見出し画像

間違いやすい道路標識

日本の道路標識は、法律で定められているものだけで100種類を超え、更に法定外の標識も含めると数百種類存在すると考えられている。その中には、絵柄が同じで色やデザインが異なるものもある。その中では、青が基調のものと赤が基調で斜線が入ったもの (大文字の "N" を形どったものと言われている)は別の記事にまとめている。

この記事では、その他に町中で見る似たような標識に焦点を当てて紹介する。


駐車場

画像3

(左) 指示標識 (402の2)高齢運転者等 標章自動車駐車可、(403)駐車可
(右) 案内標識 (法定外) 駐車場

左は標識令で定められている「駐車可」の指示標識であり、駐停車禁止場所、駐車禁止場所又は道路の左側端以外の場所(道路の中央部分、分離帯の左側端沿い、一方通行路の右側等)の路上に駐車することができることとすることにより、交通の安全と円滑の確保を図るのが目的である。この標識がある場所では、その場で駐車が可能である。

右は、東京都の市街地等で主に設置されている、路外駐車場の案内標識。法律で定められているわけではない。駐車場の場所を案内する標識なので、この標識がある場所で駐車できるわけではない。

画像9
場所: 東京都文京区根津
画像7
場所: 東京都港区新橋 (旧型標識)
画像8
場所: 東京都中央区日本橋 (新型標識)
場所: 東京都港区台場
この付近にたくさんある青いPは、この場所に駐車可能であることを示しているわけではなく駐車場の場所を案内しているため、誤用だと思われる。(正しくは白いP)

一方通行/左折可

画像4

(左) 規制標識 (326-A) 一方通行
(右) (標識令外) 左折可

左は、標識令で定められている一方通行路に設置される規制標識である。

右は、交差点において信号機の状態に関わらず常に左折可であることを表す標識である。標識令には定められていないが、法的根拠はある。信号により停止位置を越えて進行してはならないとされている車両に対して、その車両が左折することができることとし、交通の円滑を確保するのが目的。

これらの標識は、場所によっては同じ場所に設置されている場合もある。

画像5
場所: 東京都中央区日本橋
箱崎インター入り口

また、「左折可」の標識は直進する車両の信号機による停止線と左折レーンの間に「島」がない場合に使われるのが普通で、島がある場合は通常の「一方通行」のみが使われるのが普通のようである。

(左) 島がない場合「左折可」 (右) 島がある場合「一方通行」

ただし、島がある場合にも左折可が使われている場合もある。

場所: 東京都港区赤羽橋交差点

ちなみに、交通教本では、島がある場合を例として左折可が使われている。

交通規制基準には、左折可は対象道路として「流入部に横断歩道が設置されていない道路」と記載されており、島がある場合に左折可よりも一方通行が用いられるのは、横断歩道が設置されている場合が多いからと思われる。

ロータリーとラウンドアバウト

画像2

(左) 警戒標識 (201の2)ロータリーあり
(右) 規制標識 (327の10) 環状の交差点における右回り通行

左は昔からある「ロータリー」と呼ばれる円形交差点の警戒標識である。

右は、2014年9月から新設された、いわゆる「ラウンドアバウト」と呼ばれる環状交差点の規制標識である。2023年3月現在で全国に約150存在し、毎年10前後ずつ数が増えている。

Googleマップで環状交差点の場所や、ロータリー交差点の場所などを見ることができる地図が公開されている。

円形交差点と環状交差点は、交差点の形はどちらも同じだが、車両通行時の優先権が異なる。

画像6
(左) ロータリー (円形交差点) : 円形交差点に特別な規定はなく、通常と同様、左方を優先する必要がある。また、信号機や一時停止標識がある場合はそれに従う。
(右) ラウンドアバウト (環状交差点): 交差点の中を走っている車に優先権がある。交差点に入ろうとする車は止まる必要がある。

ちなみに、多くの環状交差点では、「ロータリーあり」と「環状の交差点における右回り通行」の標識が両方設置されている。前者はあくまでも交差点の形状について警告しているのであり、後者は交差点における通行ルールについて規制しているため、両立して設置することも可能なのである。

通学路とシルバーゾーン

画像5

(左) 警戒標識 (208)学校、幼稚園、保育所等あり
(右) (法定外) シルバーゾーンの一形態

左は学校、幼稚園、保育所があることを示す警戒標識で、児童や幼児が多い地域での安全対策である。スクールゾーンなどと併設されることもある。児童や幼児が小学校、幼稚園、保育所等に通うため通行する道路の区間で、小学校、幼稚園、保育所等の敷地の出入口から1km以内の地点に設置する場合は、補助標識に「通学路」を附置する必要がある。また、保育園・保育所にはいくつか種類がある (認可保育園、認証保育園、認可外保育園等)が、種類によってはこの標識が設置されていないのが現状である。

右はシルバーゾーンを表す標識の一形態。東京都、島根県、茨城県、兵庫県等でこの形態に近い標識が見られる。シルバーゾーンは、高齢者が多い地域での安全対策である。シルバーゾーンには法定の標識が存在せず、地域によって標識の形が丸形だったりひし形だったり、絵柄も異なっている。

これらはいずれも自動車に注意を促し徐行を勧める点では同じである。

車両通行止めと駐車禁止

(左) (302) 車両通行止め
(右) (316) 駐車禁止

色違いの標識だが、白は「車両通行止め」、青は「駐車禁止」を表す。駅前やターミナルのロータリーでは、この2つの異なる規制標識がダンゴになり設置されていることが多く、おまけに付いている補助標識も似ていることが多い。

場所: 東京都渋谷区道玄坂 JR渋谷駅西口ロータリー


いいなと思ったら応援しよう!