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ドイツ旅行2016:ザクセン平原の村々

2016.09.23
宿をライプツィヒに取った次の日、ザクセン平原の村々を気ままに回ってみたのだが、これが良かった。次行く時は1週間ぐらいかけてのんびり回りたいと思っているくらいだ。
日本にはまずない地形に魅かれる。日本の平野はいわゆる沖積平野のことで、川が作り出した本当にまっ平らな土地だが、ザクセン平野は写真のように土地が大きくうねっている。なだらかな傾斜地は畑や牧草地として利用して、所々にある窪みに人々が棲み付いて集落を形成している。ドイツ中部の典型的な地理景観だ。

窪地に身を寄せ合うように成立している集落。その理由は集落の中に入るとわかる。村の中央の広場にある井戸がある。水の便を得るためだ。

ある村を通り過ぎた時、村の中央に煉瓦造りの塔があった。一瞬気になったけどそのまま通り過ぎてしまったので今となっては確かめようがないのだが、あれは給水塔だったように思う。共同井戸での水汲みから水道への変化が、その村にとっての「近代化」だったはずだ。そういうことを考えながら車を走らせていたが、引き返してちゃんと見てくればよかったという後悔もある。

次の村が見えてきた。道が緩やかに下って行く。
村の中に入ると、道が入り組んでいて、どの道がメインルートかわからなくなってしまう。おかげで何度か道に迷ってしまった。
そうしたぐちゃっと塊になっている集落形態のことを、地理学では、塊村と言う。窪地があって、水を求めてその窪地に肩を寄せ合うように人々が棲み付いたのだから、そうなるのは当然かもしれない。街道が通っていてその両脇に家屋が並ぶ宿場町(街村)とは、成り立ちからして異なっている。

村へ続く道路。石畳の道が残されている。

のどかなザクセン州の田園地帯に巨大な構造物が現われた。エアフルト-ライプツィヒ高速鉄道のウンシュトルタール(Unstruttal)高架橋だ。うねうねした丘陵を登ったり降りたりしていては高速鉄道にならないので、こうした高架橋で通り抜ける。
実は、こうした橋梁を見るのが平原をうろついている目的だったりもする。

ウンシュトルタール(Unstruttal)高架橋を間近で見る。所々にアーチが入っているが、それ以外は薄っぺらい橋脚で構成されている。これは、ドイツが大陸で地震がないから薄っぺらくできたわけではなく、アーチの部分で変動を抑える構造(変位拘束構造)を採っているからである。日本でも壁式ラーメン高架橋としていくつか例があるが、日本が「壁」としたところを、もっとスマートなデザインにできるじゃないかと言ってアーチにしたのがこの橋梁の形式。

集落の話から離れてしまったが、そういうアクセントがあるのも好い。
またドイツに行って、ザクセン州の平原を気ままにドライブできたらいいなと思う。

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