他店の追従を許さない飲食店の新メニュー展開3つのポイント
1.新メニューの展開により売上が50%増加した事例
集客に苦労している小規模な飲食店は、経営者の出身地を活かしたメニュー開発、行政の支援策を用いたマーケティング、メニュー表の工夫によって、状況の打開が可能です。ある居酒屋はこれらの取組みによって、コロナ前と比較して売上を50%増加させることに成功しました。
私は同店に対してこれらの取組みを提案し、実行を支援しました。私は、21年間ガソリンスタンドを運営する企業に勤務し、現場に身を置いてきましたが、その際に培った店舗運営のノウハウと、中小企業診断士として独立してから多くの店舗経営を支援してきた実績に基づき、この居酒屋の課題解決に取り組みました。
以下では、どのように新メニューを開発・展開し、業績拡大に繋げていったのか、具体的な内容をご紹介いたします。
2.他店の追従を許さない飲食店の新メニュー展開3つのポイント
ポイントその1:経営者の出身地を活かしたメニュー開発
当時の同店はコロナ禍で今後の事業展開に不安を抱いていました。そこで、地元の商工会に相談に行ったところ、専門家派遣制度の利用を勧められ、店舗ビジネスに詳しい私が同店のご支援をすることとなりました。
様々な内容をヒアリングする中で、同店経営者は地方出身であり、現地には親族が居住していることが分かりました。
その伝手を辿れば、地元の食材を安価で調達することが出来ます。そこでその食材を使った地元の郷土料理数点を新メニューとして追加することとしました。
ここでのポイントは、新メニューが経営者の出身地における郷土料理であるという点です。ネット通販が普及した現在、競合する他店においても、当地の郷土料理を提供することは可能ですが、提供する妥当性は薄くなります。
つまり、経営者の出身地を真似することは困難であり、これが差別的優位性の源泉となりました。次に、この新メニューを効果的に告知する必要があり、以下の内容に取組みました。
ポイントその2:行政の支援策を用いたマーケティング
行政には中小企業向け支援策がいくつもありますが、そのひとつに「経営革新計画の承認制度」があります。経営革新計画は、事業者が新しい商品やサービスを開発したり、既存の商品やサービスの提供方法を大きく変えたりするといった新規事業の計画書のことです。
この計画書を作成し、都道府県などの審査を受けて承認されると、低利融資を申し込むことができたり、補助金の審査で優遇されたりするなど、さまざまな支援を受けることができます。
同店は、新メニュー導入とそれに伴う新サービスをテーマにした経営革新計画を策定し、都道府県の審査を通過することが出来ました。これによって都道府県知事の名前が入った承認書を手にすることができます。
そこで同店は「〇〇知事が認めた計画に基づく郷土料理◎◎、新発売!」という内容の「のぼり旗」を作成しました。このように知事が認めた計画に基づく新メニューを取り扱っていることを強調したため、同店の信頼性が高まるとともに、消費者の関心を引き、集客力が向上しました。それと同時並行で、同店は店内のメニュー表にも以下の工夫を加えました。
ポイントその3:メニュー表の工夫
それまでの同店のメニュー表は、品名と価格のみが記載されており、味気ない印象がありました。そこでこのメニュー表を一新し、新メニューの写真を盛り込んだメニューにしました。
今回、メニューに加えた郷土料理は、メニュー表の上部に配置して目立つようにするとともに、その美味しそうな写真はビジュアルに訴求することとなり、その料理を知らない方も注文しやすくしました。結果、郷土料理の注文が大幅に増え、客単価もアップしました。
3.他店の追従を許さない飲食店の新メニュー展開3つのポイントのまとめ
上記3つのポイントをまとめると、以下のようになります。
経営者の地元の郷土料理をメニューに加えることで、他店との差別化を図りました。
経営革新計画の承認を得て、知事公認の計画書に基づくメニューとしてアピールすることで、信頼性と集客力を向上させました。
写真付きのメニュー表を作成し、視覚的に訴求することで、顧客の注文を促し、客単価を向上させました。
これらの施策を複合的に行うことで、同店はコロナ前に比べて売上を50%増加させるという結果を出しました。
今回の事例は、中小規模の飲食店が、限られたリソースの中でどのようにして業績を向上させることができるかを示す良い例と言えるでしょう。今後も時代の変化に対応し、顧客の期待を超えるような新しい取組みを続けることが、飲食店の持続的な成長に繫がります。
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