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【好きなゲームの話】 ファミレスを享受せよ

※ネタバレがあります。




 はじめまして。わみょんと申します。
普段は氷が溶けきったアイスコーヒーみたいな薄さのユーモアを掲げてnoteを書いているのですが、今回は真面目です。

  私が好きな『ファミレスを享受せよ』というゲームの事を語りたくなったので筆を執りました。

…スマホで打ち込んでいるだけの時に"筆を執る"って表現を使うの、なんとなく後ろめたくないですか?そもそも紙に書くとしても私が手に取るのってシャープペンシルだったり、万年筆だったりするから"筆"を執るというのも変だけど。
万年筆は筆って書いてあるしいいのかな?鉛筆も然りで。
まぁ、いいです。
 今更日本語に対して誠実になった所で手遅れです。本来誤用であるはずの日本語が、誤用されすぎて本来の意味以外の意味を獲得する事だってあるんです。きっと気づいていない所で、私達は不誠実な言葉を書き連ねてるはず。気にしてられないです。
好きに書きます。
皆も好きに書いたらいいと思います。

 さて、この『ファミレスを享受せよ』というゲームは2022年に公開されたブラウザゲームです。
無料で遊べます、なんと。
 現在はSwitchやSteam版も公開されていて、そちらは有料ですが、サウンドギャラリーやイラストギャラリーが追加されてます。イラストも音楽も素晴らしいゲームなので、こちらもオススメです。
 私自身がプレイしたのは2023年の4月頃でした。ちょうどこの辺りから「このゲーム面白いぞ!」と口コミでジワジワ広がり始めた気がします。元よりADVゲームが好きで、面白いゲームに飢えていた頃に口コミが流れてたのでイチコロでした。それから2年近くも経ったのですが、今になって感想を書こうとしたのは理由があって。
 知り合い?友達?の配信者さんにこのゲームをオススメしたんですが、なんとすぐプレイして下さって。その配信を見て、改めて「良いゲームだなぁ…」と感じたので、書きたくなりました。


では、早速ですが感想を…

…note書く時いっつも思うんですけど、本題に入る時って少し難しくないですか?

「じゃあ感想を書いていきます!」って宣言して書き始めるのはなんとなく嫌です。
それなら、


感想
私の好きなこのシーンについて…

 みたいにnoteっぽく書き始めてみてもいいんですけど、もっとシームレスに書き始めたいというか。
 web記事なんて読みやすく整理されたものの方が良いなんて事は分かりきってるんですが、個人の好みとして、こういう方法で書き始めるのって遣る方無いんですよね…。


そうだ!
皆さんは"マクガフィン"という言葉はご存知でしょうか。

 簡単に説明すると、"物語を軌道上に乗せるための代用可能な理由付け"みたいなものです。
 ONE PIECEで例えるなら、「海賊王に俺はなる」ってやつ。
 ONE PIECEの物語が進むためには、まずルフィが海に出ていく必要があるけれど、その理由って「海賊王におれはなる」じゃなくたって成り立たせれます。 "エースに会いに行く"とか、"強いヤツと戦いてぇ"なんかの理由で海に出たって物語は進められるんですよ。
 そういう代用可能な理由付けをマクガフィンといいます。ヒッチコックが好んで使っていました。

 今、私はこのnoteを本題に乗せるためのマクガフィンを見失っています。そこで、『ファミレスを享受せよ』のマクガフィンを振り返ってみようと思います。そこから感想に入っていきましょう。少しはシームレスに進められるかもしれません。



 『ファミレスを享受せよ』の物語が軌道上に乗るのは"ファミレスに行く"ことからだと思うので、主人公がファミレスに行く理由を振り返ってみます。

月、きれいだ…
こんなに月が綺麗な夜はファミレスに行こうかな

 まじで笑っちゃいました。見事すぎて。
 ヒッチコック曰く、マクガフィンはある程度どんなものでも成り立つので、これでいいんですよね。私ならきっと主人公が資格勉強をしてるという背景を利用して「ファミレスで勉強でもしようかな…」みたいなマクガフィンにしてしまうと思う。それかもっとマクガフィンにとらわれすぎてしまって、上手く先に進めないかも。

