LABプロファイル(Language And Behavior Profile、言葉と行動のプロファイル)という、ロジャー・ペイリーにより開発されたコミュニケーション分析ツールがあります。学べば、相手の考えに合った効果的なコミュニケーションができそう、とは薄々と知っていながら、その膨大な体系に気後れして、手をつけずじまいでした。
AIとインタラクティブに学ぶことで、学習のハードルを下げながら、実際の対話例も書いてもらうことができましたので、記事化します。
LABプロファイルとは LABプロファイルとは、各個人のコミュニケーションの特性を、質問や行動観察により分類をして、その人の特性にぴったりの声掛け(影響言語と呼びます)をすることで、自然な形で行動をしやすくしてもらう、そんなツールになります。
まず、どういったものかを知っていただくために、夫婦間のコミュニケーションを例にとった分かりやすい記事へのリンクを貼っておきます。LABプロファイルの全体像では、そういった思考パターンが14分類あるとされていますが、この記事では、そのうちの一つである主体性について、「主体行動型」⇔「反映分析型」の違いを取り上げておられます。
そして、全体像はこちらになります。14分類を見渡すと、なかなか膨大です。これをすべて把握して、日常的に用いていくのは難しそうですので、この記事では、右側の「動機づけの特徴」のうち、①主体性、②方向性、③判断基準の3つを取り上げます。
https://www.kmri.co.jp/column/column-all/mc-lab-profile より① 主体性 [主体行動型と反映分析型] 主体性は、「主体行動型」と「反映分析型」の2つがありますが、多くの人は、そのどちらかだけではなく、両方の性質を持っています。一方で、どちらかへの偏りはあるかと思います。AIにそれぞれの特徴を聞いたところ、以下のように教えてくれました。
主体行動型の特徴 ・即座に行動を起こす傾向 ・試行錯誤を厭わない ・「まずはやってみよう」が口癖 ・決断が速い ・新しいことへの挑戦を好む ・失敗を恐れない反映分析型の特徴 ・慎重に情報を収集・分析 ・計画を綿密に立てる ・「よく考えてから」が口癖 ・決断に時間をかける ・リスクを事前に検討 ・データに基づく判断を重視
上記の特徴を見ながら、自分自身、もしくは、周囲が、どちらの行動特性をよく発揮しているかを考えてみます。上記の特徴に加えて、主体行動型はせっかちで早口かもしれませんし、反映分析型は、長時間黙って考えるのを厭わないかもしれません。
② 方向性 [目的志向型と問題回避型] 方向性には、「目的志向型」と「問題回避型」があります。方向性は、先ほどの主体性とは異なり、どちらかの型を優先する人が多いと言われています。
目的志向型の特徴 ・目標達成に強い意欲 ・成功イメージを描く ・「このような結果を目指す」が口癖 ・ポジティブな面に注目 ・チャレンジを楽しむ ・成果を重視問題回避型の特徴 ・リスク回避に敏感 ・問題点を先に考える ・「これは危険かもしれない」が口癖 ・課題の洗い出しを重視 ・慎重な姿勢を保つ ・安全性を重視
「目的志向型」か「問題回避型」を見極めるには、上記の特徴観察に加えて、業務の進め方やその人の価値観に対する質問を3回繰り返すのが良い、と言われています。AIに会話例を書いてもらいました。
目的志向型の人との会話例: 上司: 「新しいプロジェクトの進め方について、どう考えていますか?」 社員A: 「目標達成に向けて、まずはチームの体制を整えたいと思います」 上司: 「具体的にどんなことを意識していきますか?」 社員A: 「メンバー全員のスキルを最大限活かせる役割分担を考えて、成果を出していきたいです」 上司: 「プロジェクトを通じて何を実現したいですか?」 社員A: 「チームの一体感を高めながら、革新的な製品を生み出していきたいです」問題回避型の人との会話例: 上司: 「新しいプロジェクトの進め方について、どう考えていますか?」 社員B: 「前回のような予算超過や納期遅れは避けたいので、しっかり計画を立てます」 上司: 「具体的にどんなことを意識していきますか?」 社員B: 「メンバー間の連携不足でトラブルが起きないよう、情報共有の仕組みを整えます」 上司: 「プロジェクトを通じて何を実現したいですか?」 社員B: 「品質の低下やクレームを防ぐため、チェック体制を強化していきます」一見、目的志向型だが、実は問題回避型の人との会話例: 上司: 「新しいプロジェクトの進め方について、どう考えていますか?」 