香港旅行201909
2019.09.14-18
全日空(直行便、エコノミークラス)
デモ頻発の中、それでも香港へ行きたくて
香港へは、5月に天皇即位の10連休を利用して行ったばかりだが、その時に行けなかった場所を思い返していると、居ても立っても居られなくなって9月の5連休に再度行くことにした。
ただ、現地の情勢が不穏だ。民主化デモは激しさを増していて、市街地だけでなく、空港を封鎖したり空港との交通路を遮断するといった戦略的なデモも行なわれるようになっていた。8月12日には香港国際空港が封鎖されて全便キャンセルになる事態まで発生していた。
以後、空港の警備は厳しくなっていたが、香港到着予定日の9月14日にも空港閉鎖の呼びかけがなされていた。せっかく香港まで行って空港で缶詰というのは意味がないので、香港国際空港から直接マカオに出国するルートがあるので(さすがにデモ隊でもマカオ出国ルートまでは封鎖できないだろう)場合によっては香港観光をあきらめてマカオ観光に切り替えるかという案も思い浮かぶ。飛行機が飛ばなくなってしまってはどうしようもないけれども、それ以外はなんとかなるだろう。とにかく現地へ行ってしまおう。
それに9月13日は中秋節で、翌日14日は休日になっている。中華圏では重要な祝祭日なので、デモはあったとしても、大規模な暴動や都市全体の機能が止まるゼネストのようなことは起こらないだろうという読みもある。
香港の政情不安を反映して宿の値段は軒並み下落していて、国際的なホテルチェーンでも1泊3,000円程で泊まることができるようになっていた。香港の宿代は「水物」で、需要が高まれば平気で値上げし、需要がなくなれば投げ売りになる。前回5月1日の前後の宿代が暴騰して(中国本土が連休になって観光客が多く香港に押し寄せてくるため)辟易したが、今回は逆のことが起きている。前回は九龍の尖沙咀に宿を取ったが、尖沙咀はまさにデモの中心地になっていたこともあって、今回は香港島の西営盤に宿を決めた。西営盤は香港島の中心地の中環から少し離れているので、デモの影響は少なそうである。
1日目(2019.09.14) 移動+大杭の火龍
今回はエコノミークラスで。成田出発便。
チェックインを済ませて保安検査場に向かう。保安検査場の入り口に貼り紙がしてあって、ラグビーワールドカップ開催に伴う保安検査の強化としてドローンの機内持ち込みが禁止(預かり手荷物は可能)と書いてある。適用の日付は、なんと、今日から!
慌ててチェックインカウンターに戻って、事情を説明して、手に持っていたドローンを預かり手荷物にしてもらうよう手続きをする。時間に余裕があったはずが急に時間がなくなってしまって、係員の人の付き添いで保安検査場を通過して、出国審査の所まで送ってもらう羽目になった。
機内食は、ご飯の上にフライドチキンとフライドポテトが載っているというわけのわからないもの。日系の航空会社の日本出発便でこれはないなと思う。エコノミークラスの機内食ってこんな感じだったっけ。
民主化デモの動向が気になっていたが、香港国際空港は至って平穏だった。
いつもならエアポートエクスプレス(空港アクセス鉄道)に乗るのだが、今回取っているホテルがA11路線のバス停から近い場所にあるため、バスに乗って行こうと思う。
2階建てバスの一番先頭の座席に座って展望を楽しむ。途中、コンテナヤードのそばを通過した。
宿にチェックインしてほっと一息。シャワーを浴びて、ベッドに横になると、このまま寝入ってしまいそうになるが、せっかく中秋節のタイミングで香港に来ているので火龍を見に行かねばなるまい。
中秋節の時期、街のあちらこちらで火の点いた提灯を持っている人を見かけるが、火のついたランタンはMTR(地下鉄)内持ち込み禁止。こういう何気ない掲示も、旅行者にとってはいい思い出になる。
