サウダージ
ポルトガル語で一番難解な言葉が”サウダージ(SAUDADE)”ときいた。確たる理由があるわけではないが、ブラジルを思い出すときどういうわけかこの言葉が脳裏をかすめる。
2000年日本の歌手ポルノグラフィティが”サウダージ"という楽曲を発表した。もう21年まえのことだ。
更に20年さかのぼること、40年前、新田次郎が新聞に”孤愁”を連載する。初めてサウダージというポルトガル語を多くの日本人が耳にした時だ。この連載にポルトガル人、モラエスが登場する。
話はこうだ。
ポルトガルにベンセスラウ・デ・モラエス(1854-1929)という外交官で作家がいた。モラエスは、徳島を死に場所に選び徳島に住み着く。愛人福本ヨネへの追慕のためというストーリーだ。福本ヨネは芸者であった。モラエスはヨネを落籍して結婚する。病気がちのヨネは早く他界することになるが、彼女の死後ヨネの話していた徳島の風景が忘れられづ、徳島に移り住む。そして16年の長きにわたり徳島に住むことになる。
新田や藤原はモラレスの足跡を訪ね徳島やポルトガルを巡る。モラレスの物語を通して日本の良さを描こうとした。
人が母国を捨て新しい母国を探しその地に永眠する。そんな激しい人生を送るには、新しい土地に人を限界まで引き付ける磁力が要る。モラレスのヨネへの100年前の追慕(サウダージ)が今のポルトガルと徳島を結びつけている。