロボット試作品に組み込むことに成功。2本の指を持つ高さ11センチのグリッパーは、バッテリーと電源を合わせた重量は15グラムで、電源と制御電子機器を含むグリッパー全体の重量は45グラム。グリッパーは、滑らかなプラスチックの物体をコードで空中に持ち上げても、自重を支えられるほどしっかりとつかむことができる。全長約30センチの魚のようなスイマーは、電子機器を搭載した頭部と、HALVEが取り付けられた柔軟な胴体で構成され、静止状態から1秒間に3センチメートルのスピードまで14秒をかけて水中を進むことが可能。スイマーは、電極が殻の外側に無防備に配置されることがなくなったため、防水性を持ち、導電性の液体中でも使用できるようになった。また、保護プラスチックの外層により自己密閉性を実現し、電気的な絶縁破壊を回避できる。
 
研究チームは、この人工筋肉が、ロボットや義肢、ウェアラブル技術に使われることを期待している。
 
出典:
2024年1月30日付 スイス連邦工科大学チューリッヒ校(英語)
https://ethz.ch/en/news-and-events/eth-news/news/2024/01/artificial-muscles-lighter-softer-more-robust.html
2024年2月2日付 Robotics & Automation(英語)
https://roboticsandautomationnews.com/2024/02/02/eth-develops-lighter-safer-more-robust-artificial-muscles-for-robots/79717/