板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイント③
「ホームページがないから苦戦中なのでホームページが欲しい」というトーンの計画書で持続化補助金を申請するケースがあります。これは「弱みの克服」をテーマとしています。
これに対して「より多くの方に当社商品の良さを訴求したいのでホームページが欲しい」というトーンは「強みの活用・強化」をテーマとしており、後者の方が事業の効果が上がりやすいと考えられます。
「弱み」は競合よりも劣っている経営資源、その逆に「強み」は競合よりも優れている経営資源と言えます。よって「弱み」を克服することは競合との差を小さくすることであり、抜きん出るには手間がかかりますが、「強み」を活用・強化することは競合との差が大きくなりやすいので、より自社が有利になることが期待できます。
そこで、まず自社の強みを認識する必要がありますが、それを記載するのが今回見ていく<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」であり、下図「公募要領」内「書面審査」の下線部分にも、強みの適切な把握やその活用が審査項目として記載されています。
当記事では、下記の持続化補助金ホームページからダウンロードできる板金加工業の計画書記載例を取り上げ、当欄の書き方を見ていきます。
【商工会議所エリア】
【商工会エリア】
以下は、今回見ていく記載例ですが、書き方のポイントとして吹き出し部分が挙げられ、以降でそれぞれを解説していきます。なお、今回の記事は2022年7月10日現在の情報に基づいています。
1. 板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart3
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart3(1)結果の要因を述べる
例えば、ある企業でAという商品の売れ行きが良いとします。それは望ましいことではありますが、この「Aという商品の売れ行きが良い」ことは強みにはなり得ないでしょう。この望ましい結果をもたらした要因が、仮に社内に置ける商品改善の提案制度によるものだとしたら、それが強みとなり得ます。
記載例では「数々のNC マシンとCAD/CAM、レーザー加工機、レーザーパンチプレス複合機など多様な高性能設備を備えており、高付加価値の商品の提供及び顧客からの様々なニーズへの対応が可能」とありますが、太字部分が様々なニーズへの対応を可能としているという望ましい結果をもたらしており、これが強みになっています。
このように、望ましい結果をもたらした要因を洗い出すことが、前述の公募要領内「書面審査」に記載のある「強みを適切に把握」に繋がることに留意しましょう。
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart3(2)物的資源の強みを述べる
事業者は、経営資源を使って事業を切り盛りしていますが、具体的な経営資源の例は以下の通りです。
人的資源:経歴・スキル・関係性、組織風土など
物的資源:設備、什器、製品・商品など
財務的資源:内部留保状況、資金繰り、金融機関との関係性など
情報的資源:受発信している情報など
上記の切り口から強みを洗い出すことも一考であり、記載例では、上記4種類の経営資源の中で、NC マシン・CAD/CAM・レーザー加工機・レーザーパンチプレス複合機といった多様な物的資源を保有していることを示しています。
板金加工業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart3(3)人的資源の強みを記載する
一般に、事業規模が小規模になればなるほど、事業展開は属人的なものになりがちですので、人的資源の強みはぜひ盛り込みたい部分です。記載例では、熟練工の技術力を取り上げていますが、その他にも人的資源の強みとしては、経営者が持つ強みや、組織全体としての強みなども挙げられます。
そして、この人的資源の強みを活かして収益性を向上させ、その他の強み、つまり物的・財務的・情報的資源の拡充に努めることが事業拡大の要諦ではないでしょうか。
今回の記事では、板金加工業の計画書記載例の中で<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」における採択を引き寄せる書き方として(1)結果の要因を述べる、(2)物的資源の強みを述べる、(3)人的資源の強みを述べる、を挙げました。次回も当記載例を用いて「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
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