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noteクリエイターインタビュー#001|マスクマンゲームディレクター

今やゲームは家庭用ゲーム機だけではなく、スマホやWebやVRなど様々な媒体で私たちの身近な存在となりました。Facebookはメタバース(仮想3D空間)の時代が到来するとし、社名を「メタ」に変更しました。今後、私たちの生活はよりバーチャルなゲーム空間と密接になってきます。

そこで今回は、業界初のマスクマンゲームディレクターとして14年間活動している、でにろう氏にインタビューしました。

「世の中は全てゲームだ」

──本日はよろしくお願いいたします。

あ、よろしくおねがいします。僕なんかでいいんでしょうか? すごく緊張しています(笑)


──早速ですが、これまでどういったタイトルを手掛けてきたのでしょうか?

えっと、そうですねえ。難しいですね。”手掛ける”ってどこからが含まれるんですかね。色々とやってきたので(笑)。もしかしたら、"手掛ける"の定義から決めたほうがいいかもしれません。

これは普段から思っているんですけど、例えば、サッカーでサポーターのことを12人目の選手、なんて表現をするじゃないですか? ゲームも同じだと思っているんですよね。ゲームもゲームプレイヤーがいて初めて成立するし、プレイヤーがいないゲームなんて、ASKAがいないCHAGE & ASKAみたいなもんだと思うんです。

だからゲームプレイヤーもクリエイターの一人なんだろうなって。12人目のクリエイターなんだろうなって思ってます。そういう意味で考えると、"手掛ける"ってゲームをプレイするっていう意味だと思います。

僕が最初に手掛けたタイトルは「スーパーマリオブラザーズ」になります。とにかく衝撃的でした。画面の中のキャラクターを自分が操作できるんですよ? ファミコン世代のど真ん中なので衝撃でしたね。

ちなみに何世代ですか? あ、ドリキャス世代ですか。当時は本当に衝撃的だったんですよ。ファミコンの発明と、ゲームセンターに脱衣麻雀が入ってきたときの衝撃はすごいものがありましたよ。

もちろん「ドラクエ」や「マリオカート」は、かなりの時間をかけて手掛けました。親にも「いつまで手掛けてるのっ!」って怒られるくらい手掛けたものです。自分でも毎日よく飽きもせず手掛けるなと思ってました。

今では、時間は減りましたがスマホゲームも手掛けています。「クラッシュロワイヤル」なんかはもう10年以上も手掛けていますし、一時期は課金にも手掛けてました。こう考えるとかなり手掛けてますね。


──有名タイトルばかりですね。最近ではどういったタイトルに注目されていますか?

手掛けるって言っても、自分なんかただゲームしてただけなので、そんな大したことないです。最近は実はお恥ずかしい話なんですけど、作品のチェックはしてるんですけど、なかなか手掛けられていないんですよね。ゲームディレクターなのにちょっとまずいですよね(笑)。

逆に今ってみんな何を手掛けてるんですかね?

あつもり? ポケGO?

 え? それってゲームですか? 知らないですねえ。かなりマニアックなんじゃないですかね(爆)。ごめんなさい、ちょっと手掛けられてないです。

僕は今年は、逆にNetflixかブラジル株あたりを手掛けようかななんて考えています。まだまだ周りから「手掛けてるなあ」とは思われておきたいんですよね。

あ、もしかしたら今「ゲームじゃないじゃん」って思ってますよね(笑)。私も最初はそう思ってたんですけど、実は全部ゲームなんですよ。世の中にあるものは全部ゲームなんですよ。

ちょっと考えて頂きたんですけど、株だって利益を出すゲームだし、Netflixだって次々と見たいドラマをいかに消化していくかっていうゲームじゃないですか。イカゲームってことですよね。ウォシュレットだって肛門に水を当てる的当てゲームだと思うんです。世の中にあるものは全部ゲームになっちゃうんですよ。ゲームディレクターになると全部、そういう目で見えるようになっちゃいます。

「あつもり? ちょっと聞いたことないですね」とでにろう氏


──なるほど。ゲームを制作するようになったきっかけはなんだったんでしょうか?

きっかけですか。そうですねえ。高校を卒業してなにもやりたいことがないなって思っていて、最初は深夜のコンビニでその日暮らしをしてたんですよね。お金もなかったんで、電気ポットでパスタを茹でてマヨネーズだけかけて食べたりしてました。今も主食です。

その当時の仕事は本当に色々なことをしてましたね。なんか四角いものを丸くしたり、逆に丸いものを四角くするような仕事もあったし、自動改札の中で切符をチェックする仕事もしてましたね。今でも月・火はしてます。

でもそんな中、友達に言われたのが「感性が独特だからデザインの学校とか行ってみたら」という言葉でした。

そうなのかぁと思いつつ、何故かピンと来るものがあって、2日後にはデジタルハリウッドに入学していました。受付のお姉さんが可愛かったんですよ。それで何かピンと来ました。もしかしたら、付き合えるかもと思って入学したんです。受付って大事ですよね。

それからはもう働きながら徹夜で勉強です。多分、人生で一番勉強しましたね。付き合えるかもって思ってますからね。で、その甲斐あってか、卒業制作でなんとグランプリを受賞することができたんですよね。そこからすぐにダーマの神殿に行って転職をしました。

転職自体はすごく簡単でしたね。誰でもできます。ダーマ神殿にいる神官に話しかけるだけです。「では、でにろうよ。ゲームディレクターのきもちになっていのるがいい」と言われすぐに転職できます。レベルは1に戻るのでそこんとこは注意が必要ですけど。


──ゲームディレクターの仕事というのは具体的にどんなものになるんでしょうか?

