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【米国株】Jumia Technologies (JMIA) はアフリカの Amazon になりうるか?

X は Twitter 時代からノイズもシグナルも宝石も糞味噌もごっちゃになって流れてくる優秀なプラットフォームです。私も自分のくだらない思考や分析、中途半端な決意やその時々で感じるものをごちゃ混ぜにして放出している一介のユーザーであり、課金者であり、そして有効活用できないか常に検討しています。

日本語圏で私のツイート・ポストを読んでくださっている方の多くが Jumia Technologies 社 (JMIA) のホルダーではないかと思うほど、通知欄に飛んでくるユーザー名には "JMIA" が入っていることが多いです。 

昨年 JMIA の株価は大きく動きました。その値動きは激しく、第1四半期決算からの大幅な伸びと第2四半期決算からの急落によって、第2四半期決算発表直前に買ってしまった個人投資家達は ▲70% 急の損失に苦しむことになりました。

2025年1月5日時点 JMIA 株価チャート

そのような投資家にとって、米国株インフルエンサーのツイート・ポストは相当に厳しいものでした。

「JMIAを下落で買う」 っていう話題がよく出てるんだけど 5分ぐらいしか見てないけど、これダメでしょ ドイツが拠点で新興国で営業しているアマゾンみたいな? 売り上げも下がっていき 赤字は積み上がり 投資家が上げたお金もどんどん減っている こんなのに一括投資したらやばいって 5分しか見てないので反論があればどうぞ

高校生でも分かる米国株氏 2024年8月8日 X 投稿

一方で、アフリカのポテンシャルに賭けて「いつかは伸びる」とガチホできる投資家達もいます。

$JMIA 根拠なら沢山ある。
①先日のブラックフライデーの成果に加え
②昨年立ち上げた巨大工場がフル稼働で大量に効率よく配送ができる。
③ナイジェリアナイラの底打ち予想は2024年Q1。現に11月末からナイラ/ドルは上昇中。
④Q3で大口の機関投資家が買い集めている。(画像2.3.4枚目)
•ちなみに2024年Q2くらいで僕は40万株持っていたのだけどその時はmoomoo機関投資家のランキングで上から5番目くらいだった記憶。 今は約53万株で13位。(画像1枚目)

つまりQ2の暴落以降振り落とされたのは個人投資家の素寒貧たちなのだ、、、超革命は必ず起こる

令和の平井銀二@ $JMIA53万株 日本人最多保有者 氏 2025年1月5日 X 投稿

普段 X ではおもしろおかしく追っていましたが、そろそろ本腰を入れて情報を纏めるフェーズに入ろうと思い、JMIA の公開情報と CyberVan Stan 氏のツイート・ポストも参考にしながら AI の力を借りて分析メモを作成しました。情報間違い等あればぜひご指摘いただけるとありがたいです。

本日が新年仕事初めの方も多くいらっしゃるとは思いますが、お時間があればご一読ください。もし面白いと思っていただけたら、私の書いた TMDX についてのメモも読んでいただけると幸いです。(実験中でワンコイン頂戴していますが…)

尚、本記事は、特定の銘柄や金融商品の購入や売却等を推奨するものではありません。投資に関する最終的な意思決定は、読者ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。


0.忙しい人向けの要旨

Jumiaは「アフリカ版Amazon」となり得るeコマース企業で、9カ国以上でマーケットプレイス、物流サービス、決済ソリューションを展開しています。都市部以外では小売店舗が乏しく、EC普及が進みやすい一方、通貨リスクや政治不安などアフリカ特有の課題も存在します。

しかしCEO交代後は、手数料率と配送費の差(粗利益率)の拡大とオーバーヘッド削減を同時に進め、事業の収益構造を改善中です。

為替の影響でドル換算ベースの成長率は小幅に見えても、一定通貨ベースでは二桁成長を実現しており、もし年率30%程度の伸びを維持できれば企業価値が大きく跳ね上がる可能性があります。アフリカ市場の人口増加とインフラ整備の進展を背景に、長期投資先として注目される存在といえます。(ただし、買ったことを忘れるくらいの長期目線が必要でしょう。)

