最期とやら
近くに付き添ってくれる人相手に、わずかばかりの昔の功を語り……そう、手柄話をね……最期までラチのない夢を見てたなと含み笑いで、涙を消して。
遺灰は江の島の海に撒くように手配してあるから、滞りなく業者に渡してくれればいい。
できれは、枕元の小太郎さんの遺骨を一緒に。
それだけのことだと思っていたが、近くにいてくれる人がいない。
世の中、思うようにはならないものか。
小説家だ、歌手だと夢を見るより、冴えないサラリーマンとしての生き方を選んで、無難に結婚して、親を小馬鹿にする子供たちを育てて……そんな生き方をした方が、晩年を幸せに送れたのかもしれない。
どこで生き方を間違えたかな?
40年近く、下手くそな生き方と蕀の道を歩いてきたことになる。
はてさて……
あと何年生きるかな?
骨はどこに埋まるかな?
家の墓には間違えても入れないで欲しいけど……
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