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スクールイベント|学校じゃ教えてくれないクリエイティブなはなし/甲賀ゆうこ@ロバート下北沢

まだ暑さが残る8月末、ロバート下北沢でスクールイベントを開催しました。その名も

学校じゃ教えてくれないクリエイティブなはなし

自分はクリエイティブな人間じゃないからな、というあなた。ここでいうクリエイティブはアートやデザインの話だけではありません。これからの世界、どう生き抜くかを探り出すこと。

そのためのヒントを学び、自分の中から見出していくための授業です。

百戦錬磨のクリエイティブディレクター甲賀ゆうこさんを講師に迎えた、ロバート下北沢での初のスクールイベント。

甲賀ゆうこ
クリエイティブディレクター
1981年東京生まれ。1997~2006年までアメリカPortland、金沢KIDI PARSONS、オランダ Design Academy Eindhoven にてアート、デザインを学ぶ。
海外にて在学中に芸術学や空間・工業デザイン、デザイン理論、バウハウス教育、コンセプチュアル思考を学び、バイリンガル環境での芸術教育を受ける。
日本に帰国後は、アートディレクターとして大手広告代理店・外資系企業にて勤務。伝統工芸を再生させるプロジェクトや数々の国内美術展など企画、クリエィティブに携わり、現在はクリエィティブディレクターとして多岐に渡り活動を行なう傍ら、社会と教育とアートをつなげることを目的とした様々な教育プロジェクトを行う。

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当日の時間割
15:30〜
 [座学 Time] ハタチのハローワーク
16:15〜 休憩
16:30〜 [ワークショップ Time] 自己分析・イメージボードづくり

15:30〜 座学Time「ハタチのハローワーク」

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座学とワークショップの二部で構成した今回のサマースクール。学校ではなかなか教えてもらう機会が少ない、社会に出た後のこと。座学Timeでは、このギャップを埋めるべく、編集者の中澤範龍さんをゲストに迎え、お二人の経歴や今までの失敗や苦悩から学んだ教訓を伺いました。


20代の頃はスタイリストになりたかったという中澤さん。もともと服が好きだったから飛び込んだスタイリストの世界で、アシスタントとしての激務の中、最初の1〜2年間は自分の生き方に対しての答えが分からず模索をしていたそうです。周りの同世代は仕事終わりに普通に飲みに行って遊んでいるのに、自分は仕事で行けない。モヤモヤを抱えたままの仕事態度は、当時の厳しいファッション業界で通用せず、中澤さんはいちど現場を離れることになります。

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すべては、ファッションに対しての愛と、自分から知ろうとする本気度がなかったからと語る中澤さん。

しかし、その時、スタイリストを紹介してくれた先輩に編集者という仕事を勧められます。
国語は苦手だけど新しいことや目新しいガジェットの情報を集めることが好きだった中澤さんには正にぴったりの職業でした。


今では、MacBook Airの小さなパソコンで、デザインからコンセプト資料作りまでなんでもできちゃう最強の甲賀さんですが、そんな甲賀さんもある挫折がきっかけとなったそうです。

それが社会人2年目の時の出来事。働いていた部署のメンバーが全員いなくなり、6人分の量をひとりでしなくてはならなくなりました。当時のグラフィックデザイナーという肩書きの枠を破って、あらゆるジャンルのことを勉強して仕事を全うせざるを得ませんでした。

実践をたくさん積み経験値を増やしたことで、職種関係なく、自分の名前に対して仕事が来るようになったお二人。そんなお二人が、これからたくさんの挑戦ができる20代に伝えたい5か条。

ー いまこれをやるべき5か条 ー
1. 好きなことを限界まで探究しよう
2. リアルな友達をつくる (自分の仲間を増やす)
3. 失敗をおそれるな
4. 否定はするな
5. 自分を本当の意味で大切に