2025年1月5日時点 JMIA 株価チャート

1.はじめに

アフリカ諸国においてeコマース事業を展開するJumia(JMIA)は、「アフリカ版Amazon」とも称されることもあるように、同地域で高い知名度を有するオンラインマーケットプレイスです。近年、経営体制の再編やマクロ経済の変動などが注目されている一方、アフリカ全体における人口増加やインターネット普及率の上昇を背景として、中長期的な成長が期待されています。

この記事では、Jumiaのビジネスモデル・財務構造・リーダーシップ交代後の施策、さらに成長シナリオやリスク要因に関して、多角的な視点から考察します。投資判断の一助となるよう、主要指標やマーケットの動向を含めて検討を行っています。


2. ビジネスモデルとアフリカ市場の特徴

2-1. Jumiaの事業概要

Jumiaは2012年にナイジェリアで創設され、現在は9カ国以上で事業を展開しています。主たる収益源としては以下の3点が挙げられます。

  1. オンラインマーケットプレイス(物販)
    幅広いカテゴリーの商品を取り扱うECプラットフォームを運営し、取引が成立した際に出品者からテイクレート(手数料)を徴収します。

  2. 物流サービス(Jumia Logistics)
    独自の物流ネットワークを構築し、都市部のみならずインフラが脆弱な地域においても配送を可能とする仕組みを整備しています。

  3. 決済ソリューション(JumiaPay)
    デジタルウォレット機能を備えたオンライン決済サービスを提供し、プラットフォーム上で安全かつ円滑な取引を支援します。

これら三位一体のサービスを自社で手掛けることで、アフリカ各国の多様なニーズに対応可能な点がJumiaの強みとなっています。

2-2. アフリカ市場のポテンシャル

アフリカは、人口増加率が高いうえに若年層が多く、インターネットとスマートフォンの利用者数も急増しています。特に地方における小売店舗の不足は、オンラインショッピングが優位性を発揮しやすい要因といえます。
一方で、インフラ未整備やクレジットカード普及率の低さなどの課題も依然として残存しており、こうした構造的な障壁をどのように克服するかが、eコマース事業者にとっての成長の要となります。Jumiaは、先行者として自前の物流・決済インフラを整備し、これまで市場に根ざしてきたことで競争優位を形成していると考えられます。


3.リーダーシップ交代後の改善ポイント

3-1. Francis Dufay氏の就任と経営改革

近年、JumiaではCEOにフランシス・デュファイ(Francis Dufay)氏が就任し、以下の3つの施策を中心として収益構造の改善が進められています。

  1. マージン(A-B)の拡大

    • A:GMV(流通総額)に対する手数料率(約14%)

    • B:GMVに対する配送費用率(約6.3%)
      就任当時、配送費用を差し引いた後の粗利益率(A-B)は0.9%程度と低水準でしたが、最近では7.8%にまで改善し、2024年Q4には9%以上が見込まれています。

  2. オーバーヘッド(D)の大幅削減
    ドバイのコーポレートオフィス閉鎖や販売管理費(S&A)・一般管理費(G&A)の削減を通じて、組織全体をスリム化し、間接コストの圧縮に成功しました。さらなる削減余地も示唆されています。

  3. 事業領域の再定義によるGMV(C)の質向上
    食品デリバリー(Jumia Food)など採算性の低い事業から撤退し、プラットフォーム本体に経営資源を集中させる方針を打ち出しています。通貨安の影響によりドル換算ベースのGMV増加率は+2%にとどまりますが、一定通貨ベースでは+33%、注文数は+18%増と好調を維持しています。


4.利益方程式と財務指標の考察

4-1. 利益方程式の構造

Jumiaの営業利益は以下の式で単純化することが可能です。

(A - B) × C - D

  • A:GMVに対する粗利益率(手数料率)

  • B:GMVに対する配送費用率

  • C:GMV(流通総額)

  • D:オーバーヘッド(一般管理費や販管費など)

