高畑勲展に行きました。
※掲載するのを忘れており、こんな時期になってしまいました。
高畑勲展に行って来ました。率直な感想を言いますと、とにかく見終わった後に「疲れます」。どっと疲れます。
確かに、美術展に行くと、作品の鑑賞にエネルギーを使いますが、そのエネルギーとは、その作品を理解しようとかそういう類のエネルギーですね。今回の展示のようなアニメーションの原画や絵コンテの展示が絵画展と大きく違うのはそこです。作品自体はすでに鑑賞していることが多く、展示に足を運ぶ理由としては、その「制作過程」を知ることにあると思います。だから、今日、ものすごく疲れたのは、その過程を直に見て、想像を絶する作業量に圧倒されたからに他なりません。
高畑作品といえば、リアリティの追求が徹底していて、「エンタテイメント」というより「文学作品」の色が濃いイメージがありますが、それ以上に、大赤字でアニメーターがボロボロになってしまうということがよく言われています。なので、事前に鈴木さんの本なども目を通して覚悟した上で足を運びましたが(笑)、アニメづくりをする過程で高畑監督(および宮崎監督を含むスタッフ)の残した膨大なメモの数々。ストーリーやキャラ作りをする過程でどれくらい考え抜かれたのかが伺えるものでした。見ていて気絶しそうでした。
あと、私が圧倒された理由の一つに、企画書や公文書?のようなものも、当時ワープロがない時代だったからか全て手書きだったことです。作業の工程表も定規で几帳面に引かれた枠内に名前や作業項目がこと細かに書かれていました。このようなものを保存していくことは、先人がどれだけ苦労したかを知る上で、一定の意義があると思います。
原画、絵コンテ、イメージボード、作監のメモやロケハンの写真など、普段はお目にかかれないものも沢山展示されているため、楽しめると思います。でもそれ以上に…数々の作品が生まれた裏にどれだけ汗と涙があったのか伺えるものがあります。そんなこと、直球ではどこにも書かれていませんが、人の手で作られたアニメーションがそういったものの結集であることを改めて感じ、圧倒されるために、多くの人が足を運んでくれたらいいなと思いました。