でもそうじゃないんですよね、このゲームは…。
ここで一気に心を掴まれた気がします。

「俺のデータにない存在…!
俺はたった今から、データを捨てる!」

こんな気持ちでプレイし始めました。

 このゲームは大きく分けて、雑談パートと、解決パートに分かれてきます。私の主観ですけど。
 初めの雑談パートでムーンパレスの住人(?)のキャラクター性に触れつつ、解決パートで一気に物語の核心へと迫っていきます。この塩梅がかなり自分的に好みでした。

 この手のゲームって、結構初めから違和感や伏線をばらまいて解決パートに向かっていくパターンが多いと思うんですが、『ファミレスを享受せよ』は序盤の雑談の割合がかなり多かったです。
 先が気になる展開とかを初めにもってきて物語を引っ張っるんじゃなく、キャラクターの雑談力、作者さんの文章力で物語を引っ張っていくのが圧巻でした。それでいて、何気ないセリフやキャラクター性に伏線が散りばめられたりもしていて、ゲーム後半は本当に驚きの連続…
話の構成が上手すぎる。

  『カラマーゾフの兄弟』ってあるじゃないですか、あの作品は上巻がなかなかつまらないと言われがちなんですが、中下巻の評判はすこぶる良い。
 こういう初めの耐えが長いとされる作品はこの世にまだまだあると思うんですけど、『ファミレスを享受せよ』は、前半と後半の面白さが別ベクトルなのに話としては纏まっているので、"前半の耐え"すら楽しかった。本当に良いゲーム。


 さて、このゲームはエンディングが2種類あるんですけれど、トゥルーエンドっぽい方でものすごく好きな表現があって、その話だけ最後にさせて下さい。


「物語というものは、満たされた人間に用はないんです。」

 クラインが王様とフォースプーンで話している時に言った、私の大好きな言葉です。
 トゥルーエンドのエンディングで、クラインと王様が2人で流刑の月に座り込んでいるスチルがあります。2人がどんな言葉を交わしたのか、我々はとても気になるシーンなのですが、2人のその後は一切綴られません。
なんで!?教えて欲しい!!
ですが、
「物語というものは、満たされた人間に用はないんです。」 
この2人に教えられた事です。
2人はきっと、満たされた人間になれたのです。


 本当はもっと語りたい事があります。ガラスパンさんの金のカブトムシの話とか、『話題:暇じゃない?』の話とか、ミステリーの名作古典の話とか…。王様のおしゃべりな公爵の話も好きだったなぁ。

 あと、まちがいさがしの後の文章。ゲーム中に突然文章量で殴られるのが好きなので、すごく嬉しくなった。 

 本当に色々語りたいけど、限度がない。限度がないからやめる、というのも我々が有限性を持て余したくないから故なのかもしれませんね。永遠のファミレスに迷い込むことでもあれば、限度がどうとか気にならなくなるのかも。





 さて、初プレイから2年近く経ったゲームの感想だったんですが、中々熱量もって書けました。「それくらい心に残ってるゲームだから…」なんて言えたらかっこいいんですが、実際は5~6周プレイしてる上に他人の実況動画を見漁っているからです。なぁんだ。

 あと余談ですが、このゲームはシナリオ、絵、音楽全ておいし水さん一人で作られています。本当にすごい。そんなおいし水さんの言葉を享受できる、『月刊湿地帯』というサイトがあります。本当に良いので共有させてください。

 文章が良いので、読み物として楽しいですし、おいし水さんがどんな作品を読んでいるのかを知れたりします。 『アメリカの鱒釣り』と『雪の練習生』をここで知って読んだんですが、めちゃくちゃ良かったです。寒さは豊かさ!寒さは豊かさ!


こんな所ですかね。


 このnoteを書いてる休憩にローソンにお菓子を買いにいったら、クレーンゲーム(最近のローソンはなぜかクレーンゲームが置いてある店舗がある)で遊んでいる子供たちがいました。「アームの設定弱すぎるだろ!」って言っていて、すごく良かったです。
 近所のコンビニにお菓子を買いに行ったら、「アームの設定弱すぎるだろ!」とキレる子供を見れる時代になりました。未来って本当に分からなさすぎる。


 かなりダラダラと書いたので読みにくかったと思います。すみません。
それでもここまで読んでくださった方がもし、居たとすれば、それは最大限の感謝を伝えさせてください。

ありがとうございました。

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