故郷の天才鏝絵師
故郷で鏝絵サミットが開催された。”鏝絵”なじみのない漢字だがこれを”こてえ”とよむ。左官が使う鏝(こて)で家の土蔵や妻壁、戸袋にレリーフを描いた。壁が生乾きの間に一気に仕上げなければならないため、左官の高度な技術が要求された。明治の左官は建築が終わるころ白壁にその技術を競い合った。
故郷の古い家並みを歩くと、白壁にパステルカラーで恵比寿、大黒、竜虎等々様々な絵柄の鏝絵が目に入る。絵柄はめでたいものが多く、邪気が家内に入るのを防ぐ目的もあった。
そんな明治の鏝絵を世界に美術品として広めようと純白の鏝絵を次々に制作している75歳の若者がいる。(老人と言ったら叱られるので若者と呼ぶ)
名前は後藤五郎、みんなからは”仁五”サンと呼ばれ愛されている。
YouTubeで豊後鏝絵師仁吾の作品をみてもらいたい。若者は日本の村で消えてゆきそうな左官に伝わる伝統技法を使い、鏝絵をアートとしてニューヨークの人たちに紹介する夢を抱き制作活動に励む。アートは人を老いさせない。
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