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イングリッド・バーグマンを堪能すべし~「ガス燈」

映画史には語り継がれる名優がつきものである。
今から50年後になってもその名が語られる俳優とは、現代で言えば誰になるだろうか。そんなことをたまに考える。
イングリッド・バーグマンも名女優の一人であることは否定の余地もないだろう。来年で没後40年。その作品はいまだ燦然と輝いている。
今回は彼女がアカデミー主演女優賞を受賞した作品。1944年公開「ガス燈」

バーグマンのラブシーンは別格

バーグマンに関しては、以前ヒッチコックの「汚名」でも触れたことがある。

その時も感じたのだが、彼女のラブシーンは実に魅力的なのだ。
官能的というのもあるのではあるが、それよりも恍惚感・多幸感が見るものにストレートに伝わってくるようだ。実に絵になる女優である。

”ガスライティング”という心理学用語の語源

バーグマンがアカデミー賞を受賞したのは、夫に言われなき言葉の虐待に苛まれていく演技によるものであるが、その執拗な虐待が後に”ガスライティング”という心理学用語として使われるようになっている。
これは、まったくの虚偽であるにも関わらず、あたかもそれが真実であるかのように吹き込み、相手の認識を錯乱させる行為であるようだ。

サスペンスではあるが分かりやすい

本作、サスペンスものに分類されるであろうが、最初から最後までとても分かりやすい。あまりハラハラする場面もないので、逆に俳優陣の演技を十分に堪能できるとも言えるかもしれない。
夫であるグレゴリーは最初から怪しさ満点。表題の「ガス燈」のネタもなぜにそれまで気がつかぬ?と思えてしまうくらいだ。

それでも、いいのだ。
本作にはバーグマンがいる。それだけで映画史に燦然と輝き続けているのである。

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