現在、(A-B)の拡大とCの成長、そしてDの削減が同時に進んでいる点が、Jumiaの財務改善を大きく後押ししています。

4-2. EV/GP(企業価値/粗利益)から見た評価

JumiaのEV/GP(企業価値を粗利益で割った指標)は、他の成長企業と比較して依然低水準とされています。一般的なeコマース企業では5〜10倍、成長期には10倍を上回るケースも珍しくありません。南米のMercado Libre($MELI)が成長期にEV/GP54倍まで到達した例もあり、Jumiaが年率30%程度の成長を続け、かつ市場からの評価が引き上げられた場合、企業価値が現状の数倍以上に拡大する可能性も見込まれます。

4-3. GMVマージンの視点

配送費用を差し引いた粗利益率が0.9%と極めて低かった時期から比べると、7.8%まで改善した現状では同じGMVでも大幅な利益増加が見込まれるようになりました。今後、GMV拡大と同時にマージンがさらに上昇すれば、収益への貢献度合いが飛躍的に高まることが期待されます。


5. 成長シナリオと株価ポテンシャル

5-1. 中長期的成長の可能性

  • 年間50%成長シナリオ
    非常に強気な前提ですが、GMVが毎年50%拡大する場合、株価が100〜200倍に達するとの試算も存在します。

  • 年間20〜30%成長シナリオ
    より控えめな見方でも、EV/GP等の指標が市場平均並みに修正されることで、株価が数倍になる可能性が指摘されています。

  • 2026年Q4までの収益化シナリオ
    GMVと粗利益が2倍になることで、オーバーヘッドを十分吸収して営業利益が黒字化する可能性もあります。特にブラックフライデー期間や年末商戦などの需要集中期を活用できれば、2026年内の黒字転換も射程圏内と見る見解があります。

5-2. 他地域のeコマースとの比較

Amazon($AMZN)は米国GDPの約1.6%をGMVとして取り込み、中国のAlibaba($BABA)は約6%、Coupang($CPNG)は韓国GDPの3.6%相当を流通させています。南米のMercado Libre($MELI)も主要国GDPの1%以上を担うなど、GDP比1〜2%を獲得するのは大手EC企業として十分現実的な水準といえます。JumiaがアフリカのGDP1〜2%を流通させるシナリオは、決して過度に楽観的とはいえないでしょう。


6. リスクと課題

  1. マクロ経済・為替リスク
    アフリカの一部諸国では通貨価値の変動が激しく、エジプトなどでは為替下落に伴うリスクが拭えません。高インフレや政治不安も加わり、経営の先行きに影響を及ぼす可能性があります。

  2. 競合および規制リスク
    国際企業や地域企業との競争が激化する懸念があります。各国特有の規制環境への適応も必要であり、コンプライアンスコストの増大が予想されます。

  3. 収益化の遅延リスク
    GMV拡大とマージン向上の取り組みが計画通り進まない場合、追加の資金調達を要する可能性があり、既存株主の希薄化リスクが高まります。

  4. オペレーショナルリスク
    物流インフラ、返品対応、消費者保護など、アフリカ市場特有の課題が存在し、十分に対処できない場合、ブランドイメージの毀損や顧客離れを引き起こす可能性があります。


7.総括

Jumiaは、「アフリカにおけるEC市場の拡大」という大きな成長余地を背景に、長期的なアップサイドが期待される企業といえます。先行者として培った物流網・決済インフラを活かし、CEO交代後に推進されたマージン拡大やオーバーヘッド削減といった収益構造の改善は、確かな成果を挙げつつあります。EV/GPをはじめとするバリュエーション指標が依然低水準なことから、今後のGMV拡大とともに評価が高まる可能性は十分に考えられます。

一方で、通貨リスクや政治情勢の不安定性、競合企業の台頭など、アフリカ特有の不確実性を踏まえる必要があります。投資家は、こうしたリスクと潜在的なリターンを十分に検討しつつ、リスク許容度と照らし合わせた投資判断を行うことが求められます。


免責事項

本レポートは情報提供のみを目的としており、投資アドバイスを行うものではありません。投資判断は自己責任で行い、必ずご自身のリスク許容度に合わせて慎重な検討と追加調査を行ってください。将来の市場動向や企業の業績を保証するものではない点にご留意ください。

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ネイト
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