学ぶことや知ることの意義のひとつは選択肢を増やすことです。
自分を知らないことは、自分の中にある武器をうまく使えないということ。
世の中を知らないということは、その武器の使いどころがわからない、もしくはどの武器を鍛えればいいのか分からないということです。

中澤さんの場合、
編集という仕事を「知って」、新しいことや情報に対しての収集能力という自分の武器を「知る」ことで、スタイリスト以外の選択肢を得ました。

甲賀さんの経歴のひとつにあった遊具デザイナーというお仕事もそうですが、この世には世間一般で知られていない職業も、この世にまだ生まれていない職業もたくさんあります。

それらを踏まえて、自分の仕事を築き上げるために必要なこの教訓。
どんなこともハングリーに挑戦して、自分でチャンスの種を撒いておく大切さを学びました。

16:30〜 ワークショップTime 「自己分析/イメージボードづくり」

前半の学びを踏まえて、後半は自己を形成する9つの要素を洗い出すワークショップを行ました。

このワークショップは甲賀さんが主宰するADEA(Art and Design Education Architects)が作成したプログラムをサマースクールバージョンにアレンジしたものです。

まずは「Spirit」「Health」「Love」をはじめとする9つの要素について、それぞれの言葉の定義やキーワードを書き出す工程。

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改めて質問されると悩んでしまう質問を、自分の中の物差しや記憶を再結集させて答えていく。自分を取り巻くもの・人・現象たちを言葉としてアウトプットすることによって、自分と向き合っていきます。

リビングのテレビの横にあって、大きくなりすぎて挿木をしたドラセナは、実は自分の家のシンボルかもしれない。
そんなあたりまえにあるものに対しての気づきや価値も再認識できる時間です。

そして次は、出てきた言葉から想起されたイメージをビジュアル化していくステップ。

出し切ったキーワードを概念化するとどうなるか、それを言語だけではなく右脳を使って想像します。

自分が撮った写真でも、拾い画像でもなんでもOK。限られた時間の中、これだ!と思う画像を探すことは意外と難しいのです…。

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面白いのは、これだと思った画像をA4サイズの紙全面にプリントして、そこからさらに5.5cm角の正方形にキリトルところ。そうすることで、抽象かつ概念的なビジュアルが浮かびあがります。

例えば、Familyの部分、家のシンボルだと思ったドラセナの木も、「ドラセナ」で検索して並べられる、緑が生い茂っている新鮮な画像ではなく、暖色で、暖かい雰囲気の画像が欲しい。他にもキーワードとして挙げた、起源/エネルギー/骨髄....それらを表すような画像。

日中の柔らかい光が家を包み込むような画像で、大きな葉を支える幹の部分を切り取りました。

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そして、9つのマスが埋まる頃には、十人十色のイメージボードに。

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完成されたイメージボードをおともだち同士、同僚同士で見せ合うと抽象的なイメージながらも「〇〇さんらしい!」という声が飛び交いました。

そのときの気分によってもキーワードや画像チョイスが左右されるこのイメージボード。

それでも、その日の自分をあらわす1枚の結晶。見返すことで、自然と自分の今までの経験やルーツに感謝したくなったり、その部分をより最適に表せる言葉やイメージにであうなど、その人にとっての軸になります。

甲賀さんのお開きの合図で終了したサマースクール。授業終了後には学校の放課後のような駄弁り時間が。社会人になる前の学生さんや、会社員や経営者の方のなかに甲賀さん、中澤さんも交わって、年代や肩書き関係ない輪が
ロバート下北沢のいたるところで形成されていました。

アドバイスをするされるの関係だけではなく、会社内での上下関係などない、世代を超えたコミュニケーションをとる。ごちゃ混ぜな人たちで形成されているからこそ、お互いに気づきが得られる素敵な時間は、Mixture Hub(人と交流することで可能性を感じ取る・自分の生き方に還元する場所)としての片鱗を確かに感じさせるものになりました。

Writer: 新野 瑞貴
Photographer: 李 生美、新野 瑞貴

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