【レースレポ】2024.3.10 神宮クリテ 2位
写真: 海さんより
学生自転車競技の華のレース。
明治神宮外苑という超都心での開催
各大学の応援団、チアなどの圧倒的な応援
ガラパさん、栗村さんによる豪華な解説
1周1.5kmのほとんどをオーロラビジョンで観戦可能
など様々な要因が合わさって、唯一無二の雰囲気を醸し出している。大学で自転車をやる学生にとってはインカレと並んで勝ちたいレースの1つ。
そんなレースに、慶應自転車部での11年の活動の集大成として参加した。
見立て・スタートリスト
前日にチームメイトとミーティング。有力選手を上げたらキリがないが、「優勝しそうな選手を3人挙げると?」という議題で上がったのが
太字の2人は3人全員口を揃えた優勝候補で、残りの1人で意見が割れた感じ。つまり小泉、岡本は大本命。
チームの作戦としては、緩い展開になるならピュアスプリンターの山田で勝負。人数減っていく厳しい展開になるなら僕で勝負。秋田は逃げを潰す動きなど柔軟に対応するというもの。
コースは1.5kmを20周。マップ4番と6番がヘアピンで、特に6番は道路が工事中で道幅がとても狭く、集団後ろの方にいると止まるくらい減速を余儀なくされる。
何はともあれ、最後は根性。なんとしても勝ちたい。
レース
当たり前だが1,2周目はみんな元気。前にいればいるほど楽に走れるコースなので、位置どり争いが熾烈。
1周目は位置どりがうまくいかず25番手くらいで消化したが、やはり後ろにいるときつい。序盤で脚使ってでも5番手以内では展開するべきだと思った。
3周目にみんな疲れてきたのかようやくペース落ち着いて、5番手まで上がる。そこからは10番手以下に番手を下げないように展開。
9周目に有力選手5人の逃げが決まりかける。
早稲田の神村くん、順天堂渡邊くんは独走力あるし、中央の山下くんや立教の中島くんはクリテ強者。マズイと思い致命的になる前にブリッヂ。
後ろから日大の岡本くんも来て、7人抜け出した。
このまま全員で息合わせて踏めば決まりそうだったが、スプリントにしたい選手も多くこれは一旦捕まる。しかし集団がだいぶスリムになっており、この動きでかなり集団にダメージを与えられたようだ。
一旦小康となって15周目、今度は日体大の玉城くんが単独でスルッと抜け出した。
今年の大磯クリテなどで何度か一緒に逃げたこともあり、独走力があることは知っていた。
集団は緩んで容認する雰囲気だったが、戦略的というよりもキツくて誰も追えないような感じだったので、単独ブリッヂ。
集団から抜け出す場面。シッティングで500wくらいで踏んでヌルッと抜け出す。集団3番手の日体大の選手は僕をチェックするか一瞬迷うような素振りを見せたがやめていた。多分腰上げて抜け出していたらついてきていただろう。
さらに中央の山下くん、順天の渡邊くんが追いついて4人になる。これは良いメンツ。折り返しで後ろみると日大が追いたそうだが中央が抑えていて、決まるかもと思う。決まらなくても大本命の日大岡本くんにはダメージ与えられるだろう。
そのまま4人で淡々と逃げる。
ゴールまで逃げきれるか判断が難しいが、この4人でのスプリントとなれば勝てると思うし、後ろから集団が追いついてきたとしても集団はかなりハイスピードで追走して消耗すると思うので、前4人で冷静に脚を使い切らずに回せば僕の勝率は非常に高い。集中して走る。
そうこうしてるうちに最終周。
ヘアピン手前で早稲田の神村くんがすごいスピードで追いついてきた。
神村くんはスプリントでの勝機が薄いので、単独で抜け出したいのだろう。集団も迫っており、逃げは完全に吸収されたが予想通り集団は10人くらいしか残っていない。
ヘアピン明けてから踏み直した神村くんについていって少しギャップが開く。
さあ、ここからが難しい。オプションは2つ。
神村くんの後ろで迷っている間に神村くんが諦めて先頭交代を促され、前者を選択。しかしその時スピードがあまり乗っていなかったので、集団に埋もれないよう先頭に出て流し先行で最終ヘアピンを通過。
ヘアピン明けてラスト300。
コース左端を走り左側のラインを塞いで、右側から捲られる動きを警戒していた。
つもりだったが、右後ろを警戒しながらの走行で少しずつラインが右に流れていってしまってた。
ラスト200を切って、左側の70cmくらいのスキマから明治の小泉くんがスプリント開始。速度差があり一気に1車身離される。南無…
全力でスプリント開始するが、加速して同速度にとどいたのがラスト100m。そこからジリジリと車間を詰め捲りにいったが、半車身届かず。
写真: 慶應マネージャー
ゴールライン10m先ではもう並んでいた…
リザルト・感想
先週の富士クリテの後、「俺って勝ちきれない選手だよな…」としみじみ感じて、妻と話していた。
思えば、高校最後のインターハイロードレースでも、アユム(後に愛三でチームメイトになる渡邉歩)に負けて2位。大学でも目立った勝利は全日本学生TTだけで、全日本学生ロード、全日本ロードU23ではどちらも優勝に一歩届かず3位。
負けた時はもちろん悔しいけど、「惜しくも勝てなかったけど、展開次第で勝てていただけの実力はあった」という自己満足と、「レース見てたよ、惜しかったね」と言ってくれるコアな観客の言葉に慢心していた自分がいたような気がする。
ロードレースで勝つのはたった1人。評価されるのも優勝者だけ。そういう競技をやっているのに、「ナショナルチーム入りの自己推薦書に書くリザルトは3位で十分」みたいな妥協から、「優勝」に対するこだわりが欠けていたのかもしれない。
そういう気づきの中で迎えた大学最後の晴れ舞台だったので、今回はなんとしても「優勝」にこだわっていた。レース展開も盤石に運び、最終周に入った段階で僕が優勝する事前確率は非常に高かったと思う。
しかしまた負けてしまった。
「引退レースまで2位なんて、なんか…俺らしいな」と悔しいけど思ってしまった。敗因は…わからない。
神村くんに先頭交代を促された時点で意を決してアタックしていたら、単独で逃げきれていた?
流し先行した時に左のラインをもっとちゃんと塞いでいれば?
あと2秒早くスプリントを開始していたら?
何を言ってもタラレバの言い訳に過ぎない。
ただ、これまで優勝にこだわってこなかった競技生活のツケが回ってきたのだろう。欧州ロードレースで言うとマチュー、国内ロードレースで言うとマサキさん(山本大喜選手)や高岡さんのような、勝利数の多い選手の勝負勘は、一朝一夕に養われるものではない。
学生レースは終わりがあるからこそエモくなる。もう2度と神宮クリテを走ることはできないし、今回の2位というリザルトは一生残ってしまう。
では、これからの自分に何ができるのか?
幸い自分はRoppongi Expressという走る場所を与えてもらった。
"Failure is failure only when we stop trying anymore."(失敗は、挑戦をやめた時に初めて失敗になる)
競技生活12年目、学生競技生活では負けばかりだったけど、「勝ち」にこだわって心機一転、歩みを止めないことを誓う。
ギャラリー
海さんが撮ってくれた素敵な写真を。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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