ゲームディレクターってなんか偉そうな肩書ですけど、全然そんなことはないんですよ。ペーペーです。基本的にはずっと土下座してます。ゲームの世界ではプロデューサーが絶対的な存在なので、プロデューサーと現場の板挟み状態なんですよ。ディレクターは中間管理職みたいなものです。

仕事内容はゲームに関わる全てです。もう本当に全部なんでもやります。

ゲームサイクルから、キャラデザイン、世界観構築、シナリオ、声優への指示でしょ。予算管理から開発体制やワークフローの整備、プロジェクトのマイルストーン作成もするし、便所掃除もします。なんならビルの窓清掃もしてました。ほんとに寝る時間以外は、全時間をゲーム制作に取られてました。完全にブラックですよね。あ、でも会社に強要されているわけじゃなく、好きでやってるんですけどね。ドMじゃないとできないかもしれません(笑)。

特に制作メンバーや外注のメンタル面でのケアは大切にしてました。みんなのやる気がないといいもの作れませんからね。ディレクター自身は制作者がいないと何も作れませんから。だからこそメンバーは大事にしています。会うたびにハグをしたり、りんご飴をあげたりしていました。

もちろん必要に応じて枕営業もします。中でもいちばん大切なのは出資者に抱かれることです。全てのゲームディレクターは抱かれています。制作費が多い作品ほど抱かれる数も多いと思ってもらっていいと思います。ウマ娘なんて相当抱かれていると思いますよ。

ディクレターのDは"抱かれる"のDなんです。

──わかりました。ゲーム制作をする上で心がけていることはありますか?

あまり偉そうなことを言うのも気が引けるんですが、そうですね。1つ言えるとすると、クリエイティブっていうのは細部に魂が宿りますので、手を少しでも抜くとすぐにバレちゃいます。プレイヤーに本気でプレイしてもらうためには、作る側も本気で作る必要があるってことですかね。

プロジェクトメンバーとも意見の違いがあるときは、雨の降る河原で殴り合いをしますし、どっちが崖ギリギリに車を止めれるかのチキンレースで決めるときもあります。そこは命をかけて作っています。3日に一回はバンジージャンプも心がけていました。

作品の世界観に少しのめり込んでみるのも大事です。モンスターの設定を考えているときは、街中の人を噛みつきまわって人体を咀嚼する感覚を体感していましたし、武器屋の商人のキャラ設定を考えているときは、会議中に誰に何を聞かれても「ここでそうびをしていくかい?」って答えるようにしていました。当然そのあとは河原で殴り合いです。

僕は仕事の時間だけじゃなくて、日々の生活からのめり込むようにしてました。とにかくグーッとめり込んでいくってことは心がけていましたね。才能があるわけではないので、そうやって愚直にするくらいしか自分にはできませんからね。

パズルゲームを作るときは、満員電車で禿げているおじさんを隣に座らせて連鎖して消していってましたし、戦国シミュレーションを作っているときは、ちょんまげで過ごしていましたよ。もちろん、みんなもちょんまげなので、ミーティングを清州会議って呼んでました。

それくらいめり込んでやっと人並みレベルになると思ってます。

次作の格ゲー「赤べこ拳」にのめり込むでにろう氏


──これからゲームディレクターを目指す人へアドバイスはありますか?

みなさん、若い方は才能があるので、好きにしてもらうのが1番だと思います。一つだけ言えるとしたら、とにかく色々なものを吸収することですかね。

自分が好きなゲームをやることはもちろんですが、興味がない分野のゲームもどんどんやるといいと思いますよ。僕も興味はなかったけどエロゲーを次々とやってみましたし、なんならAVも仕方なく見続けました。特に女優ものが好きです。今でも見続けています。

選り好みはせず、ゲームに限らず流行っているものを次々と取り入れてみるのがいいんじゃないですかね。世の中のものは全てゲームですから。

最新の映画やアニメはもちろんのこと、オミクロン株もいっそ体に取り込んでみる。流行ってますからね。そういうアンテナが新しいアイデアを生み出します。

ゲームの制作期間ってどれくらいか知ってますか? ビッグタイトルだと2年以上もかかるんですよ。めちゃめちゃ長いですよね。小5の息子が中学生になっちゃうんですよ。だから当然、その当時の最先端のものを取り入れたつもりでも、ゲームをリリースするときにはもう古くなっているんですよね。

これからはより流行や技術革新が加速してきます。選り好みをしないで色々とチャレンジしてみてください。今までの常識に囚われないものにチャレンジしてもらいたいです。逆にゲームじゃないものを出して欲しいなって思います。

僕はゲームを作るのは疲れたので、VRでAVを手掛けたいと思います。

VRでAVを手掛けるでにろう氏

※本記事はクリエイターズ・ファイルのオマージュとなります。

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