水彩画と電子音楽に、再び出会う。
7月に水彩画の個展、8月にソロライヴが控えていて、ここのところそれらに向けた制作や準備に注力している。
絵は小さい頃から描いていて、アメリカでの高校時代を中心にいろんな賞をもらった。水彩画を大学時代にやり始めてからは、絵本や本の挿絵などの仕事もやっていたが、周囲からの評価に反して、絵がやりたいと心から思ったことがなかった。その後、音楽や写真をやるようになり、近年までは絵からは離れていた。
絵画にくらべ写真にはスピード感がある。それが楽しくて、ある時期狂ったように写真にのめり込み、きづいたら仕事になっていた。展覧会もたくさんやってるし、いろんな仕事をいただいている。
ところが、その間にデジタルカメラが普及し、写真は特別なものではなくなった。また、アートとしての写真は(クラシック音楽や美術がそうであったように)コンセプチュアルな傾向が強まり、リアルだけでなくフェイクを写すものが好まれるようにもなってきた。
そうなると、ストリートで撮っていても、いつも何かが物足りない。旅に行っても、その地名のタグを検索すればインスタグラムで山ほど写真が見つかる。
数年前、思い出したように絵を描いてみた。写真を一通り、しかも徹底的にやってみてから戻ってきた絵画は、以前とは違う色彩を放ち、違う輪郭を有して見えた。
音楽は、これも学生時代に独学で作曲を始めたが、当時一番やりたかった映画音楽をやるには独学では限界があり、作曲家(すずきみゆき先生)に弟子入りした。
クラシックの作曲法を学び、クラシック楽器ベースの楽曲を書き続け、ピアノを演奏し続けてきたが、これもやはり数年前、ジェフ・ミルズが東フィルと共演するのを聴いて、十代の頃好きで聴いていた電子楽器の音色に再び魅了された。狂ったように聴き、その演奏法を勉強した。
クラシックをやって再び戻ってきた電子音楽は、以前とまったく違う響きがし、違う構造を有するように聞こえた。