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いま作品にほしいもの

写真展開催中の現在、水彩画の制作、作曲を同時に進めている。その間に動画をつくったり、他の仕事もしている。ギャラリーにも行っている。

新型コロナウィルス騒動の影響がさまざまな場所に出ていて困ることばかりだが、そのぶん生活がシンプルになっているのは、制作をするには追い風。

水彩画は、6月の個展に向けて制作をしている。去年の個展「Finding a Planet」のときと意識が変わっているところがある。それは「にごり」の成分。

昨年の個展に限らず、水彩画において私は色が「澄んでいる」ことを大切にしてきた。だから、ほとんどの水彩作家がパレットに色を乗せっぱなしで使うことが多いなか、私は毎回洗い落としていたし、着色中も頻繁に水を取り替えてきた。それは、にごった水で解くことで青空が曇空に見えたりするようなことを避けるためで、私の色調の個性の一つにもなっていたように思う。にごりのない透明水彩の色は純粋にきれいだ。

ところが、今回はそこに、にごりが入っている。なぜか。そっちのほうがいまの私には心地いいから。

音楽もまったくいっしょで、いま欲しい音には「にごり」がある。和音でもそうだし、つくりだすシンセの音色でも。

にごりにもいろいろあるが、いまほしいのは、デジタルよりもアナログが得意な性質のものかもしれない。つまりデジタルでノイズを加えたようなものではなく、音なら、ブーストしたり飽和ぎみにしたりするときのにごり、色なら、無数の色がかけ合わさってできるにごり。それが「ほどよく(主観)」あるのがいまの好み。

おもしろいことに、聴覚、視覚、味覚の好みがこのように連動していることが(少なくとも私の場合は)多い。

また今年の制作も、音楽、絵画、写真、その他すべてにおいて、ある1つの共通テーマがあってやっている。

ジャンルは違うが同じ1人の人間がやっている理由が、ここらあたりにあると思う。

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