(再掲)うどん汁からバイオ燃料精製

広島国際学院大工学部(広島市安芸区)の渡辺昌規准教授(生物化学工学)が、うどんのゆで汁から、ガソリン代替燃料のバイオエタノールを精製することに成功した。排水もきれいになり、再びうどんの冷却などに使える利点もある。共同研究を進める製めん業者は、2011年3月にも工場内に処理プラントを設ける方針だ。

 うどんのゆで汁や、めんをあらったり冷やしたりした水には、バイオエタノールの原料となるでんぷんが残るが、効率的な活用法はこれまで確立されていなかった。

 渡辺准教授の方法では、タンパク質分解酵素で排水からでんぷんを含む固形分を分離、濃縮。さらに米ぬかや酵母を加えてアルコール発酵させる。排水の全体積の約2割が固形化し、うち1.2~1.0%がバイオエタノールとなる。上澄みの水は冷却用などに使え、節水に役立つ。

 共同研究する製めん業のマルバヤシ(西区)は当面、うどんの製造工程で使う1日50~60トンの水のうち、冷却用約10トンのでんぷん質を除去し、水を再利用するプラントを設ける予定。その後、ゆで汁の処理やバイオエタノールの精製設備も整えたい考えだ。
(中国新聞 2009年)

1 情勢
 大量のうどんゆで汁による水質汚染が問題になっている。
<u>うどんのゆで汁が廃水処理の難しいでんぷんを大量に含んでいること</u>、<u>うどん屋さんの大半が水質汚濁防止法等の規制対象とならない小規模店であること</u>が原因である。

 うどんのゆで汁は環境に負荷をかけている。
 水質汚染の度合いを示すCOD(化学的酸素要求量)という指標がある。水の汚れを薬品で分解してきれいにするときに必要な酸素の量を示したもので、数値が大きいほど水は汚れていることになる。うどんのゆで汁は原料のでんぷんを含んでいるため、うどん屋さんの排水はこの数値が特に高い。1リットル平均 1000mg/l、これは一般家庭の排水(120mg/l)と比べて約10倍、他の飲食店(500mg/l)と比べても約2倍である。うどんのゆで汁だけなら10000mg/lを超える場合もある。
 このように環境に負荷のかかるうどんゆで汁であるが、うどん屋さんの多くは小規模の個人経営であるため、水質汚濁防止法や浄化槽法の規制の対象とならない。一日当たりの最大排水量が50トン未満の場合、水質汚濁防止法の規制を受けない。このため、約7割の小規模店がうどんのゆで汁を直接排水しても法的には問題ない。
 下水道が整備されれば3年以内の接続が義務付けられる。また、平成13年4月以降の新設店は建築基準法及び浄化槽法に基づき合併処理浄化槽を設置しなければならない。ただし、香川県の生活排水処理施設普及率は低い。下水道普及率は2007年時点で38.6%であり、全国平均の71.7%を大きく下回る。更に、短い河川は流域面積、流量ともに小でありながら、人口密度は高く、水質汚染の構造的要因となっている。
 この様な状況の中、排水に規制のかからない小規模既設店が水質汚染に与える影響はCODベースで23%、うどん屋さんの影響は大きい。

 現状では、規制対象外の小規模既設店に対しても廃水処理施設の自主設置を依頼しているが、「お願い」に止まっている。これには、施設の導入・維持管理コストがネックになっている。
 香川県環境森林部環境管理課(水環境グループ)が作成した「うどん店排水処理対策マニュアル」には、「今後普及が望まれる処理装置」としていくつかのモデルが紹介されているが、回転円盤方式(立体格子接触材)で設置に490万円(本体380万円)、維持費が月7000円、これで処理能力が5トン/日、原水のCODは660mg/lとあるのでうどんゆで水の処理能力はその半分程度になる。処理水のCODは160mg/l、これでやっと一般家庭の排水より少し汚い程度である。
 水の再利用も可能なタイプ(膜分離活性汚泥法式(液中膜パック))もあり、処理水のCODは13mg/l、処理能力は48トン/日あるが設置費は 1500万円、維持費は月20万円である。

 個人経営の小規模うどん屋さんが大半の現状では、このようなシステムを早急に導入・維持することは困難であろう。一杯百円の商売で何百万、何千万の設備投資を義務づければ廃業を検討することも考えられる。水質汚染は喫緊の問題ではあるが、過激な対策はさぬきうどん産業そのものを破壊してしまう可能性がある。現実的には100万円が限度といううどん屋さんの声もある。
 様々な努力はなされている。打ち粉を減らしたり、ゆでる前に十分に取り除いたり、うどん切り包丁の切れ味を良くすることによりうどん表面から流出するでんぷんを少なくするなど、ゆで水のでんぷんを少しでも減らす工夫はなされている。マニュアルにはゆでる際に過度にかき混ぜない、など涙ぐましい記述がある。生地の加水率を上げればゆで時間を短縮できるがうどんの味が変わると賛否両論ある。

