うつ病の原因はヒトヘルペスウイルス?
Cell pressでヒトヘルペスウイルス6の活性化でうつ病になるという報告があった。これについて知見を述べたい。
この論文の主な内容は、ヒトヘルペスウイルス6の感染がうつ病の原因である可能性(マウス実験)が高い。そして、その抗体の検出量を健常人とうつ病患者を比較したところうつ病患者に有意に多かったという報告である。(オッズ比:12.2)
うつ病をはじめとした精神科領域の問題点としては、診断が問診という主観的な判断に偏っていることにあり、これを契機にうつ病の診断をより客観的に進むことを期待したい。
注意点としては、ヒトヘルペスウイルスは大半の人が感染しており、免疫力低下とヒトヘルペスウイルス再活性化に関係性がある。
※免疫抑制薬のJAK阻害剤を投与すると、ヒトヘルペスウイルス2型の再活性が起こり、帯状疱疹が起こる副作用が報告されている。
うつ病自体に意欲の低下や免疫力低下でヘルペスウィルス再活性による帯状疱疹が起こることもあるし、帯状疱疹が先にでて、それが原因でうつ病みたいになることもある。
つまり、原因なのか結果なのかはこれだけは言えない。
この因果関係を証明するためにはヒトヘルペスウイルス感染でRCTの試験が必要となるが、それは倫理的にやっていてはいけないことである。
私はこの論文で覚えておくことは、
うつ病では潜伏感染が再活性化されやすくなり、それに注意する必要がある
だと感じた。