火龍見物から戻ってきて、そういえば夕食がまだだった。ホテルの近くの開いている食堂に入り適当に頼む。
2日目(2019.09.15) 香港島の砲台跡めぐり
朝起きたら外が湿っぽい。部屋の窓から見下ろすと路面が濡れている。どうやら未明に雨が降ったらしい。山の方も霧がかかっている。今日はビクトリアピークに登ろうと思っていただけに、少し憂鬱になる。それでも気合を入れて、ピークトラムでビクトリアピークへ上る。が、やっぱり雨模様。ピークトラムの頂上駅でしばらく様子見をする。
まだ朝早くてお店はあまりやっていない。開いていたカフェに入り、朝食がてら雨宿り。ベーグルにカフェラテを付けるが、メモにはカフェラテ1杯570円とある。
雨が上がった頃合いを見てビクトリアピークの山頂を目指す。
盧吉道 Lugard Road を経て松林砲台跡 Old Pinewood Batteryへ行き、香港大学裏手に降りる。学食にぶらり入ってお昼でも食べようかと思ったけど、学生カードがないと入れない仕組みになっていて諦める。
バス通りまで出るために歩いている途中で、ふと目に付いたタイ料理屋に入って昼食。
午後は摩星嶺砲台跡 Old Mount Davis Batteryへ
帰ろうとするも、デモでセントラル方面へのバスは運行停止。なんとかミニバスを拾って堅尼地城へ。トラムも止まっている。MTR(地下鉄)の駅に着くと長い行列ができていたが、金鐘から出ている南港島線が止まっていて、その代行バスを堅尼地城から運行しているらしい。港島線は動いていて、西営盤までは問題なく行けた。無事宿に帰り着く。
香港警察のツイートによると14:30頃からデモが始まったらしい。摩星嶺砲台跡探索のため山の中をほっつき歩いていた頃だ。宿でテレビニュースの映像を見ていると、湾仔で火が燃えてる。地下鉄の入り口も燃えてる。その後デモは北角付近に移って行って深夜まで続いたようだ。北角も、市場があって活気があって好きなのと、香港島の山や南の方へ行くバスが通るので宿泊地の候補にしていたが、今回は選ばなくて正解だった。
ホテルに帰る途中に見繕ったチャーシューで乾杯。
街中のチャーシュー屋で買い出しをするのも香港の楽しみだ。
3日目(2019.09.16) 大㰖涌ダムと鶴咀半島
午前中の目的は大㰖涌ダム。前回行こうとしたところ道の終点が刑務所になっていて引き返したことがあって、今回は別ルートの掃管笏村からアプローチをしてみる。
まず屯門へ。屯門は郊外(新界)に作られたニュータウンの一つで、今回の民主化運動の中でデモがしばしば過激化している。駅を降りると写真のような有様である。
屯門からミニバスに乗り換えて掃管笏村へ。集落を外れて、大㰖涌ダムへ通じる山道へと向かう。
ダムの堤体を渡って、道なりに進んでいくと下り坂になっていて、気が付くと刑務所の裏口に来ていた。正確には刑務所の敷地と敷地の間を公道(?)が走っているようで、高い塀に囲まれた道を歩いていく。
最後に刑務所の門の所まで来た。前回遠巻きに眺めて引き返した所だ。面会者の受付があり、待っているベンチがある。ぶらりと外国人が来るには場違いな場所には違いない。呼び止められないか内心びくびくしながら通り過ぎようとすると、向こうからランナーらしき人が走ってきて、ごく普通に刑務所のゲートを通って、すれ違って行った。やはり公道ということで良いらしい。
4か月半ぶりにようやく、大㰖涌ダムへ行くという目的を果たせた。
午後は、香港島に戻って鶴咀半島に残る戦跡をめぐる予定。まずはMTRの筲箕湾駅へ。ここからバスに乗り換えて鶴咀半島の東丫村に向かう。
地図を見ると、バス道、水路に沿った道(Hong Kong Trailとしてハイキング用に整備されている)、村と村を結んでいた杣道があるようだ。バスを降りて、階段を下っていく。大都会のイメージが強い香港だが、徒歩でないとたどり着けない集落もあり、そうした交通不便な村の中には政府の政策によって廃村にさせられている所もある。
