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スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究者ら、樹木から環境DNAを採取するドローン「eDrone」開発に向けた研究を発表

2023年1月18日付SCIENCE ROBOTICSによると、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、スイス連邦森林・雪・景観研究所(WSL)らによる研究チームは、生物多様性の状態と分布に関するデータをモニタリングするために、木の枝でサンプルを自律的に収集できる特殊なドローン「eDrone」の開発に向け、実証実験を行った。

本研究によると、環境中に取り残された生物が残した遺伝物質の痕跡である環境DNA(eDNA)を採取するために、水や土壌からサンプルを採取するのは簡単だが、森林の樹冠など研究者がアクセスしにくい場所の多くの種は未調査のまま放置されている。樹冠の外側の枝に付着したeDNAをサンプリングするためには、多様な枝が予測不可能な動きをするのに対し、その構造的剛性を事前に知ることなく自律的に着陸でき、粘着ストリップによりサンプルを採取するのに十分な時間、枝の上で安定した状態を維持できることが必要である。
そのために、力に敏感な保護ケージと、力のフィードバックに基づく高レベルのコントローラを組み合わせ、数値シミュレーションと物理シミュレーションから出発して、環境の事前知識や再チューニングの必要なしに、高い剛性を持つコンプライアントな枝に着陸する一般的な方法論を提案し、検証した。また、線形および角度のずれに対する頑健性も実証した。
自然環境下での検証により、本手法が節足動物や脊椎動物を含む動物種の検出に成功したことが実証され、ロボット工学と手の届かない様々な地上基質からのeDNAサンプリングを組み合わせることで、生物多様性の広範なモニタリングのためのソリューションを提供することが可能としている。

出典:
2023年1月18日付 SCIENCE ROBOTICS(英語)
https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.add5762
2023年1月18日付 Tech Xplore(英語)
https://techxplore.com/news/2023-01-special-drone-environmental-dna-trees.html