【売上倍増!】飲食店がメニュー開発で差別化できた事例
1.個人経営の飲食店がとるべき施策
飲食店を個人で経営している方で、顧客数が少なかったり、客単価が低かったりして、売上確保に悩んでいる方は、ご自身の経歴を活用したメニューを開発し、地元の商工会・商工会議所を通じて経営革新計画を立案した上で、広告を行いましょう。
これによって、ご無沙汰していた既存顧客の他に、新規顧客の来店が増加するとともに、客単価が向上し、繁盛店へと繋がっていくことが期待できます。この記事では、これに取組んで売上が倍増した居酒屋の事例をご紹介します。
2.私がこの事例を述べる理由
私は中小企業診断士として、埼玉県川越市で経営コンサルティングの会社を経営しています。弊社はこれまで地元の商工会や商工会議所からご依頼を受け、200を超える「経営革新計画」の策定に携わってきました。
「経営革新計画」の承認制度は、行政の中小企業支援策のひとつです。新規事業の計画(経営革新計画)を作成し、都道府県の審査を通過し、知事の名前入りの承認書を取得すれば、借入金や補助金の調達が有利になるなど行政の支援策を活用することが出来ます。当制度は各都道府県で実施されていますが、埼玉県が非常に力を入れています。
今回ご紹介する、弊社がご支援した個人経営のある居酒屋は、差別化できる新メニューを開発し、その展開を含めた経営革新計画を策定し、都道府県の承認を得たことをマーケティング活動に活用した結果、大きな成果を得ました。以下で具体的な内容を解説していきます。
3.差別化できる飲食店の新メニューとは
同店は創業7年目であり、女将とパートタイマー1名で運営する小規模な居酒屋です。当時、思うように売上が伸びず、女将を務める経営者は有効な手立てを見出すべく、地元の商工会に相談に行きました。
商工会の職員は、上述の経営革新計画をご紹介し、同店のような商工会の会員は無料で専門家派遣を活用して、この計画を策定できることをお伝えしました。
その商工会から派遣の要請を受けた私は、経営革新計画を策定するべく、同店経営者と面談を重ねることで以下のことが分かりました。
彼女はある地方の出身であり、親類はその地方に居住していること。
その伝手を活用すれば、当地でなければ手に入らない食材を安価で調達することが可能であること。
新メニュー開発のポイントは、同店でなければ提供できないメニューを検討することです。この観点で検討すると、経営者の地元でなければ調達できない食材を使って、経営者の地元の郷土料理を提供することは、有効な選択肢となります。
そこで、この郷土料理数品を新メニューに加え、以下の告知を行いました。
4.開発したメニューの販促戦略
同店は、新メニューの販売を促進するべく、当時文字だけだった同店のメニュー表にその郷土料理の写真を掲載し、顧客の視覚にアピールしました。さらには、新メニューを紹介するチラシを作成し、周辺地域にポスティングしました。
同店は、これらの取組みを主軸とした経営革新計画を専門家の支援の下で策定し、都道府県知事の名前が入った承認書を得ることが出来ました。これを踏まえて、同店は「〇〇知事が認められた計画に基づく郷土料理、新発売!」といった内容の告知物を作成し、店頭に掲示しました。
これらの取組みによって、同店からしばらく足が遠のいていた顧客の再来店や、新規顧客の来店が増加するとともに、新メニューの注文が客単価を引上げ、同店の売上高は倍増しました。
5.飲食店の経営革新計画の留意点
今回の事例における経営革新計画のテーマは、新メニューの展開を軸とした情報発信の強化です。飲食店が、開発した新メニューだけをテーマとした場合、経営革新計画の審査が通らないリスクがあります。なぜなら新メニューの開発は、多くの飲食店が日常的に実施しているため、新規性のある事業と見なされないことが想定されるからです。
同店の場合は、開発した新メニューを踏まえた情報発信戦略として、メニュー表の改訂、チラシの作成とポスティングの他、毎日のブログ・SNS更新に取組むこととし、メニュー表の改訂内容、チラシの内容とポスティングする地域・時期の設定、ブログ・SNSの投稿内容のアイデア出しの手法などを細かく設定し、計画に盛り込みました。
6.飲食店がメニュー開発で差別化できた事例のまとめ
個人経営の飲食店が生き残り、繁盛店へと成長するためには、強みを活かしたメニュー開発と、それを効果的に伝える広告戦略が重要です。
本記事で紹介した居酒屋の事例のように、地元の商工会・商工会議所と連携し、経営革新計画を策定することで、新たな顧客層を開拓し、売上の増加を実現することができます。ぜひ、自店の強みを見直し、経営革新計画を通じて新しい一歩を踏み出してみてください。
自店にマッチした経営革新のテーマについてのご相談は以下のリンクよりお気軽にお寄せください。