🌲🌱植生遷移🌱🌲

春にはハルリンドウ、夏にはサギソウが咲くその公園は、痩せた日当たりの良い湿性地だった。

モウセンゴケの横を飛び交うハッチョウトンボの数を数えたりもした。

気をつけて歩くと道から少し外れたところに咲くシュンランも見つかることができる。

木々も育たない痩せた土地だからこそ、これらの動植物が生息する。

この特徴ある自然の風景を楽しむためにこの公園はできた。

ところが、土地というものは長い時間をかけて肥沃になったりもする。

木が生えてうかうか喜んでいると、これらの動植物は姿を消してしまう。

そこで、貴重な動植物を守るために人間の手が入ることになる。

生えてきた木を切ったり、茂ってきた草を刈ったりし始める。
刈った草木が栄養になってはいけないから集めて他所に持っていく。

ちっとも自然じゃない。

教科書的な正義の気持ちで、その時は「自然を守ってる」って気分だったけれど、いったいあれはなんだったのだろう？

「遷移そのものを愉しむ」
「移りゆく自然の風景を眺める」

ということもありではないかな？

私は最近「自然を守る」っていう考え方に違和感を覚えるようになってしまった。

自然というのはおおよそ私たち人間がコントロールできるようなものではなくて、私達が自然の中に内包されているはずである。

自然を守るだなんて、いったいいつから人間はそんなに偉くなったんだろう？

おそらく私の考え方も年齢とともに遷移しているのだろう。

どの風景が正解ということはないのと同じように、どの考えが正しいととかいうのはない。

けど世界全体を人間の庭みたいにしちゃうのはなんか嫌だな。私は。

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うちの家の隣が10年ほど空き家だ。もともとの植栽はすっかり目立たなくなって、鳥や風が運んできた種から育った木がわんさか茂っている。

私は庭仕事が好きで、気候がいいと庭の植物達の世話をするのに家の周りをしょっちゅうぐるぐるしてる。

ところが昨年の厳しい夏で、大切にしていた我が家の植物達はけっこうな被害を受けた。

なのに隣の庭は誰も水やりをしないのに平気で青々としている。

それどころか野生がしたヒメイタビがフェンス沿いに木質化しながら10メートルくらい伸びて、ブロックを伝って枝を這わせてくるし、勝手に生えて大木になったアカメガシワが、我が家の敷地にあちこち根を伸ばしたり、種を撒き散らしてくる。

「コンチクショウ！負けないぞ！」と思いながらも、私は空き家の植物達の野生のパワーになんとも言えない頼もしさを覚えてしまうんだ。

「自然の力って凄い。人間なんかはちっぽけだ。」
っていうのは、
「人間も自然の一部だ。」
って信じてる私には嬉しくもあることなんだ。