東丫村へ。集落に近づくと犬がこちらに向かって吠えている。犬は厄介だ。嚙まれでもしたら最悪狂犬病にかかる可能性がある。いったん引き返して犬の縄張りを外れたあたりから海岸に出て、そのまま浜辺からアプローチ。うまく巻けたようだ。どうやら離村した人が集落の警備のために犬を飼っているらしい。
山腹に花崗岩のコアストーンが浮いている。
土地湾村に着く。ここにもトーチカがあった。
地図を見るとこの先は土砂の採掘場になっていて道が途切れているので、坂道を登ってバス道に出る。
4日目(2019.09.17) 萬宜ダム
今日は一日、萬宜ダム High Island Reservoir に行くことを目的とする。
Diamond Hillからバスで西貢へ。西貢からは手っ取り早くタクシーで行く方法もあるが、バスに乗り継いで北潭涌という所まで行って、あとは延々と歩くことにする。
萬宜ダムは海の入り江を堰き止めて貯水池にしたもので、写真右手は海になる。5月に訪れた船湾ダムと同じ造りだ。
萬宜ダムのダムサイト(周辺地域)は、ダムを見に行くというよりも、柱状節理の岩石を中心としたジオサイトが観光名所になっている。
西貢の市街地の入り口に、70回目の国慶節(中華人民共和国建国70周年)を祝うデコレーションが街頭に立てられていた。「反送中」デモで騒然としている香港だけれども、西貢は親中派の政治風土のようだ。九龍と山を一つ越えるとこうも違うのか。あるいは、同じ新界のニュータウンでもMTRが通じている屯門ではデモが先鋭化しているのと対照的だ。
シャワーの後に飲もうと思って牛乳を買う。お値段は25HKD=350円。えらい高いなと思うけれども、亜熱帯で牛飼って、コールドチェーン整えないといけないし、コストはかかっている。仕方ない。製造者は香港・元朗の会社。
夜、新海誠監督のアニメ映画『天気の子』を見に行く。
おっさんずラブもやっていた。中国語では「大叔的愛」になるのね。
ちなみに、香港でも映画本編の前に流れるマナー喚起の映像というのがあって、 All we know, it is the time to enjoy the show ♪ というゆるい音楽が頭から離れない。後から検索したらyoutubeにも載っていてすぐ見つかった。
香港でも「映画館といえばあれだよね」「洗脳」「いい曲だよ」とネットでいじられているようだ。
【戲前熱身】電影片頭個個經典 戲院代表又洗腦又好聽
ついでに、香港地下鉄の駅名標めぐりもしてみた。
香港の地下鉄の駅には壁にタイルが貼られている所がいくつも残っていて、それぞれにいい味を出している。そういうわけで一通り回ってみたけど、結構疲れた。
5日目(2019.09.18) 午前中は寶雲道を散策して、帰国へ
最終日、香港は空港へのアクセスが良いので時間ぎりぎりまで動くつもりでいるが、とは言っても実際に動けるのは午前中のみ。寶雲道 Bowen Road を歩いてみようと思う。
寶雲道は今は散策路になっているが、元々は香港植民地初期に大潭貯水池の水を香港島中心部まで導水するために築かれた水路だった。散策路の下には、石造のアーチ橋が残っている。
ピークトラムの線路に沿って坂道が付いているので、それを下ることにする(写真は振り返って山頂の方を見上げた方向だけれども)。
帰国の飛行機はガラガラだった。
機内食はすき焼きご飯に冷やしうどん。行きの便のご飯の上にフライドポテトが載っているのに比べたら、まともだった。
それにしてもあのポテトフライ飯は何だったのだろう。
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