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やきそば

高校生の頃、
弁当にやきそばが入っていると、
全部取られていた。

僕がやきそばのこと苦手だから、
あげてたわけじゃなく、
ものすごい人気だったから、
それはそれは人気で人気で。
やきそばが。

購買にやきそばパンが売っている。
「おばちゃんやきそ…」
「おばちゃんやきそばパン!」
「はいよー」
「……」
僕はとことん、
やきそばを食べられない運命なんだと、
やきそばを諦めることって
欲しかった服のサイズが無かった時と同じ。
虚しい。
僕に合うやきそばが無かった。
ただそれだけのこととはいえ。

僕は結局やきそばを着ることなく高校を卒業した。
大学生になると、食堂があった。
食堂には、うどん、らーめん、そば、
やきそばが見当たらない。
もう一度、
うどん、
らーめん、
そば、

そばはあるのに。

そばはあるのにやきがない。

そばにあるはずのやきがない。

側にあるはずのヤキがない。


と言ったところだろうか。
とにかく食堂にやきそばがなかったのだ。
正直言って事件。
事件の香りがするし、ソースの香りも…
事件の香りがするし、ソースの香りも…
いや、事件の香りがするし、ソースの香りも…
しない。
事件の香りも含めて。
僕は諦めてパスタを食べた。
普通に。
食堂には無いのにわざわざパスタ。
僕がパスタ屋でバイトを始めて、その金で車を買うのは、また別の機会に話すとしよう。
そして僕は、その車に乗って大学を卒業した。
ほんでうまいこと言うとさ、
僕の車にナビついてなかったわ。
マジで。
目的地なんか決めてなかったし、
土地勘があるわけでもない。
だって本が嫌いなんだもん。
そもそも。
ほんで僕やきそばの話してたのに、
なんか話取られた気がする。

あなたのサポート無しでは、もう考えられない。