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「本気」で読書をしてみると

 読書の際に「二度と再読できない」と想定して本気で読んだらどうなるか、という思考実験です。


一般的な読書術で触れられていないこと?

 読書の際に「また後で見返せるから」と油断して内容が頭に入らないことがあります。私も今朝、ふとしたきっかけでこれに気づき、この心理的な要素って、一般的な読書術においてカバーがされていないような盲点かも、と感じました。

 「もう、この本や記事は、人生で二度と読み返せない」という前提で読んだら、もっと内容が頭に入るのではないか、という仮説です。

ひとまず自分で試してみました

 そのとき、目の前にある雑誌に、あまり関心を持てていなかったエネルギー問題や宗教に関する記事があったので、「一度きりのつもりで読む」という前提で読み通してみました。

 その結果、一度読むだけで学び切る意識が働き、読後の定着率が上がったように感じます。また、記事の背景や意図も読み取ろうとする学習の仕方ができました。

 意識の置き方次第で脳の働きは変わることは、何度も本で読んでいたり、自分自身も体感をしていたはずですが、読書の際の気の持ちようで、これほど吸収率が変わることに驚きました。

皆さんも試してみませんか

 「試してみたいけど、どの記事でやってみようか」というご要望にお応えするために、記事をご用意しました。「行動経済学が勝敗を支配する」という書籍の要約です。こちらの要約は無料で読めるようです(2014/10 現在)。この記事を「本気」で読むと、どうなるでしょうか。

 上の要約を「ここで見逃したらもう二度と見れない」という気持ちで読むと、どんな感想を得られるでしょうか。以下は、私の感想の例です。皆さんは、いかがでしたか。

・自分の人生で、PK戦なのに下側に蹴りだしてしまっていたり、送りバンドを繰り返してしまっている局面はないだろうか。結果として、損失を被っていることに気が付いているだろうか。

・ビハインドな状況でリスクを取ろうとするのは良いが、きちんと、その対価は見合ったものが取れているかどうか。リスク評価と決断をするたびに、きちんと検算ができる仕組みを作れないだろうか。

・成績が切りの良い数字を超えると、油断してしまう自分がいる?数字のマジックに騙されると、自分のパフォーマンスがきちんと出せなくなる?概数効果に惑わされない目標設定には、どんなものがあるんだろう。

・チームワークを必要とするタスクに、あまりタレントを集めすぎないようにしよう。かえってパフォーマンスが出せなくなる。「ベッカムの持ち腐れ」になってしまう。

実際に何かを見返すことのできる時間は限られている

 現実問題として、過去に読んだものを見返す時間は限られています。同じ書籍を繰り返し読むほうが定着率は高まりますが、実際には時間の制約もあり、同じ本を何度も読むことは難しいです。

 そうであれば、初読の際に心構えを切り替えて、可能な限り吸収する方策を取ることになります。

同じ時間を過ごすのに

 これって、食事の味わい方に似ているような気もします。せっかくの美味しいご飯も、何も意識が向いていないと、繊細な味わいも何もなく、胃袋の中に収まってしまいます。見た目や香りも楽しみながら、食材をしっかりと味わう、といった気持ちになるからこそ、せっかくの食事を楽しむことができます。

 同じように、日常の何気ない行動にも本気で向き合ってみると、生活が変わるかもしれません。例えば、手を洗ったり靴ひもを結ぶのに本気になってみたらどうなるんでしょうね。

自分を本気に持っていく方法

 それでは、どうやって自分を読書に対して本気に持っていくのか、ですが、前述の「この機会を逃したら、二度とこれを生きているうちに見ることはないだろうし、これまでの自分の読書歴を振り返っても、実際にそうであった」という自覚が必要になります。

 もう一つ、何か簡単にできるとすれば、「ひとまず、3分だけ(きつければ1分でも可)、まずは本気になってみるか」と決めて、タイマーをセットすることです。そういった形で、濃密な数分間を過ごすことができれば、その体験が原動力になり、本気になることが、苦ではなく快の方向に転換をしていくかと思います。

 視覚で感情をイメージしやすい人には、以下のようなイラストが役に立つのかもしれません。この本を読んだら、この火にくべる、くらいのイメージで読書を進めると、本気度を焚きつける助けになりそうです。

まとめ

 「本気で読書をする」というのは、数多くの読書本の中でもあまり触れられていないことである、という事実にふと気が付きました。あまりにも当たり前すぎますし、具体的にその状態に持っていくための手法論もないですので、扱われてこなかったのだと思います。

 その一方で、やってみると、個人的には大きな効果を実感しましたので、記録・アーカイブが容易なデジタル化時代だからこそ、こういったアナログな手法を取り入れて頂くことで、生活の質が上がるかと思います。

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