社員C: 「はい!積極的にチャレンジして、必ず成果を出していきたいと思います!」 (一見、前向きな発言に見える) 上司: 「具体的にどんなことを意識していきますか?」 社員C: 「チーム全員で頑張って、絶対に失敗は許されないので、慎重に進めていきます。私が責任を持って管理します!」 (「失敗は許されない」という回避的な動機が少し見え始める) 上司: 「そのプロジェクトを通じて、何を実現したいですか?」 社員C: 「...正直に申し上げますと、前回のプロジェクトで大きな失敗をして周りに迷惑をかけてしまったので、今回は絶対に同じ轍を踏まないように必死なんです。自分の評価も下がってしまったので...だからこそ、全力で取り組んで挽回したいんです!」 (本音として「失敗・評価低下の回避」が主な動機だということが明確になる)
一番最後の会話例のように、今の企業文化では目的志向型の人の方が評価されやすいので、一般的には目的志向型の回答をするように私たちは習慣づけられます。そういった人に対しても、3回の繰り返し質問を通じて、実は目的回避型であることが明らかになっています。
③ 判断基準 [内的基準型と外的基準型] 判断基準は、自分自身の価値観で良し悪しを判断できるという「内的基準型」と外部情報に基づいて判断をしようとする「外的基準型」があります。内的基準型と両方を合わせ持つ人たちが多く、外的基準型優位の人は比較的少数と言われています。
内的基準型の特徴: ・自己の価値観を重視 ・直感的な判断を信頼 ・「私はこう思う」が口癖 ・独自の基準で評価 ・自己決定を好む ・個人の信念を大切にする外的基準型の特徴: ・他者の評価を重視 ・客観的な指標を参考 ・「一般的にはどうか」が口癖 ・外部からのフィードバックを求める ・社会的な評価を気にする ・標準や規範を重視
判断基準タイプを見分けるには、仕事の良し悪しをどう考えているかを聞くこと、とされています。
内的基準型の人との会話例: 上司: 「このプロジェクトの成果をどのように評価していますか?」 社員A: 「自分の設定した品質基準をすべてクリアできたので、良い結果だと考えています」 上司: 「他のメンバーからの評価はどうでしたか?」 社員A: 「チームからは改善点を指摘されましたが、私の経験上、この方法が最適だと確信しています」 上司: 「どういった点で成功だと判断しましたか?」 社員A: 「以前から培ってきた自分なりの基準に照らし合わせて、納得のいく成果物が作れたからです」外的基準型の人との会話例: 上司: 「このプロジェクトの成果をどのように評価していますか?」 社員B: 「お客様から高い評価をいただき、チームメンバーからも良かったと言ってもらえました」 上司: 「具体的にどんな点が良かったと思いますか?」 社員B: 「先輩に確認したところ、過去の類似案件と比べても優れているとのことでした」 上司: 「どういった点で成功だと判断しましたか?」 社員B: 「市場調査の結果や顧客アンケートのスコアが目標値を上回っていたからです」両方を合わせ持っている人との会話例: 上司: 「このプロジェクトの成果をどのように評価していますか?」 社員C: 「顧客満足度調査では良い評価をいただきました。また、個人的にも納得できる品質に仕上がったと感じています」 上司: 「具体的にどんな点が良かったと思いますか?」 社員C: 「まず、自分の中で設定していた品質基準をクリアできました。加えて、ベンチマークとしていた競合製品との比較データでも優位性が確認できています」 上司: 「どういった点で成功だと判断しましたか?」 社員C: 「私の経験則から見ても十分な完成度です。また、お客様からのフィードバックや市場データも良好で、両面から見て成功だと判断できます」
まとめ LABプロファイルの14類型のうち、3つを取り上げただけですが、これだけでもかなりボリューム感があり、かつ、自分や身の回りの人のコミュニケーションパターンの理解が進むことが分かりました。
①主体性は日ごろの行動観察によりますが、②方向性と③判断基準は、仕事で重要視をしたいこと、および、仕事の結果をどう評価するか、といった、日常的に職場で交わす会話に基づいて考えることができますので、取り入れやすそうな内容ではあります。
次回の記事では、それぞれのタイプの人たちに対して、どのようにコミュニケーションを取っていけば効果的かを考えていきます。