 美味しい讃岐うどんも水質汚染とセットで有名になってしまってはブランドイメージも台無し、うどんの味と環境負荷の低減を高いレベルで確立する必要がある。

2 検討
このような情勢の中、うどんのゆで汁に含まれるでんぷんからバイオエタノール燃料を作る技術が生まれようとしている。
水質汚染防止どころか「香川県OPECに加盟」くらいの勢いである。

更に、プラント、システムを究極に小型化、効率を極限まで向上させれば、
バイオエタノール燃料を精製しながら自走するうどん屋台も夢ではない。

しかし、一部メディアは警鐘を鳴らすだろう。
<u>軍事技術への移転も可能</u>だからだ。
うどんを茹でながら戦場で活躍する無人戦闘マシンや殺人ロボができるかもしれない。
戦闘の前後にうどんを食べたとしても、人道上問題があるだろう。

そこで、自走うどん屋台のように推進力としてどうか検討する。
特に、乗組員が多い空母では大量のゆで汁が発生するから動力として有望そうだ。
うどんを茹でながらバイオエタノールを精製し、これを推進に使う。
通常動力の艦船では真水が十分ではない。水が再利用できれば更に良い。
うどんも食べられるので一石二鳥以上、艦種記号はCVUか。
別途空気が必要なので潜水艦にはそのまま利用できない。
戦闘機や爆撃機などの航空機も、大型機を除いて1人か2人なので食数が少なく不利だ。
それでも、後で試算するが効率が良ければ食数の少ないビークルでもうどんバイオエタノール推進は可能だ。
複座型のF-15なら少し改造して3座にする(無理)、
前からパイロット、兵装システム士官、うどん管制士官となる。
旅客機のように、うまくいけば兵装システム士官がうどんを担当し、
二人制に合理化できるかもしれない。
食数の点では発生するゆで汁が2/3になってしまって不利だが。

ゆで汁の持つ可能性の大きさによっては、
うどんのゆで汁を巡る紛争が発生する可能性も否定できない。
うどんは韓国起源、香川は中国固有の領土、など。
北朝鮮では地下製麺所ができるかもしれない。

(試算)
空母
航空機搭載時、空母には約6000人乗っている。
うどん一人前100g、よく食べるので一人当たり二人前200gとする。
茹でるときに蒸発する分を無視すると、
うどん100g当たり1l、一人当たりでは2lのゆで汁が発生する。
6000x2=12000(l)=12(ton)
排水の全体積の約2割が固形化し、うち1.2%がバイオエタノールとなるとして、
12x20%x1.2%=0.0288(ton)=約29kgのエタノールができる。
エタノールの密度0.789kg/lより体積は、
29/0.789=36.76(l)
(一人当たり二人前当たりに換算すると36.76/6000=0.00612(l)=6.12(cc))
通常推進型の空母は燃費が1m/lといわれている。
軽油とエタノールの効率が同じであるとして(適当)、
1日1食では36.76m、3食+夜食をうどんにしても147mしか進めない。。。

戦闘機
前述のとおり3人乗りの場合、発生するゆで汁は1食当たり、
6.12x3=18.36cc
最長飛行距離を満タンで割った燃費は52m/lといわれているので、
52x18.36/1000=0.95472(m)=95(cm)
1食で1m弱しか進めない。。。(二人乗りなら60cm程度)

戦車
陸上自衛隊の主力戦車、90式戦車の燃費は267m/l、
元々は2人乗りだけどうどん管制員を新たに配置して一食18.36ccのゆで汁を得る。
267x18.36/1000=4.9(m)
1食のゆで汁で約5mしか進めない。(二人乗りなら約3.3m)

うどん屋台
軽トラの燃費は15km/l程度、
売り上げ1食(100g)当たり3.06ccのエタノールができるので、
15x3.06/1000=0.0459(km)=45.9(m)
1日100食売り上げれば4590m、200食で9180m、現実的な数字が出た。
天ぷら油も燃料として使えば更に航続距離が伸びる。

軍靴の響きが遠ざかる。兵器への移転はまだまだ難しいようだ。

ひとつ疑問に思ったのは、
バイオエタノールに関する取り組みにおいて、
材料がデンプンというレベルでは同じはずなのに、
うどんのゆで汁などソース別に分けて考えるのはおかしいのではないだろうか。
ラーメンやパスタだって同じ、
むしろこちらの方がチェーン店や大手が多いのでより導入しやすいように思われる。
ゆで汁から水を再利用できるならこちらもメリットになりそうだ。
渇水即ガス欠では心許ないからだ。
毎年頭を下げなければいけない徳島県との関係にも影響を与えるだろう。
徳島の方も鳴門の渦潮発電、阿波踊り発電など検討するだろう。
スダチだってサンマやお豆腐にかけるだけではもったいない。

3 結論
・いっそのことゆで汁を水とうどんに分離できないものだろうか。
・うどんのゆで汁は平和利用しよう。
・実用化の暁にはうどんにガソリン税をかける必要がある。

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